人見知りの転校生

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突然ですが、私は小学校6年生で転校したことがあります。私は人見知りなので、クラスにとけこむことに大変不安を感じていました。
 
さらに、前の小学校との違いにも直面しました。テストのやり方、給食のとり方、休み時間の行動など、様々なことが微妙に前の学校と違っていました。
 
クラスメイトたちは転校生である私に対してとてもよくしてくれました。しかし、それらの違いについて、誰も前もって教えてくれませんでした。
 
当然です。彼らにとってそれらは当然のことで、私が困惑するとは思ってもみなかったのですから。
 
新しい組織に入るとは、そういうことです。
 
その組織には暗黙のうちに了解されていることが多く存在しています。新人はそれを自ら学習して、その新しい組織に適応していかなければならないのです。
 
上手く適応できなかった場合、その人はその組織を離れることになります。最近、若者の早期離職が問題になっていますね。キャリアに関する考え方の変化に加え、このような「適応」の問題も潜んでいる気がします。
 
さて、今回の起業tvで学ぶのは、そんな問題に対処するための「組織社会化」についてです。
 

組織社会化とは

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出典:pakutaso.com
組織社会化とは、「新しく組織に加わったメンバーが、その組織の目標達成のための役割や価値観を獲得しながら、その組織に馴染んでいくプロセス」を指します。
 
その組織の真の一員になること」とも言い換えられます。
 
転校生がどうすれば、ストレスなくそのクラスに馴染んで、上手くやっていけるようになるのか。そのためにクラスメイトや先生には何ができて、また転校生自身には何ができるのか。
 
そういったことを研究している分野が「組織社会化」です。実際の研究対象は主に「企業」なので、事業の成功に結び付くことを前提に論じられています。つまり、新人をいかに早く戦力にするか、ということです。
 
新人教育などは組織社会化を促進するための活動の1つです。
 

組織社会化に関わる3つの課題

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ではさっそく、組織社会化の中身をいくつか見てみましょう。まずは「3つの課題」と呼ばれるものです。
 
新人がその組織に馴染むうえで乗り越えなければならないとされる課題が3つあります。

  • ・文化的課題
  • ・役割的課題
  • ・技能的課題

の3つです。
 

① 文化的課題

その組織の「文化」に対する適応課題です。組織には特有の言葉やしきたりなどが存在します。私が転校した時もそうでした。そういった暗黙のルールは、明文化されることが少なく、新人にとっては最初にぶつかる障壁です。
 
組織社会化のためには、その暗黙の伝達に取り組まなければなりません。
 

② 技能的課題

やはりその組織の一員になるためには、文化だけでなく技能も学ばなければなりません。その組織に必要な技能、またはその組織を成長させるための技能を身につけることで、組織のメンバーとしての価値を発揮することができるのです。
 

③ 役割的課題

組織において人には「役割」が必要です。学校のクラスでは役割はいわゆる「キャラ」という形になって表れていました。
 
「勉強が得意な奴」「運動が得意な奴」「本好き」「面白い」「冷静」など、それぞれがその集団における個性を獲得していきます。
 
会社でも自分の価値を示すために役割が必要となってきます。その会社における自分の存在価値を持つことが組織に適応する重要な手段なのです。
 
このような3つの課題があることを認識して、新人たちがその課題を超えられるようなサポートを心がけてみてください。
 

組織社会化戦術-内容・文脈・社会的3観点から-

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もう1つ、組織社会化に関する研究について見ておきましょう。
 
組織社会化戦術」というものがあります。これは、新人の組織への適応を促す施策のことです。1980年代にはすでに研究されており、21世紀に入ってからもさらなる発展が目指されている分野の1つです。
 
組織社会化戦術の視点は「6つの対極をなす戦術」と「その6つの戦術をどの次元に分けてみるか」です。
 
まず、6つの対極をなす戦術は以下の通りです。
 
(1) 連続的-分離的
(2) 付与的-剥奪的
(3) 規則的-場当たり的
(4) 固定的-可変的
(5) 集団的-個人的
(6) 公式的-非公式的
 
そしてこの6つの戦術をどういった次元で捉えるかが争点になったりもするのですが、ここでは、社会的側面、内容、文脈の3次元による説明を見てみましょう。
 
この3次元は「情報」というものをキーワードに考えるとわかりやすいです。
 

社会的社会化戦術

  • 連続的-分離的
  • 付与的-剥奪的

 
「社会」が続いて少しややこしいですね。こちらの次元は主に、社会的側面、つまり、職場の上司や同僚との関わりについて考えています。情報がどういった関係の中でやり取りされているのか、です。
 
組織に入って参考にする人、つまり先輩社員は組織社会化の重要なファクターです。連続的-分離的の指標はモデルとしての彼らになります。
 
連続的:先輩社員が新人の学習モデルとして有用である
分離的:先輩社員が新人の学習モデルとして有用でない
 
しかし、モデルというのはあくまでモデル、受動的なものでしかなく、モデルから観測者に語りかけることはありません。というわけで、もう1つの付与的-剥奪的では、先輩側からの能動的な取り組みが期待されます。
 
付与的:先輩たちの知識や技能が、新人にとって有用だと感じさせている。
剥奪的:先輩たちの知識や技能が、新人にとって有用だと感じさせていない。
 
このように社会的社会科戦術は、先輩-新人間のインタラクティブな部分に注目した社会化戦術なのです。
 

内容的社会化戦術

  • 規則的-場当たり的
  • 固定的-可変的

 
次の次元では、どういった内容の情報が与えられているのかを考えます。
 
新人にとって、その組織でどのような事が学べるのかは重要です。まずその組織は自分ために学習計画などを考えてくれているのでしょうか?
 
規則的:段階的なステップを踏んだ内容になっている
場当たり的:計画性が乏しい内容になっている
 
また、何を学ぶのか、あらかじめ知らされているかも注意するポイントです。
 
固定的:情報の内容が明示されている
可変的:情報の内容が明示されていない
 
こういった内容面での計画性・明示性があるかどうかを考えるのが内容的社会化戦術となっています。
 

文脈的社会化戦術

  • 集団的-個人的
  • 公式的-非公式的

 
最後の次元では、情報がどのような文脈によって与えられるのかを考えています。つまりは研修がどのように行われているのか、ということです。
 
集団的:研修が集合研修などの形で行われている
個人的:研修が1人1人に対して個別に行われている
 
公式的:通常業務外でのフォーマルな研修が行われている(Off-JTなど)
非公式的:通常業務内でのインフォーマルな研修が行われている(OJTなど)
 
文脈社会化戦術はこの通り、前2つに比べるとわかりやすいものです。一方で、選択・配分の難しさというものが出てきますね。
 
以上、3つの次元、6つの戦術といった視点で、あなたの会社がどのような組織社会化戦術をとっているか見てみるのも有効かもしれません。
 

組織社会化で新人を戦力に

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出典:gahag.net
組織社会化という言葉は難しそうに聞こえます。しかし、私たち、組織に属すことが必要な人間にとってはとても大切な研究分野です。
 
特に、企業にとって、組織社会化を促進する取り組みができているかは、新人の戦力化に密接に関わってきます。
 
マネジャーや先輩社員となる人はぜひ、組織社会化を学んでみてください。

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