バートルテストとゲーミフィケーション


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最近この2つの言葉を聞く機会が増えた人もいるでしょう。
「ゲーミフィケーション」と「バートルテスト」です。
 
バートルテストはゲーミフィケーションを説明する時に用いるユーザーの分類方法の一つです。
バートルテストを理解するだけで形式的にユーザーを分類することが可能となります。
 
元々はゲーマーの分類方法として用いられていた方法ですので、今回はRPG(Role Playing Game)系のゲームを具体例に4種類のタイプを紹介します。
 
Aさんはひたすら戦いを好み、レベル上げや装備の充実を最優先に行います。
Bさんは同じ場所に留まることはほとんどなく、ストーリーを進めるために次から次へと新しい場所へ進みます。
Cさんは同じ武器を多用したり操作技術をマスターしたりして他のプレイヤーとは違うキャラクターになることを目指します。
Dさんはギルドに積極的に入ったりコミュニティを自ら作ったり、一人よりも複数人で行動しようとします。
 
AさんからDさんのように、例え同じゲームをしたとしても人によって優先するものが全く異なります。
「何に重点を置いているかは人によって異なる」ことから、その人の性格を予想しタイプ別したものがバートルテストと呼ばれるものです。
 
 
 

そもそもバートルテストとは

バートルテストとはゲーム研究者であるリチャード・バートル氏が提唱しているゲーマーの分類方法です。
ゲームのプレイスタイルから分析することによって、その人がどういう性格の持ち主なのか調べることが出来ます。

 
判断項目は大きく分けて2つあります。
一つ目は「一人で行動する」or「複数で行動する」
二つ目は「ゲーム自体の関心が大きい」or「他プレイヤーの関心が大きい」
 
その2項目を総合的に分析して4種類のタイプに分類します。
「アチーバー」「キラー」「エクスプローラー」「ソーシャライザー」の4つです。
 
 
では、どのような傾向が強い人がそれぞれのタイプに分類分けされるのでしょうか?
 
次の章から1つのタイプずつ分析していきます。
 

バートルテストでタイプ別に分析する

より分かりやすくするために、実際に存在しているゲームを用いて分析を行いたいと思います。
 
今回は子供から大人まで高い認知度を誇り、またバートルテストの説明には最適だと考えれられる、モンスターハンターシリーズを具体例として紹介します。
 

アチーバー / 達成者


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アチーバーの特徴としては、レベル上げや装備の強化、もしくはコレクションを制覇したり、クエストを全て行うなど、目標を達成することに喜びを感じる傾向があります。
 
例えばモンハン(略称モンスターハンター)の場合では同種類の防具を揃えるために採集に注力したり、多々あるクエストを順番に1つずつ取り組んでいくタイプがアチーバーではないでしょうか。
 
クエストの達成率などがパーセンテージで表示されていれば100%にするまであまり苦も無く頑張れるタイプが多いようです。
 

キラー / 殺人者


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キラーの特徴としては、他のプレイヤーと比較した時に自分の方が上回っている状態に満足感を感じる傾向があります。
 
例えばモンハン(略称モンスターハンター)の場合ではハンターランクという指標が一つ存在します。
このハンターランクは各プレイヤーのゲームに対する習熟度をクエストの達成数などから表現したものになります。
他のプレイヤーよりも高いハンターランクであることに優越感を感じ満足するタイプがキラーではないでしょうか。
 
他人よりも上位にあることが可視化されると俄然やる気がでるタイプが多いようです。
 
 

エクスプローラー / 探検家


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エクスプローラーの特徴としては、新しい知識や未知の領域を発見するという冒険や探検を好む傾向があります。
 
例えばモンハン(略称モンスターハンター)の場合では、今まで対決したことがない強敵と遭遇した時にも物怖じせずにすぐに立ち向かう人と、準備を万全に整えるために一旦退く人と2通りのタイプがいます。
 
新しい発見があるかもしれないからとりあえずやってみるという前者の姿勢を兼ね備えている人がエクスプローラーではないでしょうか。
 
知らないことを知ること、今までやったことがなかったことをすることに喜びを感じるタイプが多いようです。
 
 

ソーシャライザー / 社交家


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ソーシャライザーの特徴としては、ゲーム自体をツールとみなしゲームを通して他のプレイヤーと関りを持つことに一番の喜びを感じる傾向があります。
 
例えばモンハン(略称モンスターハンター)の場合ではオフラインで一人プレイをすることも出来れば、オンラインで他のプレイヤーと共に狩りを行うことも出来ます。
ゲームそのものよりもむしろ他のプレイヤーとの交流で、チャット機能を用いてコミュニケーションを図ったりチームメイトから頼られたり共に挑戦したりすることを好むタイプはソーシャライザーではないでしょか。
 
 
友達がいるからゲームをするという、人との交流を第一優先においている人が多いようです。
 
 

ゲームを利用しないことがバートルテストの現実的な活用法


バートルテストを行うことによって性格をタイプ別に分類することは可能になりました。
一方で、ゲームをしない人はバートルテストと関係ないのではないか。とお思いの方もいるかもしれません。
 
実際にゲームをする人を対象にしてその傾向を分析していたので、そう思われてもおかしくはないです。
しかし、バートルテストの本質を理解していただければゲームは本来関係ないとお分かりいただけるでしょう。
 
バートルテストで最重要となることは、個人が潜在的に大切にしていることをどのようにして把握することが出来るかという点です。
つまりゲームというのは潜在的な意識を掘り出すために用いた、ただのツールに過ぎません。
 
ゲーム以外のツールを用いて潜在的に大切にしている点を探ってみましょう。
 
仕事自体を一つのゲームとは考えられないでしょうか?
仕事にたいして何を求めているのか、何に喜びを感じるのか。その観点から分析することでタイプを判別することが出来ます。
 
バートルテストは「テスト」をいかに行うかではなく、どのようなタイプに「分類」できるかということが最も大切なのです。
 
 
 
次の章では、「アチーバー」「キラー」「エクスプローラー」「ソーシャライザー」のタイプを持つ人が実際に何の業務に適しているか紹介します。
 
 

企業におけるタイプ別適正業務~Q&A方式~


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どのタイプの人がどのような業務に適しているのでしょうか?
シチュエーションごとにQ&A方式でお答えしていきます。
 
Q1.事務作業だったり頭をあまり使わない単調作業を苦も無く行うことが出来るのはどのタイプでしょうか?
目の前の積み上げられたタスクを一つずつこなすことが出来る、「アチーバー」だと考えられます。
特にやらなければならない量が数値で理解できたり、ゴールが明確だと「アチーバー」はさらにモチベーションを上げることが出来るでしょう。
一方で「エクスプローラー」は同じ作業の繰り返しが好きではないので不適当だと考えられます。
 
 
Q2.資料の読み込みを通してデータマイニングなどを行うことが出来るのはどのタイプでしょうか?
新しい知識を次から次へと吸収することが出来るので「エクスプローラー」が適任だと考えられます。
同じ作業の繰り返しにも考えられるために「アチーバー」も候補に入りそうですが、ゴール設定が自分にゆだねられているために目的地が定まってない部分に不安を感じてしまうことが懸念されます。
また、一人で黙々と作業しなければいけないので「ソーシャライザー」に任せてしまうとストレスが溜まってしまう危険性があるため不適当です。
 
 
Q3.新規事業の立ち上げの際にはどのようなタイプの人が必要になるでしょうか?
企業内では今までなかった新規事業ですので「エクスプローラー」が一番情熱を注げる可能性があります。
日々の決められたルーティンワークをするのが苦手な「エクスプローラー」にとっては、何をするのが正解なのか分からないなかで試行錯誤を繰り返し行っていく新規事業という環境はモチベーション向上に直結するでしょう。
 
一方で「キラー」がいると新規事業の成功よりもむしろ個人としての成果を求めてしまう傾向があるので、チームワークが求められることの多い新規事業では大きなリスクとなる危険性もあります。
 
 
Q4.営業部門の成績が不振続きですのでメンバーを一新しようと思うのですがどのようなタイプの人を選べば良いのでしょうか?
他の営業マンよりも契約数を勝ち取るという面で「キラー」が躍進する可能性が高いと考えられます。
他者よりも勝っているということが成績開示によって明らかになる営業職というのはキラーにとっては自分個人の成果を純粋に評価してくれるという点で最もモチベーションを上げやすい条件でしょう。
 
営業部門全体としての成長を望むのであれば「ソーシャライザー」の存在も重要になると考えられます。
 
仕事仲間との関係性を重要視する「ソーシャライザー」は営業マン同士の交流を深める機会を創出します。
どのようにしたら営業成績を上げることができるのかという点で情報の共有が行われ、結果として営業部門全体の質が上がることになるでしょう。
 
 
Q5.部長のような管理職にはどのようなタイプの人を選ぶ方が良いのでしょうか?
多様なタイプの人をコントロールし、上手に付き合わせていくことが出来る「ソーシャライザー」が適任だと考えられます。
「アチーバー」には分かりやすいゴール設定として数値目標を掲げ「エクスプローラー」には次から次へと異なる仕事を任せることによって飽きさせないようにします。
「キラー」に対しては月に一度最も活躍した人を称える機会を作ったり、社内だけではなく社外のコンテストなどに出場させて他人と比べる機会を設けたりすることが効果的でしょう。
何をするかではなく、誰とするかという点に重きを置いている「ソーシャライザー」だからこそ個人の成果よりも全体の成果を重視し、それが結果として部長としての成果へと直結することでしょう。
 
 
 

総評:バートルテストの今後

バートルテストでは個人のタイプを分かりやすく把握することが出来ます。
人間関係が希薄していく現代社会において、企業内でも同様に希薄な人間関係は課題だとされます。
 
バートルテストによってお互いの価値観を否定することなく理解しあうことで各々の長所を活かし短所を補えることが出来ます。
 
今後バートルテストが活用される幅は確実に広がっていくことでしょう。

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