市場が拡大している便利屋業界
年末の大掃除など手間暇かかる作業をしていると、誰か代わりにやって貰えないかと考えることはないでしょうか?大抵の場合、それを考えるだけで結局は自分で作業を続けると思いますが、どうしても誰かに頼まなければならない場合は、真っ先に思いつくのが便利屋ではないでしょうか?
便利屋は主に小規模事業主が行うビジネスというイメージがあるかもしれませんが、いまやその業界規模は1兆円を超える産業と言われています。
特に近年は大きく伸びている業界として注目を浴びています。これは急速に進む少子高齢化と女性の社会進出が大きく寄与していると、業界関係者は分析しています。
少子高齢化で、今までは家族で行っていた家庭内作業(年末の大掃除など)が自分達で出来なくなるケースが増え、便利屋に依頼するケースが増えています。しかし実際、便利屋を使うとなると躊躇してしまう方も多いようです。
自分が出来ないことを、手軽に他の人に代行してもらうビジネスを考えた若者がマレーシアにいます。今回はGoGet社をご紹介します。
心理的負担を少なく手軽に使える代行業
出典:www.youtube.com
GoGet社のサービスは、至ってシンプルです。
依頼者が代行して欲しい具体的な内容をGoGet社のアプリに記入します。それに代行手数料を入力すると、その内容がGoGet社のウェブにアップされます。それを見たGoGet社に登録した請負人( Go Getters)が、自分が出来る依頼内容を探して代行請負を行います。
具体的な依頼内容を幾つか挙げたいと思います。一番多い依頼は買い物代行です。仕事で買物をする時間が無いので、食料や日用品などを買って自宅まで届けて欲しいという依頼です。なかにはバーゲンで欲しいドレスがあるが、平日の昼間に長時間並んでドレスを買うことが出来ないので、代わりに列に並んでドレスを購入して欲しいという依頼などもあります。因みに、この時の請負代金は100マレーシアリンギット(約2600円)だったそうです。
マレーシアならではの依頼ともいえるものもあります。マレーシアには人気レストランや屋台などが街に点在しています。中には予約を受け付けないお店もあり、美味しいお店には長蛇の列が出来ているのは日常の風景です。
仕事に忙殺されるビジネスパーソン達は、長い列に並ぶ時間はありません。そのような場合はGoGettersに依頼して、列に代わりに並んで貰うのです。それがマレーシアではウケているようです。
高い失業率を何とかしたい
出典:www.youtube.com
GoGet社はFrancesca Chia CEOを中心に2014年に創業されたスタートアップです。アメリカのノースウエスタン大学を卒業したChia CEOは、ボストン・コンサルティング・グループに勤務します。
仕事を通じてマレーシア経済の現状について改めて考えたChia CEOは、その失業率の高さを再認識します。働きたくても諸事情で働けない人々に、手軽に仕事を与えることは出来ないかと考えます。
そこでChia CEOが注目したのが、経済発展に伴い増え続ける中産階級の人々でした。この層の人々は仕事と家庭に時間を費やし、自分達がしたいことがなかなか出来ません。Chia CEOは、時間が無い人と手軽に働きたい人を結び付けるビジネスを考え出します。これがGoGet社の始まりです。同じようなサービスは、既にアメリカでTaskRabbit社などが行っており、社会から認知を得ていました。
小資本でスタート、確かな手ごたえ
Chia CEOと共同創業者達は、僅か5万マレーシアリンギット(約130万円)の資本でGoGet社をスタートさせます。創業1年目はビジネスのプラットフォーム作りに専念します。そしてテスト的にサービスを始めた最初の1週間で、100件の依頼に対し30件の請負を完了させます。
Chia CEOはこの結果に確かな手ごたえを感じます。限られた資金しか持たないGoGet社は、広告は掲載出来ない環境下で、この結果を得たのでした。
その後、本格的なサービスを開始したGoGet社は、最初の1年で1万件の請負仕事を成立させました。Chia CEOは、今まで一日働いて60マレーシアリンギット(約1500円)程度しか稼げなかった人々が、GoGetterになった今では、同じ金額を2-3時間で稼げるようになったと胸を張ります。
マレーシアという社会にマッチしたGoGet社の利用者は増え続け、遂には香港でもサービスを始めました。今後のGoGet社の成長に注目です。