世界でも共感されるハチ公

日本人が親しみを持っている犬と言えば、渋谷の銅像ハチ公が真っ先に頭に浮かぶ方も多いと思います。
hachiko
出典:www.tripadvisor.com
諸説ありますが、飼い主が死んだあとも、日課となっていた帰宅する主人を駅へ迎えに行った物語は、日本人の心をうちます。
日本犬保存会の斎藤弘吉会長が渋谷駅に通うハチ公を不憫に思い、東京朝日新聞にハチ公のことを寄稿したことで、ハチ公は人々に知られるようになります。
ハチ公の人気は上がり、1934年には渋谷駅に忠犬ハチ公像が設置されます。ハチ公像設置時、ハチ公は生きていて除幕式に参加しています。翌1935年にハチ公は死亡しますが、剥製にされ東京科学博物館で一般公開されます。
戦後になってもハチ公は人々に語り継がれ、1987年には映画“ハチ公物語”が公開されます。
51T4KadI5QL
出典:www.allcinema.net
日本ではすでに有名になっていたハチ公ですが、2009年にリチャード・ギア主演で制作された“HACHI 約束の犬(ハチ公物語のリメイク版)”がアメリカで公開され、海外でもその存在は知られることとなります。
ハチ公に感銘を受けたイスラエル出身の技術者兼起業家がいました。彼は新しく起業した会社の名前にハチ公を使います。その会社の製品は犬と人間の繋がりを強化するものです。Hachiko Technologies社をご紹介します。

渋谷駅のハチ公像を見て、起業する

イスラエル出身のHod Fleishman氏は、それまでテクノロジー系の会社を幾つも起業し運営していた経験豊富な起業家です。
GwibijFX
出典:twitter.com
4年間、日本で勤務していたFleishman氏は、よく渋谷駅のハチ公の横を通っていました。
犬と人間の関係がより親密になる昨今、両者のコミュニケーションをもっと円滑に出来ないかとFleishman氏は考えます。
飼い主は犬の表情を見て、犬が何を考えているかを想像します。本当は、散歩に連れて行って、お腹がすいた、と犬は考えているかもしれませんが、飼い主に声を上げることはありません。
犬が何を考えて、どのような生活をしているのかを理解出来れば、飼い主と犬の距離はさらに近づき、お互いが楽しい生活を送ることが出来るとFleishman氏は考えます。
ならばそのような機械を作れないかと考えたFleishman氏は、Effie Arditi氏、Zohar
Fox氏とイスラエルで起業します。会社の名前は以前よく見ていたハチ公像から、Hachiko Technologies社と名付けます。

ハチ公と主人の関係を築くアプリ

Fleishman氏達が目指したのは、ハチ公と飼い主・上野教授のような関係を築く機械を作れないかということからスタートします。
hachiko_ueno_03
出典:www.taringa.net
飼い犬がどのように生活し健康を保つことが出来るか、それは飼い主の最大の関心ごとです。日中、仕事で飼い犬と離れている飼い主が、犬がどのような一日を過ごしたか簡単にわかるアプリをHachiko Technologies社は開発します。
犬の首輪に装着する小さな装置が犬の生活を記録して、飼い主のスマートフォンへ情報を伝達するアプリを開発したHachiko Technologies社は、その製品を“Hachiko”と名付けます。
“Hachiko”の最大の特徴は、犬の行動を記録し犬が何を考えているのかを、飼い主に教えてくれる点です。また、犬が運動不足になったり、体重が増えたりすることを防ぐ機能がある点です。
また、一度装置を犬の首輪に取り付けると、12カ月バッテリーを交換不要で使い続けることが出来、その手軽さがユーザーに受け入れられます。

全米には7100万匹の犬が飼われている

ペット大国のアメリカでは、7,100万匹の犬が飼われていると言われています。散歩や日中の世話を他人や業者に任せている飼い主も多くいます。飼い犬がしっかりと散歩に連れて行かれ、食事を与えられているか、職場にいる飼い主は不安な気持ちになります。
しかし、“Hachiko”アプリを使えば、飼い犬が何歩歩いたのか、何時、何を食べたのかまで記録に残ります。太りすぎが気になる飼い犬にダイエットをさせるために、一日の目標歩行数を設定したり、カロリー制限をすることも出来ます。
hachiko-app
出典:nocamels.com
犬の生活からその日の犬の気持ちを推測して、帰宅した飼い主に犬の気持ちを伝える機能は、ユーザーの心をとらえます。
ハチ公と上野教授の関係に近いものを築く手伝いが出来たらば、と考えて作られた“Hachiko”アプリは、その目的を十分に果たしており、ユーザーから強い支持を得ています。
 

【よく読まれている記事】
総利用者数300人突破!! 「起業の科学」著者田所雅之氏による、ここだけでしか見れないコンテンツ

『enfacスタートアップサイエンス』は、世界で5万回シェアされたスライド「StartupScience」制作者の田所雅之氏が、書籍300冊、経営者のブログ500本、自身のシリコンバレーでの起業経験と1000人以上の起業家を取材する中で体系化した知識を、動画ラーニングのenfacが、いつでもどこでも学びやすくまとめた動画学習コンテンツです。


2017年6月より1年間をかけて企画・撮影した105本。今後も、毎月2-3本新しいコンテンツをリリースし、学びを深めていくことをサポートします。
コンテンツを学習することで、「試行錯誤で時間を浪費する」「チーム内で噛み合わないコミュニケーションを続ける」などの無駄を省き、チームが本来の目的や使命に向かってより効果的に進むことができます。

これ以上は記事がありません

読み込むページがありません

おすすめの記事