顧客を3つの層に分けてアプローチする

カスタマーサクセスの勉強をしていると「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」という言葉が出てきます。

どうやら顧客を3つの層に分けて、それぞれアプローチの仕方を変えようという考え方のようです。

 

「でもどうやって3層に分けるの?」

「対応を変えるって具体的には何したらいいの?」

 

今回の記事ではハイタッチ・ロータッチ・テックタッチに関するこれらの疑問に対してお答えしたいと思います。

 

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチとは?

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチとは、LTV(顧客生涯価値)を軸に顧客を3つの層に分け、それぞれに対して最適なアプローチをとる手法のことです。

上の層であるほど手厚い対応ができますが対応できる数に限りがあり、下の層であるほど多くの数に対応できます。

 

カスタマーサクセスでは、オンボーディングの段階で活用されることが多いようです。

 

3つの層に分けるメリットは何でしょうか?

メリット1 最適なアプローチとコストパフォーマンスの両立

3層それぞれに階層的なアプローチをとることで、それぞれの顧客に必要なフォローを行うことができます。

もし上の層に合わせたフォローを全体にすることになればコストが大きくなりすぎます。

逆に下の層に合わせたフォローをしてしまうと、パフォーマンス面に課題が出てくるでしょう。

 

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチでは3つの階層に分けることでコストパフォーマンスを最大化しているのです。

 

メリット2 自社顧客のセグメンテーション

また顧客を3つの階層に分けるプロセスは自社の既存顧客の再セグメンテーションと同じ意味です。

これによって、自社のビジネスモデルを再確認したり、営業戦略を練り直したり、また新たな顧客領域を開拓したりすることにつながります。

 

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの分け方

顧客を3階層に分ける軸はLTV(顧客生涯価値)です。

厳密にLTVである必要はありませんが、対応のコストに対してどのくらいのリターンが見込めるのかを割り出して、そこからヒエラルキーを導かなければなりません。

 

例えば個人顧客よりも法人顧客の方が高い価値を持っていると予想できるでしょう。

さらには従業員規模が大きいほうがより高い価値を持っていそうです。

また成長中の企業であるか、上位プランへの乗り換えを視野に入れているような先進的な経営者か、などの定性的指標も役に立つかもしれません。

 

これらの情報から階層化の指標を作成し、自社の顧客階層モデルを構築してみてください。

最初は既存顧客のデータを基にするのが最適でしょう。

既存顧客がいない場合は類似のモデルをとっているビジネスの観察・模倣という手段があります。

 

ハイタッチのやり方

ハイタッチはいわゆる「大口顧客」といえる顧客層に対するアプローチです。

基本的には個別の対応で、社員自らが動くことでフレキシブルな対応を目指します。

 

具体的には

・個別の導入サポート
・個別の定例ミーティングや勉強会
・顧客に合わせたカスタマイズ
・カスタマーサクセスにつながるプランの直接営業

などが挙げられます。

 

ロータッチのやり方

ロータッチはハイタッチの顧客層より価値が少し下がる層に対して行うアプローチです。

社員が動きますが、個別ではなくある程度集団的な対応になります。

 

ハイタッチ層に比べて顧客ごとの価値は低いですが、数が多いため、ロータッチをいかにデザインするかはカスタマーサクセスの重要ポイントの1つでしょう。

 

具体的には、

・電話やメールでの対応
・トレーニングプログラムの設置
・ワークショップやイベントの開催

などが挙げられます。

 

テックタッチのやり方

テックタッチは、顧客ごとの価値は低いが数の多い層に対するアプローチです。

テクノロジーを使うことでより広範囲に対して同時に対応することを目指します。

 

具体的には、

・電話やメールでの対応
・トレーニングプログラムの設置
・ワークショップやイベントの開催

などが挙げられます。

 

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチで最高の顧客管理を

顧客を3層に分けてアプローチを変えるというのは、一見お客様に失礼な感じもします。

ビジネス側からすると効率的ですが、顧客側からすると差別されているようにも感じかねません。

 

しかし経済学的に考えると、価値を付けてくれる顧客に売る(LTVが高い顧客に高いサービスを提供する)というのは正しい手法です。

また、テックタッチは決しておざなりな対応というわけではありません。どうしても限界が出てきてしまう対応のキャパシティを、テクノロジーによってカバーしているのです。

 

つまり、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチは本来実現できない“最高の顧客対応”を、テクノロジーと階層化を導入することで疑似的に実現していると考えられます。

真にカスタマーサクセスを目指すのであれば、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの導入は不可欠です。

ぜひ積極的にお試しください。

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