今回は株式会社ストライク代表取締役社長・荒井邦彦氏に「2019年のM&A市場のトレンド」や「売り手にとってのM&A成功のコツ」についてお話を伺いました。
『enfacM&A・会社売却』〜M&A・会社売却の基本・プロセスを32本の動画で学ぶ〜
内部成長だけでは会社は成長できない
➖最近のM&A のトレンドを教えてください
ここ数年、上場企業の行うM&Aは徐々に増えてきています。2019年は10年ぶりに800件を超えました。現在活況であることは間違いありません。
➖M&Aの内容に大きな変化はありますか?
中身自体は大きく変わっていません。ただ最近は、国内市場の成熟や人口減に伴う市場規模の縮小などを背景に、成長機会が見つけにくくなっています。内部成長だけでは会社は成長できないので、M&Aをうまく活用して成長しようと考える上場企業が増えていると感じています。
もう1つは資本効率という観点です。競争力のない事業を、その領域を専門の会社に売却して、その資金で自分たちが強みを発揮できる領域の会社を買収する「選択と集中」をいよいよ本格的に取り組み始めたと思います。
「もったいない」と思える方が、会社として価値がある
➖売り手にとって、M&A成功のコツとは?
売り手が会社をうまく譲渡するために、重要な心がけを5つ提唱させていただいております。特に大事なのは1条の「売り時を逃すな」です。
経営者の方が、株式譲渡契約書を結ぶときに、「やはり今じゃないかな」という気持ちが起こることがあります。「将来的に業績が良くなったタイミングの方が、もっと高く売れるんじゃないか」「もう少し探せば、もっと良い買い手が見つかるんじゃないか」という欲が出てきてしまうこともあります。気持ちが揺れるのです。
「ここが売り時」だと割り切っていないと、最後に売らない理由を探してしまうんです。結果、売り時を逃してしまったケースも見てきたので、「売り時を逃さない」ことが大事です。それは自分の中で100点満点じゃないかもしれませんが、7割程納得できたと思えたら、そこで意思決定することが重要だと思います。
それでも、執着してしまいますよね。そういう気持ちがあるから、良い条件で売れると思うんです。「もったいない」「まだできるんじゃないか」という余地を少し残さないと、逆に買い手にとっての魅力がないのです。譲渡側が「もったいない」と思える方が、会社として価値があるということです。
自分視点ではなく、買い手からの視点で事業を行う
➖動画でM&Aを学ぶことの重要性について
M&Aに慣れてる人はあまりいないと思います。そういう人が会社を売却しようと思っても簡単ではありません。やはり何事も、事前の準備や予備知識を身につけてことが重要です。
いつもは「自分から見た視点」で事業をされていると思いますが、会社を売却するときに重要なのは、「買い手からどう見られるか」です。そういう観点で事業されている方はあまりいらっしゃらないと思います。
「買い手はこういう風に評価するのか」を知って、具体的にM&Aに取り組むという順番にされた方がうまくいくと思います。
➖売り手として会社売却を検討されている方へのメッセージは
会社を売却すること自体が目的ではなく、その後に「どのように人生を歩んでいくか」を考えることが重要だと思います。そのためにはM&Aをうまく成功させることが必要ですので、ぜひ動画を活用して、M&Aをうまく進めていただけたらと思います。