M&A、R&D、A&Dなど、近年たくさんの“○&○”いう経済用語を耳にします
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出典:www.livedoor.com
少しおさらいしておくと、M&Aとは、2005年に行われたライブドアのニッポン放送株の敵対的買収をキッカケに、広く一般にも知られることとなった“Mergers and Acquisitions”の略語で“合併と買収”という意味の経済用語です。
日本ではライブドアという一ベンチャー企業の動きから注目が集まり始めましたが、アメリカでは古くから行われていました。今日お話しする“A&D”もそんな買収の一つ、A&D とは“Acquisition and Development”の略語で買収と開発という意味です。ベンチャー企業や個人によって研究・開発された技術や企業自身までをも買収することで、開発に必要以上のコストを割くことなく新しい技術を得られるというメリットがあります。

A&DとR&Dの違い

A&D に対してR&D は、“Research and Development”の略語で研究と開発という意味です。特にメーカーでは、研究・開発は製造・販売と同様に重視されており、研究・開発を通してその企業をその企業足らしめる新しい技術が生み出されていきます。
しかし、研究・開発は未来の市場やニーズを予想しながら新しい商品や技術を開発していくという性質から、直接現在の利益に結び付くわけではなく、非常に重要な役割を期待されている反面多くのコストがかかる部門でもあります。
そんなR&D ではなくA&D がアメリカの特にTEC業界では主流になりつつある、というのが今回のコラムのテーマです。自社で研究・開発を行うよりも、すでに優れた技術・サービスを持つ企業を買収して自らの傘下に入れる方がより簡単というアメリカらしい発想からでしょうか。
実際アメリカ系の企業では、さらに過去に買収した企業を売却するA&Dと呼ばれる“Acquire & Divestiture”という買収から売却への活動も頻繁に起こっています。
このような企業の動きを結婚に例えるなら、恋から始まる恋愛結婚のような関係がM&Aだとすると、A&Dはもう少しどちらか一方の力が強いような条件重視のお見合い結婚に近いのかも知れません。そしてR&Dは結婚へ向けて理想の相手や自分自身について考えを深める婚活のような過程というところでしょうか。
しかし、win-winの関係を目指すという意味では、M&A、R&D、A&Dのどの活動もより良い自身の成長へとつなげるための重要なステップだと言うことができるでしょう。

シスコのA&D戦略

Ciscoは、アメリカ・カリフォルニア州に本社を置く世界最大規模のコンピューターネットワーク機器開発会社です。
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出典:www.amplexcorp.com
1993年のCrescend Communications社の買収から始まりこれまで約120社以上もの企業を買収してきました。そしてなんとその大半が小規模のベンチャー企業なのです。
CiscoのA&D戦略は多くの企業のA&D戦略モデルだと言われています。買収はその“買収”という一瞬の活動のみで終わるものではなく、買収された側の企業の社員が馴染めなかったり、自社の方針とズレが生じたりと条件のみで丸く収まらないことも多く様々な要因をすり合わせていくという難しさがあります。
しかし、Ciscoの場合は、買収した企業の社員の多くがCiscoの社員としてその後も働き続けていることや成長も見据えた正確な戦略計画が高くされており、本当の意味でのA&Dの成功のパターンとして見なされているのです。

わたし達に身近なGoogleも多くの企業をA&D戦略で買収して大きくなってきたことは実はあまり知られていない事実なのではないでしょうか?
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出典:mobilemarketingwatch.com
AndroidやYouTubeと言った創業した会社の名前が付けられているGoogleのサービスだけではなく、現在はGoogle Map・Google Earthとして使われている衛星地図ベンチャー企業KeyholeやGoogle DocumentのサービスになっているWebベースのワープロを開発したUpstartleなど、買収したベンチャー企業の技術を新たな自社のサービスへとうまく展開していることが見受けられます。
Googleのような今後も幅広くサービスを展開していくような企業に自らが開発した技術を買ってもらうことがこれからの主流になっていくとともに、日本でもこのようなA&D戦略が頻繁に起こるであろうことが予想されています。

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