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ロンドンといえば?
みなさんは、ロンドンにどのようなイメージを持っていますか?
世界でも有名な金融都市であり、また、ファッションなどの分野で世界的なトレンドを発信している印象があるかもしれません。
そんなロンドンですが、ここ数年テックの業界が成長しているそうです。
今回は、「テクノロジーならシリコンバレー、ファイナンスならニューヨーク、フィンテックならロンドン」とも言われているロンドンのスタートアップ事情に迫りたいと思います。
ロンドンのスタートアップ事情
出典:www.theinquirer.net
ロンドンのスタートアップの中心地は、Old Street駅から東部のオリンピックスタジアムにかけた東ロンドン周辺です。
人々はそのエリアを「TechCity」、また、シリコン・バレーにちなんで「Silicon Roundabout」と呼んでいます。
もともとそのエリアは画家やアーティストのための賃料の安い地域だったようで、そこをITのスタートアップも利用し始めたのです。
2008、2009年からテック企業がこのエリアに集まり始め、それらのテック企業の事業が成長するにつれて、テックシティは注目を集め、多くの人に知られることとなりました。
そして2012年のWIRED UKレポートでは、東ロンドンだけでも5000のテック企業が存在していると報告されています。
TechCityでは、各産業分野で、大企業やベンチャー、スタートアップが縦割りのように存在し、その中に投資家やアクセラレーターやインキュベーター、専門家がいます。
ファッション、ヘルスケア、音楽、フードなどの各分野においてスタートアップと既存産業が融合されているようです。
Googleもその勢いに注目し、2011年にはOld Street駅近くの7階建てのビルを購入、2012年3月には「Google Campus London」がオープンし、現在もコワーキングスペースやワークショップなどのイベントなどに使われている。
なぜ成長しているのか?
出典:www.theguardian.com
この「TechCity」の急激な成長には、政府の主導によるところが大きいとされています。
2010年に、当時の首相であったデーヴィッド・キャメロン氏は、
「ロンドンもシリコンバレーのような世界のハイテクの中心地になれるはずだ」
と関心を示したのだそうです。
そこからというもの、キャメロン首相はテックシティ構想を発表しました。
こうして誕生した「TechCity UK」では、英国内のテック起業家に適切な支援を提供したり、起業家や政府、教育や金融が共に起業環境の育成に取り組むための議論を重ね、様々な政策を打ち出してきました。
ロンドンの「Silicon Roundabout」では、地域の既存産業とうまく融合している点がシリコンバレーとの大きな違いです。
ロンドンのスタートアップが金融に強いと言われるのは、長い歴史を持つ金融都市であるという理由からだとも言われています。
ロンドンのスタートアップ5選
旅行関連SNSのDopplr(2009年にNokiaに買収され現在サイトはクローズ)、音楽サービスのLast.fm、TwitterプラットフォームのTweetDeck
Blippar
出典:www.aweasia.com
ポスターや製品のパッケージにスマホのカメラをかざすと、動画やSNSとの連携、ゲームなどを通してインタラクティブな動作をするアプリです。こちらはすでに日本にも進出しています。
これは、eコマースにつなげるなど、マーケティングツールとして活用することができます。
RefME
出典:www.independent.co.uk
参照・引用文献情報や脚注、参考文献一覧を、簡単に論文などにつけることができるサービスです。
引用方法のスタイルというのは7000あるといい、簡単に情報を加えることができるので、学生や研究者には非常に嬉しいサービスです。
世界で50万人のユーザーがいるそうです。
CityMapper
出典:www.appsread.com
これはマップアプリですが、提供しているのは地図情報だけではありません。
ある地点からある地点までを歩く時の予想消費カロリーや、天気情報や渋滞情報といった、地図情報以上の価値を提供しているのです。
Lyst
出典:chloedigital.com
店舗とオンライン上の消費者を結びつけるプラットフォームです。複数のEコマースサイトの製品を一度に見ることができます。
店内で買い物している人は、好みの製品の近くを通るとアラートを受け取ることができるという機能もあります。
ショッピングエクスペリエンスを革新するサービスだと言われています。
Netduma
出典:www.youtube.com
オンラインゲームにおいて最大の問題とも言える、ネットの遅延ラグを解消するソフトウェアです。
2014年12月の発売開始後、6週間で25ヵ国で発売し、爆発的な人気となっているといいます。
PCゲーム以外に、PS4やWii Uなどでも利用でき、人気オンラインゲームなどにも対応しています。
「TechCity」のゆくえ
現在では、「デジタルビジネスアカデミー」という教育事業が運営され、最新のノウハウに基づいて起業家教育を提供したり、スタートアップに向けたFuture Fiftyという支援プログラムを運営しているロンドン。
政府が主導で動いているということもあり、「TechCity」というブランドを構築して内外からの注目を集めることに成功しています。
今後のロンドンのTechCityと、そこから誕生したスタートアップの活躍が楽しみです。