スタートアップに最適な環境 イスラエル
世界最小GPSモジュールを開発した会社が、イスラエルのスタートアップであるということをご存じの方は少ないと思います。
出典:broadband.se/suppliers/
これを開発したOriginGPS社を初め、イスラエルでは有力なスタートアップが次々に誕生しています。これには幾つかの理由がありますが、一番大きな理由は政府の潤沢な支援によるところが大きいと言われています。
イスラエルという国が人も資源も不足していたため、政府は人・モノ・金を呼び込むために積極的な誘致策を展開します。その結果、ベンチャーキャピタルのイスラエルへの投資額は約4000億円(2014年)まで成長します。
その恵まれた環境からOriginGPS社のような世界に通用するスタートアップが生まれました。
明確な方向性を持ったスタートアップ
2006年にHaim Goldberger氏(現社長兼CTO)達によって起業されたOriginGPS社は、小型サイズのRFアンテナモジュールを開発・製造する会社としてスタートします。その後、GPSの開発・製造にメインビジネスを移して行きます。
OriginGPS社は保有する技術を鑑みて、2つのビジネスダイレクションを設定します。
1つ目は、現在の同社のビジョンにもあるように、GNSS(Global Navigation Satellite Systems=全地球測位システム)のエリアに力を入れて、この分野で世界一を目指すこと。
2つ目は、製品の小型化を行うことによって、より汎用性を増すことです。
この2つのダイレクションが融合して生まれたのが、世界最小GPSモジュール“Nano Spider”です。
出典:lbszone.com/2015/09/17/origingps-secures-1-75m-funding-round/
2014年に発表されたこの製品は、4x4x2.1mmの大きさで、これまでの世界最小GPSモジュールより47%体積が小さい画期的な製品でした。
GPSモジュールを小型化することにより、今まで搭載出来なかった製品にGPSモジュールを搭載することが可能になりました。
OriginGPS社が目指していたより汎用性を増すというビジネスダイレクションに、しっかりと呼応した製品となりました。
“Nano Spider”を発表して間もなく、同製品は大手GNSS製造会社CSR社が製造する製品の構成部品として採用されます。CSR社が製造するGNSSモジュールは、ウェラブル端末に広く使われることになります。
出典:www.csr.com/ja/products/technologies/location
これが実現できたのは、ウェラブルカメラやウェラブルウォッチなどへの搭載に耐えられる性能、サイズを実現出来たのは、OriginGPS社の高い技術力があったからです。
安心感がある投資先
自社の強みと方向性が明確なOriginGPS社は、投資先としては安心感のあるスタートアップだと考えられます。2015年にもU$175万(約2億円)の資金調達をベンチャーキャピタルから受けています。
技術力は既存製品の高いクオリティーから証明されていますが、会社のビジョンが明瞭である点、また自社の強みにマッチしている点は、今後の堅調な成長を期待出来るスタートアップだと思われます。