近年日本において、商法改正に伴う新株予約権制度の導入をきっかけに、新株予約権のストック・オプションとしての利用が活発化しています。
新株予約権とは、あらかじめ定められた条件で、新株予約権発行会社から株式の交付を受けることができる権利のことを言います。この新株予約権を従業員等に報酬として付与するものを特に「ストック・オプション」と言い、近年、報酬制度の一つとしてよく利用されています。
今回はこのストック・オプションについて社内外に与える影響について解説します。
ストック・オプション制度の仕組み
一体どのような仕組みなのかを以下ご説明します。
上記の結果、株式の市場価格(例.800円/株)から行使による払込価格(例.500円/株)を差し引いた分(例.300円/株)だけ従業員等は得するので、ストック・オプションは一種の報酬として考えられています。
ストック・オプションが社内に与える影響
http://twinlifemarketing.com.au/motivation-needs-to-be-renewed-every-day/より引用
一般的にストック・オプションは社内で働く従業員のモチベーションを向上させるために発行されます。
例えば、“会社を上場させたい”と経営者が思ったとします。しかし株式上場は大変な労力を使います。社内からプロジェクトメンバーを選出し、日常業務と平行して上場対応業務もこなさなければなりません。当然それに見合った報酬をメンバーに払う必要がありますし、払わないとメンバーのやる気も出ません。しかし現実には、そのような報酬を払うお金が無い場合もあると思います。このようなときにストック・オプションを発行します。
ストック・オプションの行使条件を“上場達成”に設定しておくことで、自らの頑張りが上場を果たせた時にストック・オプションを行使することで報われることになります。
その他、一部のプロジェクトメンバーのみではなく、全従業員に対して業績を行使条件にしたストック・オプションを発行しておくことで、企業の業績に視点をおいて全従業員が日々の業務を行うように動機付けることが可能になります。
以上のように、ストック・オプションは会社からの資金の流出を伴わずに従業員のモチベーションを上げるのに有効な手段となります。金銭的な動機付けである一方、非金銭的な動機付け(会社の方向性を理解し、自分が重責を担っていることにやりがいを感じる等)としても機能しているのです。
また、従業員は企業価値(株価)の向上を目標とすることから、会社の所有者である株主と同じ目標になりやすいというメリットもあります。