近未来の認証システム
皆さんはマイノリティーリポートという映画をご存知でしょうか?
この映画の舞台は2054年のワシントンDC、近未来で実現しているであろうテクノロジーが多数登場します。
その中の一つに網膜認証システムが登場しています。この世界では、人々の網膜のデータが政府により管理され、そのデータが本人証明の証となっています。
マイノリティリポートのように、人口増加やキャッシュレス化が進むにつれて、近未来で生体認証による本人証明の必要性は高まると言われています。
生体認証には指紋や、虹彩、静脈、顔認証などがあり、どれか一つに特化した企業は多くありますが4つ全てに対応している企業があります。
それが今回ご紹介する株式会社Liquidです。
『Liquid』とは?
『Liquid』は一言で表すと、決済などの際に使われる生体認証システムです。
2014年1月以降で、日本、米国のクレジットカードの不正利用や個人情報の流失など、既存の本人認証システムでは防げなかった事件が8000万件超だと言われています。
現在の本人認証システムは物理アイテムやパスワードなどによる認証システムで、それ自体が偽造されると本人として認証されてしまう問題があります。
『Liquid』では生体認証を利用することで、本人以外が本人証明を出来ないシステムを構築しました。
また世界でクレジットカードなどの決済手段を利用出来る人口は、全体の5%も満たさない中、Liquidは低コストで利用できる決済インフラとして、世界経済の発展に貢献していくと考えています。
従来の指紋認証システムとの違い
これまでの指紋認証システムでは、指紋画像の一致率により本人であるかどうかを判断していたため、登録ユーザーが増えるにつれて処理速度や認証精度の低下という問題がありました。
そのため認証の際にカードやパスワードが必要となり、純粋に生体認証のみでの証明システムはなかったのです。
しかし『Liquid』は独自のアルゴリズム技術により、指紋のみで証明可能な認証システムを作りました。これまでは1ユーザーにつき0.05秒かかっていた認証時間を0.0003秒まで短縮します。
決済時における既存事業や競合他社は多いですが、この大規模ユーザーでも高速に生体認証できる技術が『Liquid』の大きな強みと言えます。
テクノロジーベンチャーの強み
株式会社Liquidを設立した久田康弘氏はLiquidが目指すのは「画像解析の要素技術提供」だと言っています。
要素技術とは製品を構成する要素に関する技術で、会社を作るきっかけになったのも要素技術を開発するベンチャー企業が日本に少ないという問題意識から生まれました。要素技術のように他の企業が参入しづらいものを開発することが生き残るための唯一の道だと考えたそうです。
テクノロジーベンチャーの強みは、この参入障壁の高さにあると思われます。日本が世界と勝負するためには、『Liquid』のように高い技術を活かしたテクノロジーベンチャーが増える必要があるのではいかと思います。
SFの世界がすぐそこに?
最後に『Liquid』の社名の由来についてご紹介したいと思います。
人は生活するにおいてなくてはならない水を意識せずに使っています。
”liquid”とは本来、液体や水といった意味ですが、水のように自社で開発した生体認証技術が、生活必需品と意識されないレベルで広く利用されているものになるようにという想いをこめて名付けられました。
いづれ人類の生活に『Liquid』が浸透することで、財布を持たずに画像認証だけで全てのものが買える時代が来るかもしれません。そういった近未来を想像するだけでもワクワクしますね。
『Liquid』のように、人々をワクワクさせるベンチャーが増えることに期待しましょう。