今回のインタビューは、株式会社農業総合研究所 代表取締役社長 及川智正氏に、「農業で上場すること」「上場して変わったこと」「視聴者へのメッセージ」についてお話を伺いました。


 

農業だって上場できる

渋谷:先ほども、上場をべつに目指していたわけではなかったというお話もありましたが、これからどんどん広げていこうとすると、資金調達も含めていろいろあると思います。そもそもIPOを始めたきっかけ、なぜそこを目指そうと、なぜそのタイミングでされたのか、伺えますか?
 
及川:一番したかったのは、農業ベンチャーというものをどんどん世の中にアピールしていくことです。今回上場させていただいて得た資金というのは、3億円弱です。3億円弱でしたら銀行から借りられる金額で、上場しなくてもよかったんじゃないかと言われますが、農業ベンチャーでも、農業ベンチャーだから上場できたんだぞ、というのを世の中に情報発信したい、というのが一番大きかった。
まずやりたいのは、IT部分の強化。あと海外に向けても情報発信をしていきたい。例えば今55拠点ありますが、農家の方がこの55拠点に野菜果物を持っていっても、日本のスーパーしか選べない。小さいな、と思います。田舎の小汚い倉庫に行くと、海外のスーパーも選べるのかと。こんな面白い流通を作っていきたいと思っています。
 

上場して変わったこと

及川:6月16日に上場して1カ月しか経ってないのです。渋谷さんの会社はもう1年じゃないですか。1年間上場して、何か変わったことはありましたか。
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渋谷:今までは同じように事業の現場のこと、お客様のこと、社員のことをしっかりやっていけばという感覚がほとんどでした。株主さんのことはなんとなくイメージはしてますが、そこまで。そこにどこまでリアリティーを持って考えていたのか、私たちは上場するまで株式を100%身内で持っていたので。一切外に株式を出していなかったのです。ですから上場後は、外部の株主さんの存在のことをそんなにリアリティを持って分かっていなかったのですが、途中からすごく意識をするようになりました。ステークホルダーだという当たり前の言い方をしてしまえばそれまでですが、営業をやる、会社の社員を大事にすることと同じぐらい、場合によってはそれ以上、株主さんに対しての対応といいますか、情報公開はできる限りやろうと思っています。
僕個人も個人投資家様向けの説明会を、ほぼ1カ月に1回か2回はずっとやらせていただいて、とにかく株主さん、株主さんの候補になられる方々との対話をしっかりやっていこうというのは、この1年間の自分たちの経営の感覚のちょっと変化に伴って、やっています。
 
及川:上場する前にロードショーってあるじゃないですか。あそこで初めて投資家さんと出会ったんですが、勉強になりました。なるほど、こういうふうに会社を見られるんだと。こういう角度から見てくるんだと。逆にいうと、ここを知りたがっているんだな、というのがとても勉強になりました。いろんな社長さんから「ロードショー、大変だったでしょう」と言われたんですが、私は楽しかったんですね。今まで出会ったことがない職業の方だったので、勉強になりました。
 
渋谷:会社というものが公の存在になるということはぼんやりわかっていても、こういう視点、こういう切り口で問題提起されるんだな、ということがはっきりしてきて、いくら「頑張ってます」とか、定性的なこととか、「いい会社です」なんて仮にいくら言ったところで、まったく関係なく、「事業モデルがどうだこうだ、付加価値がどうだこうだ」すら関係なくて、結局、「なんぼでんの」という。
 
及川:そうですね(笑)
 
渋谷:こういうマーケットの中に身を置くということは、そういう存在としての扱い方なんだなと。ですので、置いた以上はそれに対して、しっかりとそこにいらっしゃる皆さんに対して、自分たちの説明責任を果たしていこう、というのを今すごく感じてますし、それが面白いです。新しいことがいろいろ出てきて、面白いです。
 
及川:面白いということは、たぶん苦労もたくさんあるんだろうなと。それよりも少し怖いなと。
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渋谷:そんなことないですよ。楽しませてもらっています。鋭い質問されたり、嫌なこと聞かれたり、場合によっては厳しいご意見いただいたりしますが、きれいごとを言うと自分たちの成長のためだし、実際面白いと思ってるので、そういう変化は非常にありました。そういう意味合いでいうと、上場前の東証の審査とか、証券会社の本社の審査部の審査とか、あれ楽しくなかったですか?
 
及川:楽しかったですね。
 
渋谷:嫌がる人はうちの社員はいっぱいいますけど。
 
及川:そんなに緊張もせず、逆にどこが悪いんだと。
 
渋谷:無料でコンサルしてもらってるようなものなので、勉強になりましたよね。あのプロセスをやらせていただいたおかげで、そのあと実際に上場企業となったあとの、自分たちの考え方の甘さみたいなところは、いくらかはそのプロセスがあったおかげで排除ができたなと思っているので、よかったですよね。
 
及川:よかったです。
 

視聴者へのメッセージ

渋谷:今、起業されている方、IPOを目指している方、すごい多いじゃないですか。素晴らしいことだと思っていて、及川さんは40代、私は50代ですが、20代、30代の皆さんが我々とまったく違った発想や手法、組織の作り方で、どんどん新しいモデルを作られて活性化されている。新しい時代がくるというイメージを持っているのですが、及川さんも、イノベーションを起こしながら今のような状態を作られているので、そういう方々に対してアドバイスではないですが、こんなところを気を付けてなど、何かあればよろしくお願いいたします。
 
及川:このテレビ見られてる方は起業家を目指す方も多いと思いますが、まず皆さんに言いたいのは、今はとってもいい時代ですよ、ということを理解してもらいたいですね。うちみたいな会社が9年間続く、がんばればどうにかなる時代に君たちは生まれてきている。非常にイニシアティブある時代だよ、というところを理解して、いろんなものに挑戦してもらいたい。
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それは社内でもいいと思うし、社外でもいいと思いますが、せっかく生まれてきたので、8時間働く、生きてるうちの3分の1ですよね。これがつまらないと言うならやめたほうがいいと思う。この3分の1、自分の人生を楽しむ。楽しむためには、この会社やったほうがいいのか、自分の会社を立ち上げたほうがいいのか、というところを考えていただいて、せっかくいい時代なので、もっともっと自分のやりたいことをやってください。
それで失敗してもいいじゃないですか。自分の好きなことなんだから、と思うんですね。なので、若い人にはどんどん挑戦をしていただきたいと思っています。
 
渋谷:社員さんが「僕、挑戦します」といって会社をやめていかれる、そういうケースも多いですね。
 
及川:多いです、ウェルカムです。新入社員、学生さんも雇いますが、うちの会社で雇うというよりは、若い日本の人材を雇うということだと思います。その中ですごく伸びてもらって、うちの会社より外へ出たほうが、世のため世界のためになるというのなら、どんどん、悲しいですけど、出て行ってもらって、活躍してもらって、将来お酒でも飲ませていただいたら、本当にこれほど楽しいことはないのではないかと思っています。
 
渋谷:そのあたりの物事の考え方が、僕らは50代で、我々より上の世代というのはどうしてもクローズドで、自分たちの枠組みの中という発想がありますが、今はどんどんオープンになっていて、そのへんのセンスも含めてかなり変化してきていると思っていて、今日は僕もそういったところを勉強させていただきました。大変楽しい話でよかったと思います。ありがとうございます。
 
及川:ありがとうございます。あともうひとつ、全部が自分でできないと思うんです。こういう農業関係をしていると国の方から政治がどうだとか言われますが、わかりませんと。そこは僕の仕事の守備範囲じゃないと思っていて、自分のできる時間は限られているので、そこは同年代の仲間を信用することかなと思ってます。僕は農業ビジネスで生きていく。これで日本をよくする、世界をよくする。世の中には同年代で政治で頑張ってる人間もいれば、違う分野で頑張ってる人間もいるので、そこはそいつらに任せて、日本もしくは世界を盛り上げていくということではないかと思っています。

【IPO経営者対談】農業総合研究所についての動画はこちら

【IPO経営者対談】農業総合研究所・及川智正×スマートバリュー・渋谷順①
【IPO経営者対談】農業総合研究所・及川智正×スマートバリュー・渋谷順②
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【IPO経営者対談】農業総合研究所・及川智正×スマートバリュー・渋谷順④
 

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