アメリカ最大級の自然災害、カトリーナ・ハリケーン
わずか10歳で自分の使命のために行動した少女のストーリーです。
東日本大震災発生から5年以上が経ちますが、人々の記憶には当時の惨状が生々しく残っていることでしょう。
アメリカ人にも同じように忘れられない自然災害があります。2005年にアメリカ南東部を襲ったカトリーナ・ハリケーンです。
ハリケーンの強さを図るシンプソンスケールで、最大時には最高のカテゴリー5の威力をもったカトリーナは、ルイジアナに上陸した際でもカテゴリー3の威力を維持していました。
出典:www.boqueteweather.com
バハマ南東で熱帯低気圧が発生し、それがフロリダ半島に上陸する頃にはハリケーンへと発展します。一度はメキシコ湾へ抜けたカトリーナはルイジアナ州に再上陸します。避難勧告が遅れたこともあり、街には人々が取り残され、多数の死者・行方不明者が出ます。
出典:www.smh.com.au
一番大きな被害を受けたのは大きな湖に面していたルイジアナ州ニューオリンズで、市内の8割が水没しました。テレビ等を通して、完全に水没した市内で、屋根などに取り残された住民の姿を思い出す方もいらっしゃるのではないかと思います。
出典:www.ynetnews.com
無法地帯と化したニューオリンズでは暴動、略奪行為も発生し、それで命を落とす人もいました。
結局、1800名以上の死者と700名以上の行方不明者を記録したカトリーナ・ハリケーンの惨状を、テレビは長時間報道していました。
このテレビを見て、被災者たちに何かをしなければいけないと使命感を感じて行動を起こした10歳の少女がいました。
その人が今回ご紹介するタリア・ルマン氏です。
出典:forward.com
ハロウィーンを通じて募金活動を
ルマン氏はカトリーナ・ハリケーンの惨状を目にし、被災者のために自分が出来ることを考えます。ハロウィーンが近づいていることもあり、ハロウィーンでもらうキャンディーの代わりに、被災者たちへの募金を集めようと考えます。
そこで ”Trick or Treat for the Levee Catastrophe (TLC)” と、名付けられたこの活動を紹介するウェブサイトを立ち上げます。
この活動に注目したメディアがいました。The Today Show という人気番組で、ルマン氏の活動はテレビに取り上げられます。
これは予想外の反響を呼び、TLCの活動は全米に広がります。全米の子供達はハロウィーンで得た募金だけではなく、自分の貯金や洗車などの手伝いをして得たお金をTLCへ送ります。
出典:www.dmschools.org
TLCはUS$1,000万(約11億円)の援助金をカトリーナ・ハリケーンの被害者に渡す事に成功します。子供達でも皆が力を合わせれば、こんなにすごいことが出来るということを実体験したルマン氏は、NPO団体 Random Kidを設立します。
出典:www.randomkid.org
子供の成長の手助けをしたい
Random Kidの活動は多岐にわたります。子供や若者の可能性を伸ばし、彼らの成長を促すことに貢献できることにつながる活動ならば、かれらの活動スコープに入ります。教育や起業のサポートは勿論、井戸を掘る設備をアフリカへ送ったり、子供のための広場を作ったり、カンボジアに学校を建設したりと、様々な活動に取り組んでいます。
Random Kidは、すでに20か国以上で1200万人の子供や若者のために、活動をした実績があります。Random Kidのキャッチフレーズは、“The Power of ANYone (皆の力)”です。
このキャッチフレーズはLeman氏が考えたもので、個々の小さな力が大きな結果につながる”という意味を持っています。またルマン氏は、世界中の子供や若者に自分を向上させる機会を作りたいと真剣に考えています。
ユニセフ青年大使に任命
10代で目覚ましい活躍を見せたルマン氏を、ユニセフは青年大使に起用します。
出典:www.youtube.com
さらに社会貢献に寄与した人々を表彰することで有名なNational Jefferson賞も受賞します。最近では全米で最大の慈善事業家であるビル・ゲイツからも面会を求められるほど有名になったルマン氏ですが、日々の活動を地道に続けています。
Random KidのCEOでもあるルマン氏を、母親が副社長として支え、ルマン氏の友人やボランティアの活躍でRandom Kidは、今日も世界中の子供のために汗をかいています。まだ20歳を過ぎたばかりのルマン氏の今後の活躍に注目が集まります。