みなさんは「ウェルネス経営」というキーワードを耳にしたことはありますか?
これは、従業員の心と体の健康を経営の柱の1つとして位置づけることを言います。
2015年5月には、FiNCや日本交通株式会社、吉野家ホールディングス、リンクアンドモチベーションなどがこの「ウェルネス経営」を導入したこともあり、注目が集まっています。
今回は、そんなウェルネス経営についてまとめました。
ウェルネス経営とは?
出典:http://www.friendsofglass.com
ウェルネス経営とは、「企業が従業員の心と体の健康を重要な経営資源として捉え、その増進に全社的に取り組んでいく新しい経営手法」です。
これまでの健保組合を中心に従業員の健康を守り、欠勤率や疾病率を抑えて健保財政の健全化を進める取り組みだけではなく、企業にとって最大の資源である“ヒト”に対して積極的に健康投資を行うことで個人のやる気を引き出し、組織を活性化する狙いがあります。
ウェルネス経営の4つのメリット
出典:http://www.menshealthresourcecenter.com
上に記したように、ウェルネス経営にはヒトに投資を行うことでやる気を引き出し、組織を活性化させることができるというメリットがあります。
そういったことも踏まえて、FINCは4つのメリットを提唱していますので、以下で紹介します。
・健康増進を支援する企業としてのブランドイメージを浸透させることができる。それによる金融市場における評価の向上や、優秀な人材採用力の向上が見込まれる。
・従業員の生産性向上や社員満足度の向上、組織活性化による業績の向上
・医療負担や離職率低下による採用・教育コストの削減
・安全配慮義務を満たし、労務・訴訟リスクの低減が実現可能
ウェルネス経営のためのサービスを行う「FINC」
出典:https://finc.co.jp
ウェエルネス経営の推進を提唱している代表的企業として、モバイルヘルステクノロジーベンチャーであるFINCがあります。
同社は、事業の1つとしてストレスチェックやウェルネスサーベイ、ウェルネス家庭教師などのトータルソリューションを手がけています。
出典:https://wellness-survey-lp.finc.co.jp/#wellness
具体的には、「ウェルネスサーベイ」は、生活習慣・健康状態の観点から全社員にアンケートを行い、従業員の生活習慣・健康状態を定量的に把握する、オンライン診断サービスです。
このアンケートは回答時間10〜20分程度、110〜350問までの設問で構成されており、社員の生活習慣と現在の心身の健康状態や将来の生活習慣病リスクをスコアリングするものです。
また、「ウェルネス家庭教師」では、健康に関する知識を持った専門家が、健康を促進する各種機能が備わったスマートフォンアプリを通して健康をサポートしています。
この強みとしては、専門家が監修・指導しているということやエビデンスに基づく検査・解析技術を持っていること、各界の著名な専門家ネットワークを保有し、パーソナライズ化されたソリューションを提供できる点が挙げられます。
ウェルネス経営協議会
出典:http://techon.nikkeibp.co.jp
2015年10月には「ウェルネス経営」に賛同する20社を発起人とする「ウェルネス経営協議会」が発足しています。
そこには以下のような企業が名を連ねています。
ANAホールディングス、カーブスジャパン、ゴルフダイジェスト・オンライン、GLP投資法人、JOYFIT(ウェルネスフロンティア)、ソフトバンク、東京ミッドタウンクリニック、日本交通、ネオキャリア、ネスレ日本、ハーマンミラージャパン、ファミリーマート、FiNC、Forbes JAPAN(アトミックスメディア)、ポラリス・キャピタル・グループ、みずほ証券、ユーグレナ、吉野家ホールディングス、ホットヨガスタジオLAVA(ベンチャーバンク)、リンクアンドモチベーション
業界を問わず大手からベンチャーまで、幅広い企業が参加しています。
協議会では、健康増進に関する取り組みやデータを企業間で共有して、従業員のさらなる健康増進を目指していくとしています。
ウェルネス経営が社会全体にもたらす効果についても検証し、活動を通じて得たデータは社内だけではなく国内外に発信していく予定です。
今後も要注目の「ウェルネス経営」
出典:http://www.carolinapartners.com/wellnesstherapies/index.php
ヘルスケアサービスを手がけるベンチャーと大手企業の提携、相次ぐ上場などが見られ、近年注目されている業界です。
2015年7月時点で607社のバイオ・ヘルスケアベンチャーが存在しているという結果が出ており、今後はFINCのようなヘルスケアベンチャーがさらに増えてくると予想されています。
無給での労働やハラスメントなどの報道が耐えない今の世の中、そういった状況を作らないことで健康を保つというだけではなく、さらに1歩踏み込んだ「ウェルネス経営」が当たり前の時代になるのもそう遠くはないかもしれません。