LCCの台頭~低価格の力~
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LCC(格安航空会社)を利用したことありますか? 最近では2月19日にバニラ・エアがLCCで初の成田―函館線の運航を開始、ピーチは那覇―バンコク線を就航しました。
就航数も増え、そのシェア率も伸ばしてきているLCC。日本でもかなり浸透してきていると言えるでしょう。
LCC台頭の背景にあるのはやはり、「安さ」です。圧倒的な低価格によって従来の航空会社(レガシーキャリア)のシェアを奪っていきます。
LCCによる低価格によるシェア奪取は破壊的イノベーションの1種と考えられるでしょう。
では、なぜLCCはそれほどの低価格を実現できるのでしょうか。そこにはたくさんの秘密があります。今回は、その秘密の1つである「クリームスキミング戦略」について考えていきましょう。
LCCの安さの秘密
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クリームスキミングについて考える前に、LCCの安さの秘密をいくつか見ていきましょう。
1つ目は、「無料サービスの廃止」です。例えば、機内食や毛布の貸し出しなどを止めたり、有料にしたりすることなどがこれにあたります。こうすることで業務コストが下がり、乗務員の人数も少なくすることができます。いわば、飛行機本来のサービスである「移送サービス」に特化しようとしているのですね。
2つ目は、「飛行機の空港滞在時間の短縮」です。LCCでは、1機当たりの運用効率を高めるため、空港での滞在時間をなるべく短くしようとします。目的地に到着後、なるべく短時間で次のフライトを行います。
この他にも、郊外の空港の使用、機内設備の簡素化、「沖止め」など様々な秘密があり、こうした努力の結果として、LCCの破壊的イノベーションは成り立っているのです。
そして、元祖LCCともいわれるサウスウエスト航空が用いた戦略、「クリームスキミング」もLCCの低価格を目指すビジネスモデルに大きな影響を与えています。
クリームスキミングとは
クリームスキミングの本来の意味は、「牛乳から最もおいしいクリームの部分だけを取る」というものです。
ここからLCCにおけるクリームスキミングの意味がわかったでしょうか?
サウスウエスト航空は、他の大手航空会社が広いネットワークで全体に配慮したサービス(ユニバーサルなサービス)を行っている中、需要の高い2点間の直行便を低価格で売り出したのです。2点間の直行便に特化することで、フライトの回転数を上げ、見事にLCCの先駆けといえるビジネスモデルを作り上げました。
クリームスキミング戦略とは、高い需要密度が見込めるセグメントのみに集中し、業務効率の向上・低価格化を行い、さらなる需要・利益を求める戦略です。
需要の高いセグメントにおいて、低価格で売り、その低価格がさらなる需要を呼び、その需要がさらなる低価格を、という風に好循環が起こりやすいビジネスモデルです。
また、ユニバーサルな事業を行っている会社が一度始めてしまったサービスは、顧客期待などの影響で簡単にやめてしまうことはできません。そのため、クリームスキミングを使った会社に高収益な部分を食い荒らされ、低収益な部分も維持しなければならなくなります。
結果として、クリームスキミングを行った会社の競争優位性が上がるのです。
他分野におけるクリームスキミングの例
クリームスキミングがよく見られるのは、エネルギー、通信、運輸、保険などの公共サービスです。
通信であれば、金融街などの高需要地域のみでネットワークを展開し、低価格・高品質で売る。
保険であれば、低リスクのグループを見つけて安めに売る。
このように、「高需要のセグメントを見つけて低価格で売る」のがクリームスキミングの要点です。
この点を理解していれば、公共サービス以外でもクリームスキミングは使えます。
まず、自分が参入しようとしている業界で需要の大きいグループはどこかを探します。このグループは、顧客セグメントだけでなく、案件の種類である場合も考えられます。様々な要素でその業界を区分してみましょう。
目指すセグメントが見つかった次にやることは、そのセグメントにおける「業務効率を高める方法」と「低価格を追求する方法」の模索です。
この2つが見つかれば後は実行に移すだけです。
注意点ですが、クリームスキミングのビジネスモデルを追求する場合は、広範囲に展開することは好ましくありません。最初に集中したセグメントで業務効率を上げることが目的なので、それに悪影響を与えるような展開は控えましょう。
破壊的イノベーションでビジネスチャンスを掴め
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クリームスキミングはいかがでしたか?
LCCの安さの秘密は、低い性能ではなく、徹底したコストマネジメントとクリームスキミングにありました。そして、「安さ」はビジネスにおいて1つの武器に違いありません。
業務効率を上げるためには何ができるのか、どこに集中すればうまみを得られるのか。
考え抜いた先に、あなたのビジネスチャンスがあるのです。