OCPとはどんな取り組みなのか?

OCPとは、Facebookが主導しているOpen Compute Projectの略称です。データセンターやサーバーのオープンソース化プロジェクトのことを指します。
簡単に説明すると、データセンターやサーバー構築の設備等を公開してしまうプロジェクトです。
多くの企業が公開し合えば、他社の良い部分を取り入れることができます。これは、自社にとって不利益になるどころか、利益にすらなります。
この記事ではOCPが生まれた背景や、OCPプロジェクトに参加する企業についてご紹介します。さらに、このOCPによるメリットや、先日開催されたOCP summit 2016に関してもお伝えします。

OCPとは一体何か?でもその前に

Screen Shot 2016-05-29 at 21.20.02
出典: www.opencompute.org
OCPを理解するには、オープンソースという言葉を理解しなければなりません。OCPは、データセンターやサーバーをオープンソース化することに等しいからです。
では、オープンソースとは一体何なのでしょうか。
オープンソースには、幾つかの条件を満たすことが必要です。その条件には再配布の自由などの条件があり、単にソースコード(設計図のようなもの)を入手することができるだけでは、オープンソースとは呼ばれません。
ここでオープンソースの身近な具体例をご紹介します。
Screen Shot 2016-05-29 at 21.27.00
出典: www.linuxacademy.ne.jp
その具体例とは、Linux OSです。Linux OSはインターネット上で誰もが入手することができます。また、ライセンス料なども特に発生しません。そのため、こちらはオープンソースの具体例です。
しかし、Windows OSはオープンソースの例には含まれません。なぜならば、WindowsはOSを有料で管理しているからです。この場合、オープンソースにはなりません。
同様に、多くのアプリも基本的には、オープンソースには含まれません。

OCPが生まれた背景、目的

Screen Shot 2016-05-29 at 21.29.53
出典:www.nelco.com
OCPは、省電力・低コストで、環境負荷が少ないデータセンター構築をすることを目的として、2011年にFacebookが立ち上げました。今では、Goldman Sachs、Googleまでもがプロジェクトに参加するほどになっています。
OCPの始まりは、Facebookが世界最大のSNSに成長することで生じた、新たな問題が背景にあります。
というのも、Facebookではデータセンターやサーバーの構築等が課題でした。多くの人がアクセスし、パンクしてしまうからです。
しかしこれを解決するためには多くのコストがかかります。


さらに、巨大なデータセンターの構築には、電力に膨大な化石燃料が使用され、環境破壊につながるとして、国際環境NGO グリーンピースからの反発がありました。
これに対しFacebookは、「自社のすべてのエネルギーを自然エネルギーでまかなうことを目標とする」と決意しました。それだけでなく、その悩みを根本的に解決しようとOCPプロジェクトを開始したのです。

OCPは本当にメリットがあるのか!?

Screen Shot 2016-05-29 at 21.43.26
出典:www.aics.riken.jp
パソコンを利用すると、パソコンが熱を持つことは皆さんも経験されたことがあると思います。
そして、これが大きなサーバーを構築する施設ともなると、空調を一定に保つなど、様々な施策が必要になってきます。その場合に、莫大な電力などの施設維持費がかかるのは安易に予想できます。
こういった施設を効率的に維持する方法は、多くの企業が導入しています。
しかし、設備に関してはブラックボックス化されていることがほとんどでした。そのため、多くの企業はゼロから施設を作り上げる必要がありました。
Screen Shot 2016-05-29 at 21.47.32
出典: free-pictograms.com
もしもこれがオープンソース化すれば、多くの企業がそれらのノウハウを共有し、導入することができます。これにより、データセンターの運用コストの低下を図ることができます。
またそこで培われたノウハウを共有していけば、環境負担を大幅に減らすこともできます。
 
自社の設備をブラックボックス化したままの方が、自社の利益を守ることができるようにも見えます。
しかし実際は、他社と協力した方が、最終的には自社のコスト削減につながり、全体としてプラスになるのです。
要するに、従来よりも効率的なデータセンターの構築が可能なのです。

OCP U.S. Summit

2016年OCP U.S. Summitは、3月9日10日の2日間にわたり、サンノゼマッケンナリー会議センターで行われました。600社から計2400人以上の人が集まり、今までで最大のイベントとなりました。


OCP U.S. Summitは、Facebookが主催しています。
このイベントでは、Facebookはもちろんのこと、Google、Intel、Microsoft、そして日本からはSONYなど、世界で活躍する企業がデータセンターの未来について語り合いました。
OCPへの取り組みは、世界で加速しており、企業の垣根を超えた、新しいスタイルが模索されています。

OCPで加速する世界的企業の協力!!

OCPは多くの企業の設備維持費を下げ、環境負荷の軽減を実現します。
技術を公開するという企業同士の協力は、今や他社のメリット以上に、自社にもメリットを与えるものとなっています。
世界の名だたるIT企業同士の連携は、私たちも見習うところがあるのではないでしょうか。

【よく読まれている記事】
総利用者数300人突破!! 「起業の科学」著者田所雅之氏による、ここだけでしか見れないコンテンツ

『enfacスタートアップサイエンス』は、世界で5万回シェアされたスライド「StartupScience」制作者の田所雅之氏が、書籍300冊、経営者のブログ500本、自身のシリコンバレーでの起業経験と1000人以上の起業家を取材する中で体系化した知識を、動画ラーニングのenfacが、いつでもどこでも学びやすくまとめた動画学習コンテンツです。


2017年6月より1年間をかけて企画・撮影した105本。今後も、毎月2-3本新しいコンテンツをリリースし、学びを深めていくことをサポートします。
コンテンツを学習することで、「試行錯誤で時間を浪費する」「チーム内で噛み合わないコミュニケーションを続ける」などの無駄を省き、チームが本来の目的や使命に向かってより効果的に進むことができます。

これ以上は記事がありません

読み込むページがありません

おすすめの記事