今回のインタビューは、株式会社農業総合研究所 代表取締役社長 及川智正氏に「事業内容」と「起業の経緯」について伺いました。

新しい農産物流通を創造し続ける

渋谷: 事業内容について簡単にご説明いただけますか?
及川: 農業総合研究所は一言で申し上げると、農業xITベンチャー企業です。ITを駆使して、クリエイティブに新しい農産物流通を創造し続ける会社が農業総合研究所です。
道の駅やファーマーズマーケットは全国に2万店舗あるといわれてます。しかし、ご存知の通り田舎にあるものなので、我々はこれを都会に持ってきて、都会のスーパーマーケットの中に直売コーナー、道の駅コーナーを作っていって、そのコーナーを全国の農家に開放する仕事をしております。
農家の野菜や果物、花、お米、ジュース、ジャム、蜜、そういう加工品が自由に都会のスーパーマーケットで販売できるITのプラットフォームと物流のプラットフォームを、農家とスーパーマーケットに提供しています。
現在展開しているスーパーマーケットは店舗数が660店舗、拠点が55カ所です。一番北が山形県、南が沖縄県に拠点を構えていて、この55拠点に登録いただいてる農家が5500名おります。
5500名の農家さんと660店舗のスーパーマーケットをダイレクトにつなぐ、そういった仕事をさせていただいてます。
渋谷: TOKIOがあまり田舎に行かなくても済むわけですね。
及川: おっしゃるとおりです(笑)一言でいうとそんな感じです。

農産物に流通革命を

渋谷: 今まで農作物の流通ルートは、日本国内においてはJA等、今までの既存の商流があったと思いますが、その辺りの流通を改革してしまおうと思ったのですか?
及川: おっしゃるとおりです。私は東京農業大学の農学部出身でして、このままだと本当に日本の農業は駄目になるのではないかと思っていました。
社会に出て農業関係の仕事に就こうと思ったのですが、社会に出たのが1997年、ちょうどバブルがはじけて時期だったので、仕事がありませんでした。運よく半導体系の会社に就職できたのですが、どうしても農業をやりたいと思い、結婚を機に和歌山に移り住み、自分で3年農業をやってみました。まず現場から農業を変えようと思ったのです。
なかなか一農家から日本の農業を変えるのは難しいなと思い、3年間農業をやったあと、今度は八百屋を大阪の千里中央でやってみました。そこで思ったのは、売るのもしんどければ作るのもしんどい、ということです。
この水と油の関係は両方やった人間じゃないとコーディネートできないな、と感じまして。水と油が交わる部分、流通という部分をコーディネートしないと農業はよくならないのではないかと思い、今から9年前に和歌山に戻ってきて現金50万円で作った会社が農業総合研究所です。

値段も出荷先も自分で決められない日本の農業

及川: 今までは農協の流通がメインで、そのこと自体は悪いとは思わないのですが、問題なのは「独占的にやってること」だと思っています。我々がやっている流通は、どちらかというと農家をメーカーにしようという動きです。
今までの流通は自分で値段を決められないのです。そして自分で出荷先も決められない。好きなものも作られない。持っていったものはすべてお金になりますが、形の悪いものやB級・C級・きずものは出荷できずに捨てていたのが今までの流通です。
及川: 我々がやりたいのは、まずは自分で値段を決められて、出荷先も決められて、自分で好きなものが作れる状況です。我々の流通は売れ残りのリスクは生産者が持つことになりますが、形の悪いものやB級・C級・きずものでも美味しければ出荷できる、捨てていたものもお金になるところが、今までにない新しい流通になってるのではないかと思ってます。
渋谷: なぜ和歌山に行ったのですか。
及川: 奥様の実家が和歌山の農家だったので(笑)そこに弟子入りを3年間させていただきました。
渋谷: 素晴らしい。JAのすごい強い地盤の地域ですね。
及川: おっしゃるとおりです(笑)一番初めは圧力もあって、いろいろ大変でした。いじめられるというのは、どの業界でもそうだと思います。いじめられるのが嫌なら早く大きくなろうという思い、今ではJAと業務提携もさせてもらえるようになりました。

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