“経験は学問に勝る”経験曲線の法則とは
学校でも仕事でも、わたし達は“慣れる”ことに多くの時間を費やしてきました。小学校での漢字の書き取りや新しい職場でのマニュアルを見ながらの業務など、最初は時間がかかっていた未知なることでも、しばらくすればスムーズにこなせていたという経験がどなたにでもあるはずです。
今回ご紹介する「経験曲線」は、そんな“経験”にまつわる法則です。経験したことから学びを得、生産性を上げて行くことは誰にでも可能な人間の能力の一つです。それをビジネスに応用するとどうなるのでしょうか?
「経験曲線」とは?
出典:www.endeavorcareers.com
経験曲線とは、製品・業務・サービスなどが頻繁に生産・実行されるようになると、その単価あたりのコストが減少していくことをモデル化した考え方です。
多く生産・実行するほど、その製品やサービスについての理解が深まり、効率が向上してより低いコストでの生産・販売が可能になることを示しています。
また、この考え方のベースは私たちが持つ“経験から学ぶ”という能力なので、どのような商品やサービスにも応用することが可能です。
カタチがある工場での生産という業務だけでなく、管理・マーケティング・販売といった業務においても適用することができます。
「経験曲線」はどのように生まれたのか
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経験曲線は、1930年代にアメリカの航空機の生産コストを調査する過程の中で発見されました。
1960年代に入り、ボストン・コンサルティンググループによって提唱されたことから広く知られるようになります。この曲線によると、累積生産量が2倍になると単位コストが20~30%減少する関係にあることが読み取れます。
特に広く市場に出回っているような製品になると生産数も増えるため、より低いコストでの生産が可能になります。これは企業側にとっては非常に大きな強みです。
また、カタチのないサービス業のような業務でもこの曲線に当てはめて考えることができます。例えば頻度の多いクライアントからの問い合わせほど、マニュアル化することができますし、サービス自体を見直して改善していくことも可能になります。
来店数が多い店舗ほど接客の機会も増え、人材を早く育成することができ、少人数での運営というよりコストの低い運営につなげることもできます。
このように、経験曲線という法則に則って初期投資を行い低価格で販売して売り上げを伸ばしていく、という経営戦略を行える場合があります。
しかし、IoTをはじめとする日々新しい製品がでる業界や今までになかった未知なる分野の製品・サービスでは、この経験曲線を活かした考え方はできません。
技術革新のスピードが速い分野では、次から次に出てくる製品によってこれまでの経験は無効になってしまいますし、新しい曲線もどんどん出現してきます。
また、新しい製品が出るスピードが速い分、経験曲線が強みに持つ大量生産という方法はすぐに新しい別の製品に淘汰されて大量の在庫になってしまうという危険性もあるのです。
習うより慣れろ~ビジネスやプライベートで“習慣”にしよう
“慣れ”や“学習”という経験をベースにした考え方は、実際のビジネスだけでなく日常のいろんなシーンに当てはめて考えることも可能です。
例えば、簡単な試験勉強から始めてその分野への学習や自分に合った学習スタイルを身につけていくことでより難しい試験に挑戦することもできますし、スポーツやダイエットなどライフスタイルの習慣もつけやすくなります。
最初は無理せず取り掛かり、慣れて軌道にのってきた時にチャレンジし、飽きのこないように様々なイベントを取り入れる...。経験曲線という法則を通して、ビジネスでもプライベートでも“習慣”にするということの大切さを改めて確信できるのではないでしょうか?