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P2P? それ知っておいた方がいいの?
出典:gahag.net
P2Pという言葉を説明できるでしょうか。
語感的にはB2B(BtoB)やC2C(CtoC)に近そうですが、Pは一体何だと思いますか?
答えはPeer、対等の者を示す言葉です。
B2BやC2Cはビジネスモデルの形式を示す用語ですが、P2Pは違います。
P2Pはネットワークの方式を示す言葉なのです。
「技術屋の言葉か。僕には関係ないな…」
と呟いて去ろうとするビジネスパーソンの貴方。
本当に関係ない言葉でしょうか?
実は私たちに身近なサービスもP2Pで運営されています。
いまやビジネスとITは切っても切れない関係。P2Pくらいは大まかにでも把握しておきたいものです。
もしかしたらそこにビジネスチャンスもあるかもしれません。
というわけで、今回はP2P、Peer to Peerのネットワーク方式について学んでいきましょう。
P2Pとは? Peer to Peer型ネットワーク
P2Pはクライアント端末同士が繋がるネットワーク方式です。
これでわからない人はまずクライアント・サーバー方式を勉強してみましょう。
一般的なインターネットは個々人が使う「クライアント」と、特定の役割を担った「サーバー」という2種類のコンピュータによって構成されています。
インターネットを使う人は、自分のPC(クライアント)を通して、サーバーにアクセスします。
例えば、メールを送りたい場合は、一度サーバーを経由して友人のPC(クライアント)に届くわけです。
P2Pではこのサーバーを経由せずクライアント同士で通信します。だから「Peer(対等の者)」なのです。
わざわざそのような方式をとるからには、そこにはメリットがあります。同時にデメリット、リスクもあるので、順番に見ていきましょう。
P2Pを使うメリット・デメリット
クライアント・サーバー方式の特徴を「一極集中による確実性」とするなら、P2P方式の特徴は「分散処理によるスピード」です。
当然、得意なことと苦手なことが存在します。
P2Pを使うメリット
1速い通信が可能になる
クライアント・サーバー方式では、大量の処理がサーバーに集中したとき「渋滞」して遅くなってしまうことがあります。
P2Pではサーバーに処理が集中しないため、常に高速な処理が可能となります。
電話などリアルタイム性が重要なサービスで有用です。
2サーバーが停止するリスクの回避
クライアント・サーバー方式では、サーバーがダウンすれば当然すべて止まってしまいます。
P2Pの場合、そもそも止まるサーバーがありません(種類によっては部分的に存在します、後述)。したがって、これらの致命的なリスクを回避できるのです。
3コストを抑えられる
膨大な処理が予測される場合、基本的にはそれに耐えうるサーバーを用意する必要があります。そこにはけっして安くないコストがかかってきます。
P2Pの場合、これらのコストを節約することができます。
P2Pを使うデメリット
1セキュリティ・リスクがある
P2Pはウィルス感染に弱いです。サーバーを経由せずクライアント同士で繋がっているため、どうしてもウィルスを防ぐ障壁が低いのです。
さらにはこのウィルスが誰によって仕掛けられたのかを追跡するのも大変です。
またクライアント同士をつなぐことはデータ流出にも繋がります。
P2Pの事例
危険性も高いP2Pですが、実際私たちの身近な所で使われています。
いくつか事例を見てみましょう。
1 Skype
出典:skype.com
言わずと知れたチャットツール、SkypeもP2Pです。
だから無料の通信も可能なのです。
しかしSkypeのすべての機能がP2Pというわけではありません。
例えばログイン機能などはクライアント・サーバー方式で提供されています。
このようにP2Pにもいくつか種類があるのです。
サーバーを完全に持たない「ピュアP2P」
また「スーパーノード型」という能力の高いクライアントに処理を分配する方式もあります。
2 LINE
出典:line.me
なんとなく察していた人もいると思いますが、LINEもP2Pです。
まさにP2Pのメリットを活用したサービスと言えるでしょう。
3 Winny
WinnyはP2Pを利用したファイル共有ソフトですが、現在サポートは終了しています。
違法ダウンロードの横行、ウィルスファイルの拡散などP2Pの負の面をこれでもかと見せつけた存在でした。
詳しくは書きませんが、気になる人は「Winny」「Winny事件」などで検索してみてください。
WinnyはピュアP2Pだったそうです。
4 仮想通貨
仮想通貨にもP2Pが使われています。
仮想通貨の実現のためには高速・大量の取引に耐えうる処理スピード・分散管理が必要でした。
まさにP2Pが活躍できる領域です。
しかし仮想通貨にセキュリティ・リスクのあるP2Pが使われているというのは不安ですよね。
データの整合性も気になります。
で、そこを解決するのが「ブロックチェーン」なのですが、ここでその話をすると長くなってしまうので、またの機会にしておきましょう。
P2Pを考えてみる
以上、P2Pについて説明してきました。
ネットワーク方式のことですが、身の回りにP2Pは多く存在していますし、今後さらに増えていくことでしょう。
関係ないと断じることなく、注目を浴びている技術がどのようなものなのか、その長所と短所などを把握できることは、現代のビジネスパーソンに求められる必須の技能なのかもしれません。