Amazon経営関連書売り上げランキング52週連続1位『起業の科学』

『起業の科学』という一冊の本をご存知でしょうか?

日米で起業した経験を持つ田所雅之氏が書き起こした、起業の教科書と呼べる一冊です。
書籍の基盤となったスライド『StartupScience』は全世界で5万回シェアされ、大きな反響を呼んでいます。

Amazon経営関連書売上ランキングにおいては一年間にわたって、常に一位の座に君臨しています(2018/11/1調べ)。

現代における起業のバイブルとなっていると言っても過言ではありません。

今回は『起業の科学』の著書の中から一部抜粋して「カスタマープロブレムフィット」という考え方について紹介したいと思います。

起業する前にもしも事前に知っていたなら避けられたはずの失敗。

そんな課題一つ一つにぶつかる前に事前に知って対策しましょう。

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カスタマープロブレムフィット(Customer Problem Fit)とは

引用:gahag.net

カスタマープロブレムフィット(Customer Problem Fit)とは、ユーザーが持つ課題の質を上げるためのプロセスです。

課題の質を上げるという行為は、スタートアップの企業が成功するための重要な要因になります。

 

スタートアップが陥る失敗はある程度分類分けすることが出来ます。
時系列順に例を出すと、アイデアの検証を行わない、課題の質を上げたと思い込む、ソリューションの検証を中途半端にしてしまう、自分が作りたいものを作ってしまうこと、スケールするための変革を行わないこと、などが考えられます。

上記に挙げた5つの要素について共通していることは、誰も知らないような専門的な内容ではないということです。

人が欲しがるものを作るということはスタートアップのみならずほとんどの企業が追い求めなければいけないことだと知っているはずです。
そして、今回のカスタマープロブレムフィットも頭では理解しているという人の方が多いでしょう。

「理解する」と「実践する」とでは全く次元が異なります。
一つ一つを確実に行うことは想像している以上に難しいことです。

 

顧客のことを思って製品を作っていたのに全然売れない。
このサービスがあれば顧客は飛びついて買うはずと思っていたが、想像通りにはいかなかった。

起業する人のみならず、製品開発に関わっている人ならば一度は経験したことはあるはずです。

それは何故起こってしまうのでしょうか?
避けられた事態ではなかったのでしょうか?

田所雅之氏の著書「起業の科学」から引用し、カスタマープロブレムフィットを3つのステップに分けて、理解しましょう。

1.課題の仮説を立てる

引用:gahag.net

新規事業を打ち出す時、新サービスを構築する時、最も大切になってくることがあります。
それは顧客が本当にその課題を持ち、困っているかということです。

企業側が課題だと思っていたことも顧客が特に気にしていないということであれば、その努力は水の泡になってしまいます。

最も避けるべきリスクはそもそもの論点がずれていた、ということです。

 

そのためにまずは、顧客がどのような課題を持っているのか、考えなければなりません。
顕在化されている課題から、顧客すらも気付いていない潜在的な課題を探し出すために仮説を立てることからカスタマープロブレムフィットは始まります。

仮説を立てる際、押さえておきたいポイントが3点あるので、順番に踏まえながら理解していきましょう。

①ペルソナを設定する

どんな課題があるのか考えるためには、どういった人をターゲットにするのか考えておく必要があります。
そのためにペルソナを設定することは必ず必要です。

ペルソナを設定することによるメリットとしては3つ挙げられるのですが、ここでは1つのみを紹介したいと思います。

誰の課題かということを考えることによって、プロダクト思考に偏りがちな考えを課題中心に変えることが出来るということです。
課題からの逆算で考えなければならなかったとしても、自社の技術力で出来ることは何かとプロダクト重視の思考になってしまう時があります。
ペルソナ設定によって防ぐことの出来る大きい影響です。

②エンパシーマップを作成する

ペルソナ像だけでは捉えきれない部分を押さえるために必要となってくるのが、エンパシーマップというフレームワークです。
ペルソナ設定だけでは、行動ベース実績ベースのまるで履歴書のような固いフォームでしかターゲットのことを想像できません。

しかしエンパシーマップではターゲットがどのような思考を持っているのか、思考ベースの分析を行うことが出来るのです。

エンパシーマップにおいてはターゲットの視点に立ち、何を考え、何を見て、何を言って、何をして、何を聞いているのかをそれぞれ考えます。

スタンフォード大学やハーバードビジネスレビューなどでも掲載されたことがある、非常に効率的にターゲットを知ることが出来る方法です。

エンパシーマップを作成し共有することによって、より詳細なターゲットをイメージすることが出来るのは大きなメリットでしょう。

③カスタマージャーニーを作成する

ターゲットの詳細設定を作ってきた中で、どういった人物像を対象にするのか理解出来てきました。
最後に必要となるのは、その人物が現実社会で過ごしたらどうなるか、ということをイメージすることです。

いくら繊細にペルソナ設定をしエンパシーマップを作成したとしても、現実社会でどのように生活しているか具体的に想定することが出来なければ意味がありません。
こんな人がいれば良いな、という机上の空論に終わってしまいます。

実生活を想定するために、ターゲットの行動とその行動に基づいた感情の移り変わりを考えましょう。
するとどのような課題を抱いているのかより繊細に想像することが出来るようになったはずです。

 

▼カスタマージャーニーをより詳しく説明した記事はこちら▼

2.前提条件を洗い出す

引用:gahag.net

ここまでで課題の仮説を立てることが出来ました。
おそらく立てた課題の仮説は一つだけではないはずです。
より詳細に設定していたことによって、複数の仮説が出てきたことでしょう。

第二段階としては、その仮説が本当に正しいのか因数分解を繰り返すことによって解決していきます。

3.実際に課題を持っているかを検証する

引用:gahag.net

最終ステップとしてはカスタマーが本当に課題を持っているか、明らかにする必要があります。
どのようにすれば検証を行うことが出来るでしょうか?

仮説を立て、複数の仮説から共通項を見つけ出してきたこの段階では、ターゲットとなる人物に直接聞くことが最も効率的です。

まずはターゲットとなる人物を探し出すことから始めましょう。
SNSの検索を利用したり、知り合いに紹介してもらったり、アナログなことを積み重ねていくことでターゲットを集めることは出来るはずです。

続いて、ターゲットに対して直接インタビューを実施します。
インタビューの仕方も気を付けるべき5つのポイントを押さえてヒアリングを行います。

ターゲットを集め、インタビューをし、分析をする、というプロセスを繰り返し繰り返し行います。
その中で蓄積されるデータを最終的に精査することで、顧客の本当の課題が見えてくるのです。

仮説とのギャップをはかり、仮説を修正していくことでカスタマープロブレムフィットを達成することが可能となるのです。

総評:カスタマープロブレムフィットとは

需要があって供給が存在する、という形はビジネスにおいては絶対的な条件です。

需要に対して適切な供給を行うことは何があっても変わりません。
労力がいくらかかろうが、時間がいくらかかろうが、関係なく常に顧客(カスタマ)の需要(課題)に合わせなければいけません。

独りよがりな供給は辞めましょう。
自己流の正解を作り出すこともやめましょう。

正解を持っているのはターゲットのみです。

カスタマープロブレムフィットを行う難しさを今一度改めて理解することで、失敗を減らすことが出来るでしょう。

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