Dropboxのビジネスについて知っていますか?

Dropboxを使ったこと、ありますか?
Dropboxは無料で使うこともできる便利なオンラインストレージサービスなので、お世話になったことのある人も多いかもしれません。

Dropboxは世界中に多くのユーザーを抱え、進化し続けています

今回はそんなDropboxのビジネスモデルを勉強して、ビジネス会話や自分の事業へ活用できるようになりましょう。

Dropboxについて
設立年:2007年
創業者:ドリュー・ハウストン(CEO)、アラシュ・フェルドーシ
時価総額:102億円(2019年7月19日)
ユーザー数:5億人(2018年)

Dropboxのビジネスモデル

まずはDropboxのサービスについて軽く説明しておきましょう。

提供しているサービスは「オンラインストレージ」「ファイル共有」です。

本来ならスマホやPCなどの各デバイスに保存されているデータをクラウド上に保存しておくことができます。PCで作業したデータをDropboxに保存しておけばスマホからでもアクセスできるようになるわけです。

またDropboxは多人数でのファイル共有も円滑にしてくれます。
新しくリリースされている「Paper」はDropbox上でドキュメントを共有しながら作業できます。Google ドキュメントみたいな感じですね。

気になる価格設定
2GBまでなら無料で使うことができます。そこから有料プランにしていくと容量が増えたり、新しい機能が使えるようになったりします。

そして特徴的なのが紹介制度。
無料版Dropboxでも1人紹介するごと500MB、最大16GBまで容量を増やすことができます。

さて、ここからが本題です。Dropboxのビジネスモデルを勉強していきましょう。

一言で言うとDropboxのビジネスモデルは「フリーミアムモデル」です。
むしろ「King of Freemium」と呼ばれるくらいなので、フリーミアムモデルといえばDropboxになります。

フリーミアムモデルとは?

フリーミアムモデルとは、基本的なサービスを無料で提供することによってユーザーを確保し、追加サービスを有料にして収益を立てていくモデルのことです。

『フリー<無料>からお金を生み出す新戦略』では「5%ルール」なるものが紹介されています。95%の無料ユーザーに対して5%の有料ユーザーがいればビジネスが成立するというルールです。
実際にはDropboxでも5%に達していないようなので、サービスによりけり、というのが結論かもしれません。

フリーミアムモデルの構造は「多数の無料ユーザー」「一部の有料ユーザー」がいるということです。
ビジネス的に言えば「無料ユーザー」をいかに「有料ユーザー」になってもらうかが肝になります。

ここまでの説明でわかったと思いますが、現在、フリーミアムモデルのビジネスは溢れかえっています。

特にオンラインサービスには顕著です。ユーザーが無料でサービスを提供してもらえることに慣れてしまい、いきなり有料を投げかけると競争の舞台に上がれないことも要因の一つかもしれません。

こう聞くと、ユーザー優位な感じもしますが、実際にはフリーミアムモデルにはサービス側の利点が存在します。
そしてその「利点」を得られるかがそのまま「フリーミアムモデルが実行できる条件」になるのです。

フリーミアムモデルに求められる3条件

フリーミアムモデルに求められる条件は次の3つになります。

  1. 限界費用がほとんどかからない
  2. ユーザーの繋がりでユーザーが増える
  3. 無料ユーザーの意見を活用できる

フリーミアムの条件① 限界費用がほとんどかからない

まず大前提として限界費用に近いことが必要になります。
条件①だけは利点ではなく条件かもですね。

多数のユーザーに無料提供してもビジネスが破綻しないようにするためには、ユーザーが1人増える度にかかるコストを抑える必要があるわけです。

この条件はデジタルコンテンツ系のサービスであればほぼ満たすことができます。
大昔ならいざ知らず、現代のネット世界は非常に安価で利用できますし、デジタルコンテンツはコピーし放題です。

フリーミアムの条件② ユーザーの繋がりでユーザーが増える

フリーミアムモデルのサービスは一人で閉じこもって使うタイプのサービスには向いていません。
他人にすすめ、一緒に使うことのできるようなサービスである必要があります。

無料で提供することで、ユーザーの輪を拡げ、サービスの認知度や人気を伸ばしていくことができるのがフリーミアムモデルの利点です。
逆に、この利点が発揮されにくいサービスはフリーミアムモデルの導入を考え直す必要があるかもしれません。

フリーミアムの条件③ 無料ユーザーの意見を活用できる

フリーミアムモデルは無料ゆえに多くのユーザーを確保することができます。それはつまり、多くのユーザーにプロダクト・サービスを体験してもらえるということです。

ビジネスの改善に欠かせないのが顧客の意見
フリーミアムモデルであればその絶対量を増やすことができます。

逆に、無料ユーザーの意見は参考にならないタイプのビジネスは、フリーミアムモデルには向いていません。

Dropboxのサービスを振り返って俯瞰的に眺めてみてください。
King of Freemiumと呼ばれるに相応しいと理解できるでしょう。

Dropboxの強み(なぜ愛されるのか)

フリーミアムモデルにフィットしているDropbox。
それを前提として、Dropboxの強みをもう少し掘り下げていきましょう。

Dropboxの強み① 多くの人に共通する悩み

まず1つ目は「多くの人に共通する悩み」への解決策であったこと。
Dropbox以前はUSBメモリなどを使ってデータを保存・共有していました。デジタルデバイスを使う人すべてにとって共通の悩みだったわけです。

お金を払ってでも解決したいその悩み。
それが無料で解決できる。

これがDropbox拡大の仕組みの根幹にあるものです。

Dropboxの強み② 法人向けプランの準備(生まれるニーズ)

Dropboxは、Dropbox Businessというチーム向け・ビジネス向けの有料プランも提供しています。

仕事の基盤になるようなサービスの場合、無料で拡大させてしまえば、チーム・企業レベルで利用したいという要望が必ず出てきます。
その時、同時に出てくるのがチーム・企業に合わせた仕様へのニーズ

企業レベルであれば生産性向上のための費用を投資する資金があります。
あとは生まれたニーズに応える有料プランを準備しておけばいいのです。

実際、多くのオンラインサービスが有料の法人向けプランを用意していますね。

Dropboxの強み③ 徹底的なユーザー目線「保存したあとは?」

これは全てのビジネスにおいて必要なことですがDropboxには「徹底的なユーザー目線」があります。

Dropboxのサービス的強みの一つが「共有のしやすさ」です。
本来の提供価値は「新たな保存手段」。しかしDropboxはそこに留まらず、保存したあとのユーザーの動きに注意を向けました。

その答えが共有機能。
保存したあと、ユーザーは誰かとそのデータを共有するのです。

自分たちのプロダクト・サービスがどのように使われているのかを見て新たな提供価値は探っていけるか。

これもビジネス力ですね。

個人的に好きな事例は「日清のミルクシーフードヌードル」
ユーザーの一部に「シーフードヌードルをミルクで作ると美味しい」という情報が流れていたのに目をつけた日清は、実際に「ミルクシーフードヌードル」を開発してしまいました。

意外とこういう風にユーザーの行動に着想を得て生まれたプロダクト・サービスはたくさん存在します。

.Dropbox誕生秘話(歴史)

Dropboxのビジネスモデルを参考に

DropboxはKing of Freemium、フリーミアムモデルの代表格でした。
スマホが普及し、デジタルデバイスが当たり前の存在となった現代。

フリーミアムモデルはその環境を生き抜く一つの答えです。

本記事ではフリーミアムモデル以外にもDropboxの強みを紹介しました。

成功した原因というのは失敗原因よりも複雑で多くの要素が絡まっています。
いろいろな視点を持って、成功したビジネス事例について考えてみてください。

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