人間の脳は8-13歳で成長を止めてしまう
グローバリゼーションが急速に進む中、ビジネスを行う上で英語を話すことは特別なことでなくなりつつあります。英語だけではなくその他の言語を話すトライリンガルでないと、語学が武器と呼べないという人もいます。
このような環境下、子供に対する語学教育を熱心に行う親も増えています。その中でも取り分け増加傾向にあるのが、幼児期からの語学教育です。
医学の発達により、人間の脳の発達は8-13歳には止まってしまうことが判明しています。発達が止まってしまう年齢のことをクリティカル・エイジと呼び、クリティカル・エイジに達するまでに質の良い教育を受けさせることが重要だと言われています。
クリティカル・エイジを迎える前の2-6歳の語学教育にフォーカスしたスタートアップが注目を集めています。今回はスペイン発のMonkimun社をご紹介いたします。
スペイン人がストックホルムで起業し、活躍の場をシンガポールへ移す
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Monkimun社はスペイン人の兄弟Cristobal ViedmaとMarieta Viedmaが、2014年に起業してできた会社です。
兄Cristobal氏はマドリード工科大学を卒業すると、ストックホルムにあるスウェーデン王立工科大学に入学します。在学中の2008年に初めてのスタートアップ・Bluewalks社を立ち上げます。旅行アプリの開発会社であったBluewalks社でしたが、経営はうまくいかずCristobal氏はその会社を閉鎖するしかありませんでした。
スウェーデン王立工科大学でエンジニアリングの修士課程を終えたCristobal氏に、シンガポールに本拠を置くスタートアップViki社から勧誘がありました。ビデオ・音楽ストリーミングサイトVikiを運営する同社は、腕の良いソフトエンジニアを探していたのです。
Cristobal氏はViki社の誘いに乗り、シンガポールに拠点を移します。プラットフォームの責任者として数年を過ごしたCristobal氏でしたが、2013年9月、VikiはUS$2億ドル(約230億円)で楽天に買収されます。
故郷マドリードに帰り兄弟で起業
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Cristobal氏はストックオプションの権利を持っていたため、纏まったお金を得て故郷マドリードへ戻ります。マドリードでは妹Marieta氏が、語学学校を経営していました。経営は安定しているものの、語学学校のビジネスを拡張することに苦闘していました。
語学学校の経営を手伝っていたCristobal氏は、この状況を打破するのはスマートフォンだと閃きます。スマートフォン用語学教育アプリを開発すれば良いよいと考えたCristobal氏は、まずは語学学校経営の空いた時間にアプリの開発を行います。
そして幼少期の語学教育が重要だとMarieta氏が語ったこともあり、2-6歳向けに絞ったアプリを開発します。アプリが出来あがった2014年6月にMonkimun社を立ち上げ、それ以降はMonkimun社に注力することになります。
成功は3つの特徴から
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Monkimun社が多くのユーザーを獲得できた理由は3つあると分析されています。
1. 提供する教育アプリは、英語、中国語、スペイン語に絞った点
2. 子供の教育習熟度が一目で分かるようにした点
3. 子供が楽しみながら学べる工夫を行った点
1. に関しては、世界中でもっとも話す人口が多い言語のトップ3にフォーカスしています。
2. に関しては、2-6歳の子供が学習対象だと、保護者は子供がどの程度吸収しているか良く分かりません。この不安感を解消するため、子供の習熟度を分かるようにします。
3. に関しては、幼少期に外国語を学ぶのは楽しいと思わせることがいかに大切であるかを良く理解しているからです。
ユーザーのニーズを理解していたMonkimun社は、ユーザー数を増やしていきます。サンフランシスコに拠点を移したMonkimun社は、経営陣に小学校で教員を長年務めたSuzanne Barchersや、ゲームデザイナーのJens Peter氏などを迎え、会社を強化していきます。
2015年にはUS$110万(約1.2億円)の資金調達に成功したMonkimun社は、今日では毎日2万人のユーザーが同社のアプリを使っています。
Cristobal氏は人口が多く、教育熱心なアジアでのアプリ普及に期待をしており、アジアでの活動に力を入れて行くと今後の方針を語っています。ユーザーを引き付けるコンテンツを保有するMonkimun社に期待です。