今回取材いたしましたのは、株式会社アドリンク代表取締役、上治太紀さんです。
外国人観光客向けにタブレットをレンタルするサービスを提供しています。
起業することの責任と、社員を思う気持ちの大きさを感じました。
(インタビュアー:渡川 ゆり子)
経験・考え
自分の環境や経験を活かして
―学生時代の過ごし方、起業を志されたきっかけを教えていただけますか?
2回生まではいたって普通の生活でした。
1回生のゴールデンウイークに初めて実家に帰省するという経験をして、
その時地元を客観的に見れました。
こんなに元気のない街だったかなと思ったんです。
僕たち20代は、地域社会が衰退していくのを見てきた世代だと思います。
自分に何かできないかと思ったときに、
通っていた大学のアントレプレナーシッププログラムという場を使えないかなと。
近くにこういう環境があるなら、
自分に貢献できることがあるのではと思ったのがきっかけです。
―このサービスを選んだ理由について教えていただけますか?
先ほどの述べたように、地域を活性化させたいという思いからです。
大学が京都にあるということで、まずは京都で何かできないかと考えました。
実体験として、大きな地図や重い雑誌を持ちながら道に迷っている
外国人観光客を見かける機会があったり、道を聞かれたりすることがあって、
地図や雑誌、フリーペーパーなどの観光に便利なあらゆるコンテンツを
タブレットに載せて彼らにレンタルするのを思いついたんです。
―起業に向けてどのような取り組みをされましたか?
とりあえず起業に関する専門家さんのところに
「会社を作りたいのですが」と言いに行きました。
そういった知識がまだない状態だったので、
ネットワーク作りとかまったくわからなかったです。
当時は起業すれば何とかなるという甘い考えでした。
―実際起業してみて思っていたことと違う点はありますか?
思った以上にうまくいきませんでした。
今になって見れば当たり前ですが、1歩1歩前に進むのが大変でした。
そこで「学生には何もない」というのを実感しました。
プログラミングさえ強みにならない時代になってきています。
強みやノウハウがないのに社会に必要とされるサービスや商品を提供することは
限りなく不可能に近いことだと痛感しました。
起業して継続させるなら、個人ないし組織としての強みが必要条件だと思います。
―起業に向けてどのような取り組みをされましたか?
ネットワークというよりは、行政・会社・アドバイスをくださる方など
お世話になっている人たちとの関係性を大切にしています。
あてもなくただ人脈を増やすのは生産性がありません。
僕の場合は、プランを明確にしてから組織ができたので、
アドリンクとして勝負できる体質になりました。
周りからアドバイスをもらえるようになったのはそれからでした。
プランを具体化することで、相手もアドバイスしやすくなるんです。
仕事観・職業観
自分の選択が生む責任の大きさ
―起業に対するお考えをお聞かせいただけますか?
自分が情熱を注げる場所です。
よく休まなくて大丈夫かと心配してくださる方もいますが、
体力が続く限りは動きたいんです。
仕事が全然苦じゃありません。
それくらい仕事全体に対してやりがいを感じています。
―モチベーションを維持できる方法はありますか?
もちろんチャレンジする限り、苦労はたくさんあります。
それでも自分が選んだからには最後までやらないといけません。
会社を起こすこと=社会の一部になることだと思ってます。
社会の一部である限り、そこには責任が伴っています。
僕の場合は社員の生活もかかっているので、
自分の都合で辞めるのは無責任だと思います。
正直自分のモチベーションは関係なくて、
自分で決めたからにはやり通さなければという感じです。
―学生起業については、どのようにお考えですか?
僕はお勧めしません。
メリットといえば、少し注目されるくらいです。
起業して社会に必要とされるサービスや商品を提供するには強みが必要です。
強みやノウハウは、自身や自社の経験を形にしたものだと思っているので、
学生にはまだそのようなものが基本的にありません。
ですから商品やサービスとして提供できるものがないんです。
ただ、そういったものを創りだしていく根気と覚悟を持ってやるなら、凄くやりがいがあると思います。
―ご自身の考え方に、影響を与えた書籍や経営者はいらっしゃいますか?
有限会社遊縁の池田芳正元代表取締役社長(池っち店長)です。
カードキングダムというトレーディングカードショップをフランチャイズ展開した店長です。
カードの面白さを動画で初めて伝えた人で
彼自身が事業を楽しんでいるのも本当に強く印象に残っています。
カードショップ独特の入りずらさを解放して、
女性向けや家族向けのものに変えた方でもあります。
「顧客にいかに受け入れられるか、いかに楽しんでもらえるか」という考え方に感銘を受けました。
人材観
個々に強みを持っていること
―このサービスを一緒に作り上げたチームは、どのようなきっかけで結成されたのですか?
1人で始めたので、もちろん人手不足でした。
一緒にやってくれる人を探していた時に、
後輩が一人、手伝ってくれたんです。
今では正社員として働いてくれています。
また、英語ができる大学生のネットワークが強い会社なので
そこの紹介で人数を増やしていきました。
【将来】
自分たちのノウハウで社会に貢献する
―今後の事業戦略・組織戦略を教えていただけますか?
事業戦略に関しては、サービス開始から1年間で事業をノウハウを蓄積することができたので、
これからは各地に導入していきます。
また、弊社の強みを活かしたウェブサービスも考えています。
組織面では、サービスの拡大に伴い、バイリンガルのスタッフも増やしています。
社内の平均年齢が若いということもあり、
社内の文化形成、マネージャー教育の研修や勉強会など人材育成に力を入れており、サービス品質の向上に努めています。
―後輩の学生、起業志望者に向けて、一言お願いします
大きな覚悟を持ってください。
リスクは絶対に残ります。
よく学生起業はリスクがなくて、
キャリアの再構築ができるなどと言われます。
確かに自分自身にかかるリスクはありません。
でも、それだけでは従業員や周りの人のリスクを考えていません。
起業するとは、社会の一部として活動し、
社会に貢献し続けていく責任があると思っています。
そのためには従業員にできるだけコミットする必要もありますし、
どんな場面でも、頭の片隅では自社のことを考えていなくてはいけません。
例えるなら、ずっとテスト期間のような感じです。
辞めるまで肩の荷が下りることはないと思います。
ただ、その覚悟があるならものすごくやりがいのあるものだと感じます。
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