カスタマージャーニー:顧客の旅


出典:gahag.net
カスタマージャーニーは新規事業開発でよく使われる手法です。
ワークショップやビジネスプラン作成で使ったことがある、見たことある人も多いのではないでしょうか?

カスタマージャーニーは最近注目されているUXデザインにおいても不可欠な概念です。
ビジネスを創出したい、改善したいのなら、しっかりと理解しておきましょう。

今回は、カスタマージャーニーの基本から、その最大の特徴とマーケターの役割を見つめ直してみます。

カスタマージャーニーとは?

定義とカスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーとは、顧客が商品を知ってから買うまでのストーリーをいくつかのステップに分けて時系列で表現したものです。

カスタマージャーニーでは、顧客の「行動」「思考」「感情」を時系列で捉えることができます。これによって、それぞれのタッチポイント(接点)ごとにどんな情報を提供すればよいのかを検討するのです。

通常、カスタマージャーニーは、「カスタマージャーニーマップ」という形で表現されます。

起業tv編集部作成

縦軸にフェーズ・行動・思考・感情をとり、横軸に時系列ごとのイベントを配置していきます。
カスタマージャーニーマップの作成方法、配置する要素にはいくつかの種類があるので、やりやすい・使いやすいものを真似して使ってみると良いでしょう。フェーズを決めるのが難しければ、AIDMAやAISASなどが使えるので勉強してみてください。

カスタマージャーニーが使われる理由

1 コモディティ化

カスタマージャーニーによってUXを捉えることが必要とされた要因の1つ目は、商品のコモディティ化です。
以前に比べるとソリューション(商品の機能)単体での差別化が難しくなってきています。
そのため、顧客に対してどのような体験を提供できるのかに焦点が当てられるようになったのです。

カスタマージャーニーはこのUXを捉える上では欠かせない手法となっています。

2 スマホの普及

スマートフォンが普及したことで、以前とは情報の流れが大きく変わりました。結果、顧客と商品情報のタッチポイントも多様化しています。
そのなか、適切なタイミング、チャネルを検討するのにカスタマージャーニーは優れているのです。

3 分析ツールの高度化

ビッグデータ解析データマイニングなどの、データ取得技術、解析技術の発展も理由の1つです。
カスタマージャーニーは社内(チーム)でのインタビューで簡単に実行することもできますが、より効果的に実行するためには大量のリアル・データの分析が必要です。
分析ツールの高度化により、より本格的にカスタマージャーニーを作成できるようになりました。
以下にいくつか例を示しておきましょう。

◆:ExperienceFellow
カスタマージャーニーを生成してくれるサービスデザインツールです。『THIS IS SERVICE DESIGN THINKING』という本を書いたマーク・スティックドーン氏とヤコブ・シュナイダー氏によって作られました。
2週間の体験利用が可能です。

◆:The Customer Journey to Online Purchase
こちらはGoogleが提供しているツールです。Googleの持つ膨大なデータをもとにして作られているようです。

カスタマージャーニーの3つのメリット


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1 顧客目線に立てる

カスタマージャーニーマップは顧客の旅を表現しています。
作成する段階から徹底的に顧客の立場をシミュレーションする必要があるのです。

カスタマージャーニーマップの作成のためには、顧客へのインタビューが大切になってきます。
特にスタートアップにとっては、「顧客の声を聴くこと」は第一の仕事です。
➡ 『カスタマーの潜在的ニーズをいかに見つけてくるか』「Startup Science」著者が語る”スタートアップの営業”とは

カスタマージャーニーはその考え方の象徴ともいえます。

2 チームでの共有が進む

チームでカスタマージャーニーマップを作成・共有しておくことで、どのような顧客にどのようにアクセスしていくのかが明確に共有されます。ペルソナだけではカバーできない部分まで共有できます。

サービス・プロダクト設計においてこのメリットはとても大きなものです。
また、サービス開発につきものの変更もマップに反映させていけば、急な方針転換にも全員で対応できるようになります。

3 俯瞰的な視点からタッチポイントを検討できる

カスタマージャーニーをステップごとに俯瞰的にみることで、顧客と商品のタッチポイントの最適化を考えることができます。以下のようなことが検討材料です。

-どのタイミングでどの情報を提供するか。
-どのチャネルを使うのが効果的か。
-どのように顧客の思考・行動を誘導するか。

これらのことをチームで共通認識を持ちながら議論できるのがカスタマージャーニーマップ制作のメリットです。

 

カスタマージャーニーマップの作り方|4つのステップ

カスタマージャーニーマップの作り方は、①ペルソナを設定する ②仮説を立て、検証する ③マップのフレームワークを決める ④マップを埋める4ステップからなります。

 

ステップ① ペルソナを設定する

最初はターゲットの人物像、ペルソナを設定しましょう。

できるだけ細かい情報まで設定し、特定の人物像がイメージできるレベルを目指します。対象の精度に関しては、この後のステップで検証するので、あまり気にする必要はありません。

このステップではペルソナがどのようなカスタマージャーニーを辿るかについての仮説も立てておきましょう。次ステップを効率化することができます。

ステップ② 仮説を立て、検証する

ペルソナ設定が終わったら、そのペルソナのカスタマージャーニーの検証に移ります。
インタビューやアンケートを用いて、ステップ①でつくったペルソナとカスタマージャーニーの仮説を修正していきましょう。

具体的には、インタビューなどで得たデータを参考にしながら、ペルソナが自社のサービスとどのように関わっていくのかを描き出していきます。この時点では無理に構造化にこだわる必要はありません。

まずは、ペルソナがどう動くかの仮説→実際の動きを検証、というプロセスを辿ってみましょう。

 ステップ③ マップのフレームワークを決める

3つ目のステップでは、カスタマージャーニーマップのフレームワークを決めます。

カスタマージャーニーマップのフレームワークとは、マップの縦軸・横軸の組み合わせのことです。

本記事の冒頭で紹介してカスタマージャーニーマップでは縦軸に「行動・思考・感情」、横軸に「時系列ごとのイベント または フェーズ」を用いましたが、これとは異なるカスタマージャーニーマップを見た人もいると思います。

カスタマージャーニーマップにはいくつかのやり方があり、作りたいサービス・プロダクト、チームによって使い分けると良いでしょう。

もし迷ったらこの記事のフレームを試してみてください。。
『起業の科学:スタートアップサイエンス』でもこのタイプが使われています。

 

ステップ④ マップを埋める

最後に、ステップ③で作ったフレームワークにステップ②までで集めた情報を載せていきます。
これまでのステップが十分にできていれば単純なプロセスです。

上手くいけば、集めた情報・考えたことが構造化されていくと思います。

これでカスタマージャーニーマップは完成です。

実際にはいきなり完璧なカスタマージャーニーマップを作るのは難しいかもしれません。
プロジェクトを進めていく中で間違っていたこと、新たに発見したことを付け足しながら、だんだんと良いカスタマージャーニーマップを仕上げていってください。

カスタマージャーニーの特徴とマーケターの役割


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カスタマージャーニーとカスタマージャーニーマップについて基本的なことが分かったところで、ここからはカスタマージャーニーの使い方をもう少し考えてみましょう。

1つ目の質問です。
カスタマージャーニー最大の特徴とはなんでしょうか?

 

それは「顧客目線」ではありません。
「時系列」「ステップ」です。

時系列に沿ってステップごとに考えるのがカスタマージャーニーです。
その仕組みにより、カスタマージャーニーは顧客の「変化の様子」を浮き彫りにします。

数学がわかる人であれば、微分するのと似た感じだと言えば伝わるのではないでしょうか。

では2つ目の質問です。
マーケターの役割とは何でしょうか?

 

顧客目線でシミュレーションし、「顧客を知ること」は大事です。
しかしそれはマーケターにとってはほんの過程でしかありません。

マーケターが真にやるべきことは、「顧客を変化させること」です。

カスタマージャーニーマップ  → 顧客の「変化の様子」を浮き彫りにする
マーケター → 顧客を自分の望む形に「変化」させる

このことを踏まえて、カスタマージャーニーの使い方を再考察してみましょう。

カスタマージャーニーの使い方
STEP 1:カスタマージャーニーを使って、現在の顧客の行動・思考・感情がどのように変化しているのかを観察する。
STEP 2:自社にとって望ましいように顧客が変化するためのシナリオを考える。
STEP 3:シナリオ実現のために使えるチャネル・タッチポイントを検討する。

STEP 1で「現在のカスタマージャーニー」を見つけ出し、STEP 2で「理想のカスタマージャーニー」を考え出し、STEP 3にてカスタマージャーニーを現在のものから理想のものへと変化させていく。

これがカスタマージャーニーの使い方のなのです。

カスタマージャーニーで何をするのか


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新しいサービス・プロダクトを考えるとき、何となくカスタマージャーニーを作ってみることがあるかもしれません。ワークショップなどで教えてもらい、とりあえず利用している人もいるでしょう。

しかし漠然とカスタマージャーニーマップを作成することに価値はあまりありません。

-何のためにカスタマージャーニーマップを作るのか。
-どのようなカスタマージャーニーが自分たちの理想なのか。
-現在のカスタマージャーニーを理想の形に近付けるために、マップのどこを活用すればいいのか。

これらの前提を常に念頭に置きながら、カスタマージャーニーマップの作成・運用を行うことで、「顧客の変化」を実現する、すなわちマーケターの役割が果たせるのです。

新規事業を失敗させないためには


企業が新規事業で失敗しないためには、カスタマージャーニーという知識をしっかりと理解し、その上で課題をしっかりと深掘りし、解決策を見つけ、小さく改善を繰り返していくことが大切になってきます。

カスタマージャーニーの最低限の知識を知っている、いわば新規事業創造のための型を知っているということは失敗のリスクを直接的に下げることができることに他なりません。

カスタマージャーニー、エンパシーマップ、AARRR指標、PMF、CPF、VRIO分析、ユニットエコノミクスなどなど……。

みなさんはどれほどの知識があるでしょうか?

知識があるというだけで、失敗のリスクは劇的に減ります。
そして知識を活用できる段階に入ると失敗のリスクはさらに下がります。

これから起業や新規事業を興す人が先ほど挙げたような語句を理解していないと、成功させることはかなり難しいと思われます。

しかし、知識はもちろん学べばいいのです。

これまで起業や新規事業、マーケティング系の記事を書いてきた起業tvの運営会社アントレプレナーファクトリーとAmazon経営書関連40週連続1位の『起業の科学』執筆者田所雅之氏がコラボした、新規事業創造の型を身につける動画サービスが「enfacスタートアップサイエンス」です。

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