今後の成長戦略
リハビリ機器から生活の道具へ。今後の成長戦略
おかげさまで、足こぎ車いすは、リハビリ機器から生活の道具になってきています。
乗っていたら元気になって機能が回復して自立したとか、それから最近あったことで言えば、足こぎ車いすに乗って5日目に亡くなってしまったり、亡くなる数日前まで乗っていた人が多いんです。
足こぎ車いすはホスピスや緩和ケア病棟にも置かれ始めていて、最後苦しんで人生を終えるような人が、これに乗っているとニコニコして、自分の力で移動ができなくなる限界のところまでを自分で自立して暮らせるんですよ。
ただ単にリハビリのためだけじゃなく、「残された人生を自分らしく生きる」ことを体感させてくれる乗り物になっています。
ある家族が「5日前までこれに乗っていたお父さんのニコニコした顔だけを家族みんなが覚えています」という手紙をくれたんですよね。
非常に難しい病気で、お医者さんにも最後は苦しい状態になるだろうから覚悟してくださいと言われていたそうです。
ですが、亡くなる5日前までこれで自分でその病院の中庭を散歩したり、売店で好きなものを買ったりしていたと言うんですよ。
足こぎ車いすはリハビリのために生まれましたが、リハビリというよりも、残された人生をちゃんと自分らしく生きるための生活の1つの手段として、こういう福祉用具や医療機器が今後浸透してくるきっかけづくりができればいいなと思っています。
分野は問わずに、医療・福祉・旅行・教育、何だっていいと思うんですね。私達がやりたかった、「生活の中に溶け込んで、障がい者も健常者も生涯現役でみんなで地域で暮らす」ということが、少しずつでき始めるんじゃないかなと感じています。
そのためのきっかけとしてのアイテムはこれからどんどん出てくると思いますが、そのときに「怪しいから、使わないでおこう」とか思わないでください。だから、足こぎ車いすが浸透すれば、あとから来る人は非常にやりやすいと思いますよ。
「あんなものでさえこうなったんだから、もっとこれは使えるんじゃないかな、もっと普及できるんじゃないかな」ということにつながってくると思っています。
なので、多少壁があっても逆風があっても、しょうがないと受け入れながら少しずつやっています。
起業志望者へのメッセージ
足こぎ車いすはこの世の中で始めて出てきた製品ですから、そんな馬鹿なことはあるわけないだろというのは、常に言われるんですね。「おかしなことをやっているな」とか。
でも、そういうことは実際にやったことがない人が言っているだけのことなので、あまり気にすることはないと思います。
世の中にある事業のサービスを自分なりのアイデアでやっていったり、改良していくような人でも、「マネじゃないか」といったことはたぶん言われるんですよ。でも、その人じゃない人が勝手に言っていることなので、ブレることはないと思いますよね。
人が悪く言ってくるところのは、やったことのない人が「本当はやりたかったけど、自分はそこまで踏み出せなかった」という部分が、少しきつい言葉になって出てきているものだと思うんです。
そういうことを気にせずに、やりたいと思ったら何か一歩踏み出すと、自然と応援してくれる人も反対派と同じぐらいの数いると思うので、そういう仲間をどんどん増やしていって、悪く言ってた人もこっちに引きこむぐらいの勢いでやっていけばいいんじゃないかなと思います。
「何かやろう」といった人には逆風がつきものですから、そこでめげているともったいないですよね。
あと、そのサービスを楽しみに待っている人は沢山いるので、その人達に届くまでに諦めたらやはりもったいないし、可哀想です。待っている人は延々に待ってないといけないので。
どんなサービスでも事業でも、誰かの為にやりたいと思って始めるわけですから、それは続けることでたぶん届くと思うんですよね。
(インタビュアー:菅野雄太、撮影者:須澤壮太)