中国一の大富豪は誰?

「世界は広し」と言えど、今や中国の富裕層は年々増える一方です。
その中でも、中国人の富豪トップに立つのは、太陽電池メーカーとして知られる漢能グループ創始者の李河君氏です。
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出典:investorplace.com
中国の民間調査機関・胡潤研究院が発表した“2015年胡潤世界長者番付”によると、李河君氏は馬雲氏(ジャック・マー:アリババ創業者)・王健林氏(ワン・ジエンリン:ワンダグループ会長)を抜き、中国人の長者番付でトップになりました。
2015年3月にアメリカ経済誌・フォーブスが発表した世界長者番付でも、李河君氏は211億ドルで38位にランクインしています。

教授に資金を借りて起業

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出典:baike.baidu.com
李河君氏は1968年に広東省・河源県の農村で生まれました。
1984年に北方交通大学(現在の北京交通大学)機械工程学部へ入学し、88年に大学を卒業。大学院に進学しますが、恩師の他界を機に大学院を中退してしまいます。
その後の1991年、大学教授から5万人民元を借り、事業を開始します。
李河君氏は鉄道運輸や採掘、不動産売買、玩具、ミネラルウォーター販売など様々な事業を展開する中で、ついに北京・中関村で電子製品を売る事業で8000万人民元を貯めることに成功します。
そして、この資金を基に、大学時代の友人の勧めで故郷の河源県で容量1500キロワットの小型水力発電所を1000万人民元で購入しました。そのことが、後々中国1位の富豪にまでのし上がる李河君氏のクリーンエネルギービジネス参入へのきっかけになります。
李河君氏自身もこの時のことを「これまでいろいろな事をやったが、真の事業家としての道を歩み始めたのは、94年のあの時だった」と振り返っています。

事業を支える水力発電事業の可能性

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出典:www.hanergy.com
李河君氏率いる漢能控股集団(ハナジー・ホールディングス・グループ)は、太陽光発電分野を始め、今や年産力300万キロワットを誇る世界最大級の薄膜太陽光電池メーカーにまで成長しています。
しかし、漢能控股集団の水力、風力、太陽光の3つのエネルギー事業の中で一貫してグループを支えているのは水力発電です。
漢能控股集団は、中国国内14カ所に水力発電所を保有し、設置容量は600万キロワットと、葛洲ダム発電所(中国最大の水利プロジェクト)の2、3個分に相当する力を有しています。
水力発電事業について李氏は「原価はゼロ。一度稼働すれば、輪転機のようにカネを生み出すのが水力発電の特徴」と語り、水力発電事業が持つ無限の可能性について言及しています。

2020年、3社同時上場へ

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出典:www.hanergy.com
そんな李河君氏の次なる挑戦は太陽光発電です。
空気汚染が深刻なイメージのある中国。
「2035年には、世界のすべてのエネルギーの半分は再生可能エネルギーになる。太陽は“ないところがない”ものであり、汚染が深刻な北京の空気の向こうにも太陽はある」と言う李河君氏からは、太陽光にビジネスチャンスを見出しています。
輸入石油に依存し、汚染物質を大量に排出している中国という国にとって、李河君氏のビジネスは素晴らしい転機になる可能性を秘めています。
漢能控股集団は、現在の薄膜シリコン太陽電池の生産能力をベースに、さらに80億~100億人民元を投じて、生産能力が高い国産のCIGS生産ラインを建設しています。
高い技術力が要求される薄膜太陽光電池の分野に参入することは、一見リスクも高いように見えます。
しかし、李河君氏自身は「水力発電事業というゆるぎない事業基盤と、非常に安定したキャッシュフローが存在する」と説明しています。
「漢能は最もリスクのない企業」という認識だからこそ、この市場機会を見逃さなかったようです。
李河君氏の長期的目標は、2020年に薄膜太陽電池の生産能力を10GWにし、同時に3社を上場させることです。
世界はもちろん、中国でも環境ビジネスは変化が激しい業界。李河君氏の挑戦はどこまで続くのでしょうか。これからも目が離せません。

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