アメリカの成功ビジネスモデルを他国で

海外で成功しているビジネスモデルを他国で展開し、大成功を収めるケースは昔から存在します。特にアメリカで上手く行っているビジネスモデルを日本に持ち込んで、大企業に登りつめた例は多々あります。
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出典: http://www.tamotsu.co.jp/casestudy/case-47/
身近な例では、古くはスーパーマーケットが代表例と言えるでしょう。戦後、小規模な個人商店が主流だった日本でしたが、1950年代から1960年代にかけてアメリカを視察した若手経営者が、アメリカでは主流となりつつあった大型スーパーマーケットにビジネスチャンスを見出し、日本で大型スーパーマーケットが誕生しました。ダイエーやイトーヨーカードなどがその代表例です。
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出典:the-daily.buzz
また今では我々の生活には欠かせないイーコマースも、アメリカで1994年に産声をあげたamazonが成功を収め、日本では1997年に楽天が営業を開始します。
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出典:en.wikipedia.org
アメリカから全世界に広がったビジネスモデルも多々あります。MBAの教材として良く使われていた格安航空会社サウスウェスト航空は、現在、世界中で存在感を示しているLCC航空会社のビジネスモデルの起源です。
 
しかし現在は、世界中の情報に簡単にアクセスできる環境が整い、以前のように海外の成功ビジネスモデルを他国で導入し、成功を収めることが難しくなっています。
そのような環境下、アメリカで一定の成功を収めている定額フィットネスクラブを参考にマレーシアで起業したKFIT社をご紹介したいと思います。
 

ニューヨークで成功したCLASSPASS社をモデルに

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出典:http://blog.kfit.com
KFIT社は、会員に対し提携しているフィットネスクラブ、ヨガスタジオ、スパなどを無制限で使用出来るサービスを提供しているマレーシアの企業です。現在ではアジア太平洋地域で、数千もの施設を使用することが可能です。
 
通常、フィットネスクラブに入会しても1店舗限定の会員になるか、そのフィットネスクラブの系列店舗が使用出来る会員になるかの選択肢しかありません。世界中を見渡しても、フィットネスクラブはほぼ同じシステムで、違う経営母体のフィットネスクラブを自由に使える制度は、ほぼ見掛けることがありませんでした。
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出典:blog.fieldguided.com
もっと自由に、フレキシビリティーを持ったフィットネスクラブの使い方をしたいと考えるユーザーの声を受け、ニューヨークにCLASSPASS社が誕生します。経営母体に関係なく、提携したフィットネスクラブを自由に使えるシステムです。
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出典:www.digitalnewsasia.com
CLASSPASS社はその利便性から成功を収めますが、このビジネスモデルに注目したのがKFIT創業者Joel Neoh氏でした。地元マレーシアでCLASSPASS社のビジネスモデルを展開すれば成功を収められると考えたNeoh氏は、2015年にKFIT社を起業します。KFIT社を起業する前から、マレーシアでは有名なNeoh氏とはどのような人物でしょうか?

20歳で初めての起業、グル―ポン・マレーシアを設立

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出典:www.techinasia.com
オーストラリアのモナッシュ大学でエンジニアリングを専攻していたNeoh氏は、20歳の時に初めての起業を行います。その直後、Neoh氏に大きな転機が訪れます。
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出典:themarshallreport.wordpress.com
アメリカの人気テレビ番組“ジ・アプレンティス”のマレーシア版“ザ・ファーム”に出場し、優勝します。”ジ・アプレンティス“は、有名経営者がアプレンティス(見習い)に試練を与え、それに勝ち残ったものを自分の会社に本採用するという内容のテレビ番組です。
アメリカでは有名経営者にドナルド・トランプ氏を迎え、脱落者に対しトランプ氏が“You are Fire(お前はクビだ)”と言い放つシーンは一世を風靡しました。
これに優勝し経営者としての手腕を証明したNeoh氏は、複数の起業をマレーシアで行い、成功に導きます。その中でもグル―ポン・マレーシアと、技術ベンチャーキャピタルのセイズ・コムは大成功を収め、Neoh氏は経営者として確固たる地位を築きます。
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出典:find-travel.jp
Neoh氏とKFIT社のビジネスモデルとなるCLASSPASSとの出会いは、偶然のものでした。スキー旅行のため軽井沢を訪れたNeoh氏は、ある友人からCLASSPASSの記事を見せられます。
所得水準に比べて相対的にフィットネスクラブの利用料金が高いアジア諸国で、CLASSPASSのように経営母体に関係なく自由にフィットネスクラブが利用出来る仕組みを導入すれば、ユーザーの支持を得られると考えます。
Neoh氏は直ぐに行動に出ます。マレーシアに帰国後、KFITを立ち上げます。この行動力がNeoh氏の勝因と言われています。

スパや足裏マッサージで会員増加

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出典:01.gatag.net
KFIT社を立ち上げたNeoh氏でしたが、最初は友人達に声をかけただけで、積極的に従業員を雇うことはありませんでした。小さなチームでスタートしたKFIT社でしたが、最初の3カ月は、ウェブブラウザーのホームページのみで会員を募集し、運営していました。
会員数を広げたり、会員の利便性を考えるとモバイルアプリの開発が必須だと考えたNeoh氏は、モバイルアプリの開発に着手します。しかし人員も技術も限定的なKFIT社のモバイルアプリは、Neoh氏も認めるようにCLASSPASS社のモバイルアプリのコピーでした。
 
これではいけないと考えたNeoh氏は、資金調達を成功させ技術者を増やします。そしてユーザーが使いやすいアプリとシステムを開発し、ユーザー数を増やします。
 
さらにKFIT社がビジネスを拡大出来た成功の要因は、スパや足裏マッサージなどの施設も会員が使えるようにした点です。
 
起業1年半ほどで、現在では使える施設はクアラルンプールだけでも1000か所を超え、シンガポール、香港、台北、シドニーなど10都市にもサービスを広げたKFIT社の今後の発展に注目です。

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