AIでアパレル業界の常識を変える
グーグルのパーソナライズド広告やアマゾンのおススメ商品など、消費者の好みの傾向に合わせた検索連動型の広告やマーケティングは近年どんどん主流になってきています。ターゲット型の戦略が持てはやされる裏側には、大勢が持っているメジャーなものを購入するのではなく、マイナーでもより自分の好みやスタイルに合ったものを購入したいという消費者意識の変化があるのではないでしょうか。
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このような、よりパーソナルなニーズに踏み込んだサービスにAI(人工知能)の技術を組み合わせ、アパレル業界の常識を変えようと起業した人物がカラフル・ボード株式会社・代表取締役CEO渡辺祐樹氏です。渡辺氏は時には“生もの”とも揶揄されるアパレル業界が抱える在庫問題の解決に挑んでいます。
AI×起業という道を選んだ渡辺祐樹氏
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渡辺祐樹氏は2005年に慶応義塾大学理工学部を卒業した、まだ30代半ばの若手CEOです。在学時にシステム工学を専攻し、AIの研究に熱中していた渡辺氏は当初研究者への道を歩もうとしていました。しかし、研究を進めるうちに、研究した結果を確立された技術にするには社会のニーズに適応させていくことが必要なのだと気づきます。そして、自分がやりたいのは新しい技術を生み出すことではなく、社会の役に立つことなのだとも確信したのです。
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新しい価値を生み出すには起業家だと進路を決め、卒業後は株式会社フォーバルにアントレプレナーとして入社します。200倍以上の倍率を突破し、厳しい営業ノルマをこなしながら3年でアントレプレナーシップを身に着けるという過酷なプログラムを見事達成した渡辺氏はその後、コンサルティング感覚を身に着けるため2007年にIBM Business Consulting Servicesに入社、
さらに財務・会計的な知識を身につけるため忙しい仕事の隙間時間を利用しつつ公認会計士の資格を取得し、2011年ついにカラフル・ボード株式会社を設立するに至ります。
AI×アパレルが解決する積年の課題
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大量に抱えられている在庫というアパレル業界の課題に目をつけたのは、コンサルティング会社時代の事でした。そこそこの品質のものが安価に大量に短いスパンで流通している現在のアパレル業界の激しい流れの中では、経営環境の厳しさと大量に発生し続ける在庫問題が積年の問題になっていました。
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そんな課題の解決を自信の強みであるAIによって解決しようと立ち上げた事業がカラフル・ボード株式会社でした。開発されたファッションAIアプリ「SENSY」は、一人ひとりのファッション感覚や好みをAIに学習させ、消費者側から生産側に返すことで無駄を省いた流通の実現を目指しています。
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また、このアプリには渡辺氏の前職でもあるIBM WatsonのAIプログラムが用いられており、ユーザーはAIをコンシェルジュ代わりに会話をしながらおススメの洋服やトレンドなどを購入することができることが最大の魅力です。消費者側・生産者側双方がwin-winになるお互いにとって満足度の高い関係作ることで、より良い社会を作るという渡辺氏の夢も実現に向かおうとしています。
今後のAI×??
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カラフルボード株式会社はアパレル業界だけではなく、食品業界への展開も進めています。三菱食品はSENSYを用いて、日本酒業界でも消費者から生産者へのフィードバックを行っています。「AI利き酒師」や「AIソムリエ」のサービスでは、様々なお酒の中から自分好みの一杯を見つけてくれるこのサービスは日本酒離れが進む酒業界の中でもこれからの役割が大きく期待されるサービスの一つです。
今後ますます私たちの生活に欠かせないものになるであろうAI、いつの日かもっとリアルなAIが私たちの相棒になる日も遠くないのかもしれません。