ファイブフォース分析は現代でも役に立つの?
Contents
ファイブフォース分析の弱点を知る-現代でも使えるの?
出典:publicdomainq.net
さて、このファイブフォース(5forces)分析の何が弱点とされているのでしょうか?
ファイブフォースの2つの問題点
1つ目は従来から存在している弱点、「個別の企業が何をすべきかが考えにくい」ことです。
ファイブフォース分析はあくまで業界分析に過ぎず、自社の競争戦略の構築に役立ちにくいとされています。
もう1つは、産業・業界の存在を前提としているファイブフォース分析は「流動的な現代のビジネス状況に合っていない」というものです。
ファイブフォース分析が生まれた時代では、業界というものは現代と比較して固定的なものでした。
だからこそ、どの業界が儲かるかということは重要な1つの指標となっていました。
一方で、顧客の行動が多様化し、同じニーズに対して複数の業界がアプローチすることも増えた現代の業界構造は流動的なものといえます。
この環境の変化がファイブフォース分析の有効性を低減させているのです。
問題点の解決
では、もはやファイブフォースは時代遅れの使えないフレームワークなのでしょうか。
確かに変化の激しいビジネスの世界でいつまでも有効なフレームワークなんて存在しないのかもしれません。しかし、利用の仕方を工夫すればいくらでも使い道はあるはずです。
ファイブフォース分析の目的は「業界の収益・競争構造を知ること」、そしてファイブフォース分析の本質は「ファイブフォース(5つの脅威)に着目すること」です。
ファイブフォース分析を利用することで得られるのは自社に降りかかり得る脅威についての情報です。
これらの情報が脅威への備えにつながり、自社の堅固な地位を築き上げることになります。
また、流動的な環境に対応するためには1種類のファイブフォース分析では足りないかもしません。
様々な視点をつかって、自社が複数の業界にまたがっていることを想定しましょう。
フレームワークはあくまでツール、そのツールの使い方を考えるのは常に人間なのです。
ファイブフォース分析で脅威に備える!
出典:gahag.net
5つの競争要因(脅威)を分析するファイブフォース(5forces)分析は、十分に今の時代にも活用できる分析フレームワークです。脅威に備えるのはビジネスの世界では当たり前のことで、脅威に備えるためにはまずどんな脅威があるのか知らなければなりません。
ファイブフォース分析だけでは勝てませんが、生き残り戦略の最低条件といえるかもしれません。明日の脅威に備えましょう。
補論:スタートアップ(事業創造時)のファイブフォース分析
スタートアップ企業や、ビジネスプランづくりにおいてもファイブフォース分析は使えます。スタートアップにとっての5つの脅威はどんなものがあるでしょうか?
1.業界内の競合
あなたのプロダクト・サービスの競合となるのは誰でしょうか?おそらくはアイデア創造のときに参考にした企業が中心になると思います。
彼らがとっている戦略はあなたの事業の「コスト構造」、「収益の流れ」にも深く関わってくるでしょう。競合企業と戦って勝てる根拠を説明してみてください。
2.買い手の交渉力
あなたのビジネスは顧客にどれほどの価値を提供できるでしょうか?
設定した顧客セグメントは本当にあなたの製品を購入するのでしょうか。「ペルソナ」を設定して、シミュレーションしてみましょう。
3.売り手の交渉力
あなたのビジネスに資源を提供してくれる相手との関係はどのようなものでしょうか?
スタートアップにとって、サプライヤーの確保は難しく、自社の交渉力もまだまだ低いでしょう。まずは必要となるサプライヤーの環境を調べ、「キーパートナー」となるような相手を探してみましょう。
4.新規参入者の脅威
あなたのビジネスプランはすぐに模倣されませんか?
あなたのビジネスプランが優れたものであった場合、他の大手企業が同じモデルで参入してくるかもしれません。もしそうなれば、圧倒的な資源力、チャネル力であっさり敗北してしまう危険性があります。
そのような事態を避けるために、どのような参入障壁を構築できるか考えていきましょう。
5.代替品の脅威
あなたのビジネスの敵になるのは1で想定した競合だけなのでしょうか?
機能や提供価値が類似しているものは競合になる可能性があります。代替品の脅威を想定していなかった場合、予測した売り上げを大幅に下回り、さらにその原因が特定できないという事態が起こります。
ここまで5つの脅威について考えてきましたが、ファイブフォース分析は希望も示してくれます。代替品の脅威で逆の視点を使うと、その代替品にとってあなたのビジネスが脅威になることがわかります。当初は想定していなかった市場が見つかるのです。
ぜひファイブフォース分析を役立てていきましょう。