新規事業開発の肝は…


出典:gahag.net
ある日、新規事業開発チームのリーダーに任命されたあなた。
 
新規事業開発で最も大切なことは何でしょう?
 
チームビルディング、マーケット調査、自社分析などやるべきことはたくさんあります。
それでも最も大切なことはやはりこれです。
 
「アイデア」
これに尽きます。
 
新規事業開発はイノベーションを起こすプロセスです。
外部環境、リソースを見て新たなビジネスを考えなければなりません。
そのためには魅力的なアイデアを思いつかないと意味がないのです。
とはいっても、アイデア作りは難しいものでしょう。
 
なんであの人はあんな画期的な発想ができるのだろう
そんな風にアイデアマンを羨んでしまうかもしれません。
 
しかしながら、アイデアマンたちは毎回白紙の状態からアイデアを生み出しているわけではありません。
アイデア作りには有効な思考プロセスのパターンが存在するのです。
 
今回は『最高の答えがひらめく、12の思考ツール』(BNN, イアン・アトキンソン著)より12種類の思考プロセスのパターンを考えていきます。
 
新規事業開発ルームで頭を抱えているだけの毎日から解放される日は近いです。
 

アイデアを生み出す12の思考プロセス

1.問題を大きくする


取り組む問題が決まったら、その問題をより広い視野から取り組むことができないか考えてみましょう。
考える領域が狭ければ、当然とれるアプローチが少なくなってしまいます。
新規事業開発の初期では、できるだけ多くのアイデアを生み出していきたいので、この思考プロセスを使ってみてください。
 
具体的な方法としては、「なぜ」を繰り返す手法があります。トヨタの「なぜなぜ分析」などが有名です。
この手法によってより根本的な原因などにたどり着くことができます。
 
 

2.他人になる


自分とは異なる立場の人になりきることで、新たな発想を生み出す思考プロセスです。
自分の中からアイデアが出ないとき、データを見ても何も考えが浮かばないときなどに役立つ思考プロセスです。
 
書籍では、①別のブランドになったつもりで考える②別の人(有名人)になったつもりで考える③子供になったつもりで考える などの手法と具体例が示されていました。
 
他にも、強制的に6つの視点を切り替えるシックス・ハット法なども存在します。
 

3.反逆する


新規事業開発、イノベーションの場において、時に「常識」は敵となります。
第3の思考プロセスはこの「常識」に反逆するものです。
 
その問題、問題に対するアプローチ、関連する社会システムなど、さまざまな常識を疑ってみましょう。
 
余談ですが、この思考プロセスは新規事業開発チームのマネジメントにも役立つかもしれません。イノベーションの場に無用なしきたりは排除しておきましょう。
 

4.制約を受ける


制約があることで思考が捗る。そんな人間の性質を利用した思考プロセスです。
本来は存在しない制約を仮設定します。
 
このプロセスのメリットはまず、絞られた選択肢の中で深く考えることができることです。
 
加えて、制約があることで新たなアプローチを生み出せることです。
例えば、あるソリューションAが思いついているときに、あえてそのソリューションAがとれない制約を導入することで、よりイノベーティブなソリューションBが生まれるかもしれません。
 
この思考プロセスは第3の思考プロセス「反逆する」とも相性がいいので、組み合わせて使ってみましょう。
 

5.選択肢を設計する


これはより具体的な思考プロセスです。
顧客・ユーザーにしてほしい行動があるときに、そこに選択肢を導入できないか考えるプロセスとなっています。
わかりにくいと思うので、具体例を挙げましょう。
 
ある男性用のトイレで、便器の周りが汚れすぎているという問題がありました。そこでこれを解決するために、便器にハエのような絵を付けました。すると、男性たちはそのハエに狙いを定めるようになり、汚れが抑えられたのです。
 
つまり、選択肢のない所に新たな選択肢を生み出すことで、期待する行動へと誘導するのです。
 
この思考プロセスは交渉でも使えます。
<例>
「草むしりしてくれない?」➡「草むしりか洗い物、どっちがいい?」
*Yes/Noではなく、別の選択肢を提示することで、聞かれた側はどちらかを選択してしまう傾向にあるようです。
 

6.古い+古い=新しい


「アイデアは既存の要素の組み合わせである」
これは有名な原則だと思います。
 
有名な例はiPhoneです。
iPhoneには特別新しい技術は使われておらず、当時のソニーにも作ることができたと言われています。しかしながらその技術は別々に利用されていたのです。
スティーブ・ジョブズはそれを上手く組み合わせ、iPhoneを生み出しました。
 
この思考プロセスで大事なのは、要素分解ができるか、です。
組み合わせるといっても、そのまま足し算や掛け算をするわけではなく、因数分解してから様々な組み合わせを試していくのです。
 
この思考プロセスは多くの新規事業の現場で使われていると思います。
もし時間があれば、他社のイノベーションが既存のどの要素の組み合わせなのか、チームで考えてみるのも面白いかもしれません。
 

7.逆行分析する


Goalから考える思考プロセスです。
このパターンは、理想の状態・終点がはっきりしているときに使えます。
新規事業開発においては、明確な指針の指示があった場合や明確なビジョンが共有されている場合などに有効となるでしょう。
 
この思考プロセスで成功するためのキーポイントは、理想の状態が実現している、と仮定することです。
あなたが行うのは逆行分析、リバースエンジニアリングです。
アイデアを生み出すプロセスではなく、仕組みを分析するプロセスなのです。
 

8.問題を回避する


新規事業開発において議論が進まなくなってきたとき、有効な解決策が出てこなかったとき、こう尋ねてみてください。
 
その問題、本当に解決する必要あるの?
 
全ての問題を解決しなければならないというルールはありません。
目の前の道が大岩でふさがれているのなら、別の道を探してみてもいいのです。
 

9.ランダムを挿入する


既存の考えから離れて、多角的な視点を持つ水平思考を促すパターンとして、ランダムを使う方法があります。
カードや表などにワードを書いておき、それを使って思考していくやり方です。
アイデア系のワークショップに参加したことがあれば、取り組んだことがあるのではないでしょうか?
 
書籍で「マッド・インベンター」という面白い手法があったので紹介しておきます。

<マッド・インベンター>

①1人当たり紙を3枚配り、それぞれに「物体(事実)」「見た目(形状)」「機能」を書く
②「物体」「見た目」「機能」ごとに紙の束をつくる
③それぞれに再配布し、その組み合わせで新たな商品を発明する
 
「ランダム」を使う手法は時に大きな力を発揮します。
しかし1つ注意すべきなのが、この思考プロセスはあくまで“ランダム”なものだということです。
 

10.精査し、推定する


このプロセスは問題をひたすらに分解し、分析し、その解決策を導き出すものです。
書籍では「好き嫌いがはっきり分かれる」プロセスだと述べられています。
 
この第10のプロセスはとてもエンジニアリング的なプロセスで、またイノベーションに向いているタイプでもありません。
しかし追加的な問題解決の場で役立つものです。
 
新規事業開発では後期、最終局面においてアイデアを詰めるために使いましょう。
 

11.シンプルな解決をする


シンプルなのは、いいことです。
 
新規事業開発では、ついつい難しいばかり考えてしまうかもしれません。
画期的なアイデアを見つけようとすると、だんだんと複雑なスキームを描いてしまっていることもあるでしょう。
 
定期的に、今考えていることをシンプルにしてみる、問題とその影響をシンプルに描いてみるなどの時間をとるのが、新規事業開発でシンプルさを失わない秘訣です。
 
シンプルなものの方が、ユーザーにもウケます。
 

12.組み合わせ、再定義する


最後の思考プロセスは、これまでの総集編です。
「臨機応変に、すべての思考プロセスの使用を念頭において、実行すること」になります。
 
ある問題に対して、プロセス1で取り組み、そこから出た新たな問題に対してプロセス5を使って…、というパターンもあれば、同じ問題に対して複数のプロセスを試してみる方法もあります。
 
各プロセスにメリットとデメリットがあるので、上手く組み合わせて使いましょう。
 

アイデアは新規事業開発の要-思考プロセスを深めよう


出典:gahag.net
アイデアを生み出さなければ「新規」事業開発はできません。
アイデア作りは難しいものです。
 
しかし現代においてアイデア作りは再現性のない「アート」ではありません。
「サイエンス」であり「デザイン」であり「エンジニアリング」なのです。
 
思考プロセスを学んで、面白いアイデアを生み出しましょう。

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