そんな時はMVP

出典:gahag.net

「新しいビジネスを思いついた!」
「でも本当に売れるかな……」
「完成版を作って売れなかったらヤバイし……」

何かビジネスのアイデアがあっても、それをいきなりビジネスにするのは難しいでしょう。
まずはそのアイデアを検証したいものです。

従来の製品開発では、完成品を作ってから売っていくのが普通でした。
マーケティング調査もアンケートやインタビューが主です。

リーンスタートアップデザイン思考の下ではそのような方法は取りません。

まずは不完全でも「形」を作って、それを試しながら進めていく。
それがリーンスタートアップやデザイン思考のやり方です。

今回紹介する「MVP」はリーンスタートアップで用いるアプローチの1つです。

製品アイデアの顧客ニーズを正確に測るためのMVP。
その意味とメリット、実行の際の注意点を学んでいきましょう。

MVPとは-Minimum Viable Product

MVPはMinimum Viable Productの略で、日本語では「実用最小限の製品」と訳されます。

その名の通り、最小の機能だけを搭載した製品のことです。
完成版の製品の場合、メイン機能以外にも付随した機能やデザインなど、多くの要素が必要になってきます。
それに対してMVPでは、とりあえずその製品にニーズがあるか判断できる程度の機能だけを実装しています。

なぜMVPを使うのでしょうか?

そもそもMVPはリーンスタートアップの1アプローチです。
ここでリーンスタートアップについて復習しておきましょう。

リーンスタートアップとは、「無駄を排除した効率的な事業創造」のことです。
「(仮説)構築→計測→学習」のサイクルを回しながらビジネスを進めていきます。

MVPもその1つです。
MVPに与えられた役割は「その商品に本当にニーズがあるのか、どのようなニーズがあるのか」を把握することになります。

起業家自身だけでは、その商品に本当にニーズがあるのかわかりません。
そこで「じゃあ実際に市場に投入して確かめてみよう!」という発想がリーンスタートアップです。

とはいっても完成品を投入してしまっては事前のニーズ把握にはなりません。
そこで「実用最小限の製品」であるMVPを投入するのです。

MVPを使う5つのメリット

MVPを使うメリットをまとめてみましょう。

① コスト(時間・労力・費用)を抑えられる

MVPの大前提としてあるのが、コストの抑制です。
限られた機能のみ実装するので、短い時間・小さな労力・低い費用でMVPは作成可能です。

② ニーズを把握して改善を繰り返せる

低コストのMVPは何度も新しくして投入することができます。

1回目の投入で把握した顧客ニーズや不備を次のMVPに反映して投入する、という学習と改善のサイクルを低コストで回すことができるのです。

最初から完成品を投入していた場合はこのような軽いフットワークはとれないでしょう。

③ 最小限の機能だから、どこが悪いか明確になる

MVPは機能を絞っているため、どの部分がニーズと一致しないかの発見がしやすくなっています。

完成品の場合、メイン機能以外にも様々な要素が存在しており、どこに原因があるのかを発見するのが大変です。
MVPはシンプルでごまかしがきかないゆえに、発見が容易なのです。

④ 早い段階で収益化できる

MVPは無料で出すことも多いですが、有料にすることだってできます。
むしろお金を出して利用してもらうからこそ得られるフィードバックもあるでしょう。

結果として、早期での収益化が可能になります。
市場把握や開発費・宣伝費などに回すことが可能です。

⑤ 先行者優位を築ける

早い段階で商品と企業を認知してもらうことで、先行者としての競争優位を獲得できる可能性もあります。
結果的にプロモーション費用の抑制につながるかもしれません。

MVPを使う際の注意点

最後にMVPを用いる際の注意点を並べておきましょう。

-完璧志向を捨てる

MVPを使う場合は完璧志向を捨てましょう。
MVPには粗があって当然です。細かい部分にこだわって市場投入が遅れてしまうと学習のサイクルの回転が悪くなってしまいます。
そうなってはMVPを使っている意味がないのです。

-集まったデータをしっかりと分析する

完璧志向を捨てる、とはいっても「とりあえず」サイクルを回し続けるだけでは高い効果は得られません。

リーンスタートアップでは「計測」も大事です。
集まったデータをしっかりと分析して、次のMVPに活かしていきましょう。

そのサイクルではどのような仮説を検証したいのか、も把握しておきたいです。

MVPで勝利をつかめ

MVPを顧客に使ってもらうことでわかることは思いがけず多いものです。
現代のビジネス・スピードの中、従来の製品開発のノリでやっていてはスタートアップは勝てません。

MVPで高速のサイクルを回して、勝利を掴みましょう。

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