Contents
- 1 「三方よし」聞いたことはありますか?
- 2 「三方よし」とは?
- 3 近江商人の商売十訓
- 3.1 ①商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
- 3.2 ②店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
- 3.3 ③売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
- 3.4 ④資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
- 3.5 ⑤無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
- 3.6 ⑥良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
- 3.7 ⑦紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
- 3.8 ⑧正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
- 3.9 ⑨今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
- 3.10 ⑩商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
- 4 「三方よし」の近江商人に学ぶ
「三方よし」聞いたことはありますか?
みなさんはこれまで「三方よし」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは、商売をするものなら誰しも大切にしなければならない教えです。
何を目指して商売をすれば良いのかを見失いかけたときには、あるべき姿に導いてくれる言葉だと言えます。
今回は、そんな「三方よし」の意味や、生まれた背景についてみていきましょう。
「三方よし」とは?
出典:www.sanpoyoshi.net
さっそくですが、「三方良し」の「3」という数字は、何を表していると思いますか?
それは「売り手」「買い手」「世間」です。
この言葉は、現在の滋賀県にあたる近江に本店を置き、江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考えです。
信頼を得るために、売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売であると考えていました。
彼らは、自分たちの利益ばかりを考えるのではなく、ただ人のためになることを行ってきました。
そうして蓄積していった信頼は、やがて彼らに大きな利益をもたらすことになります。
そこで貯まった利益を、今度は学校の建設や橋の建設に無償で使っていき、社会貢献にも大きく貢献したのだそうです。
今でも、この近江商人が残した「売り手の都合だけではない、買い手のことを第一に考えた商売と商いを通じた地域社会への貢献」を表す「三方よし」は多くの経営者の指針となっています。
近江商人の商売十訓
出典:www.pref.shiga.lg.jp
近江商人には、この「三方よし」以外にもいくつかの教訓を掲げていました。
全部で10あるこれらの教訓について、以下で見ていきます。
①商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
本当に人のためにならないようなことをやってお金を儲けるというのはこの教訓に反していますが、「利益を得る」こと自体は悪いことではありません。
それに見合う、もしくはそれ以上の奉仕や貢献をしているのであれば、利益を得ることができて当然なのです。
まずは、「与える」ことが重要です。
②店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
大切なのは、店の外観や立地など、外から見えるイメージ重視しすぎてはいけないということです。
いくら見た目が良かったとしても、品物が悪ければその店は長続きしませんし、逆に言えば、いくら見た目が悪くてもいい物を置いていれば、長続きするものです。
③売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
これは、今でいう「アフターサービス」に相当します。
お世辞が上手で、売るのが得意な人や会社もあるでしょうが、結局その後につながっていくのは「買った後の奉仕」なのです。
アフターサービスが充実していなければ「うまいお世辞で買わされた」という悪い印象だけが残ってしまうかもしれませんし、なにより「三方よし」の精神に反しています。
④資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
信用は一朝一夕で得られるものではありません。ひたすらコツコツと真摯に取り組んでいくことで、信頼が蓄積されていきます。
もちろん資金がなければ何もできませんので大切なことにかわりはないのですが、極端な話をいえば、資金が尽きそうになった時にも重要になってくるのは「信用」なのです。信用がなければお金を借りることさえできません。
いくら大金を持っていたとしても、信用がなければその状況はすぐにひっくり返ってしまうこともあります。
大切にすべきなのは「信用」なのです。
⑤無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
お客さんが好きで、欲しいと思っているものを作って売ることの何が悪いのでしょうか?
考え方を変えれば、お客さんの要望に全て答えてしまうと、「なんでも屋さん」のようになってしまう恐れが出てきます。
すでにニーズが顕在化しているので、それをつくれば売上は上がると考えられるでしょうが、プロとしての知識やスキルを活かして、本当にお客さんのためになるものを考えていかなければならないのです。
そもそも、お客さん自身が気づいていなかった潜在ニーズを刺激するような商品をつくる方が、爆発的ヒットが生まれる可能性も高くなります。
出典:www.biwako-visitors.jp
⑥良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
「三方よし」の精神があれば、「多くの買い手に対して、為になる商品を売りたい。そのためには安く提供する必要がある」という風に考えられるでしょう。
近年では、良いものを少し高値で買う消費者が増えているようですが、「良い商品を安く買える」のが本来ならば買い手の幸せであり、また、売り手の幸せでなければならないということです。
⑦紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
「商品だけではなく、付加価値を」ということを言っています。
例えば、マクドナルドで有名な「スマイル0円」もこの言葉に当てはまるかもしれません。
⑧正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
元の値段をがそれで適切なのかを、世に出す前にしっかりと考えなければいけません。
あなたが買い手の場合、バーゲンばかりしているお店を信用できますか?
値下げをしなければ売れないような商品では、価格設定の段階から間違っているといえるでしょう。
⑨今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
お客さんの満足度をはかるには、会計を見るのが一番確実です。
また、①にあったように、お客さんのために奉仕をしてはじめて利益を得られるのですから、損失が出ている場合は「本当にお客さんのために動くことができているか」「手を抜いていないか」を振り返り、改善に努めなければなりません。
⑩商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
「好況不況は言い訳に過ぎない」 ということです。
商売を続けていくためには常に儲け続けなければならず、お客さんのためになるものを売っているのであれば、それを多くの人に届けるためにも儲けて商売を続けていく必要があります。
「三方よし」の近江商人に学ぶ
いかがでしたか?
会社経営に欠かすことのできない「三方よし」の考え方について紹介してきました。
近江商人から学ぶべきは、この「三方よし」の考え方だけではなく、商売十訓も非常に重要なものです。
250年以上も受け継がれてきたこの近江商人の考え方は、今も、これからも、商売をするものにとって、原点に戻ることの大切さを教えてくれることでしょう。