ゲーム理論は交渉の場で使われる理論であり、ビジネスをしていく上でも応用できます。
ゲーム理論の基本的な考え方とは、プレイヤーが意思決定する際に、他のプレイヤーがどのように対応してくるかを予想するというものです。その上で、自分にとって最も有利となる行動を決定するのです。
ゲーム理論には、「囚人のジレンマ」や「同時手番ゲーム」、「逐次手番ゲーム」などがあります。
この記事では、ゲーム理論と囚人のジレンマについて簡単な図を用いて解説します。その上で、ゲーム理論を応用して、携帯電話各社の料金がなぜ同じようなものばかりなのかを考えてみたいと思います。

囚人のジレンマとは?

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出典:www.youtube.com
「囚人のジレンマ」はゲーム理論を理解する上では欠かせないものです。ゲーム理論の導入にあたって重要なので、以下で具体的に囚人のジレンマについて考えてみましょう。
 
◯状況
窃盗の罪で、警察が容疑者Aと容疑者Bを捕まえました。
この容疑者二人は共犯していたと思われており、別々の留置所に送り、容疑者Aと容疑者Bがお互いに連絡ができないようにしました。
しかしながら、明らかな証拠がないため、罪を問いにくく、このままでは釈放しなければなりません。そこで警察は、容疑者を自白させようと、容疑者Aと取引をすることにしました。
「本来なら懲役5年というかなり重い刑になるところだが、自白をしたら罪を軽くしてやる。黙っていたら、罪は重くなるだけだ。ただし、このことは容疑者Bにも伝える。二人ともが自白をしたら、罪は軽くはならない。」
 
下の図は、警察と容疑者の取引の結果を表します。それぞれが、自白、黙秘を選択した場合を示しています。
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この場合、容疑者Aは自白か黙秘のうち、どちらの行動を選択するのが合理的でしょうか?
両者が連絡を取ることができれば、両者ともに黙秘するのが最適な結果です。しかし今回のケースでは、お互いに連絡を取れず、相手が何を選択したかわからない状況下となっています。


①容疑者Bが自白する場合

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この時、容疑者Aは黙秘すれば、A自身の懲役は10年になってしまいます。
しかし自白すれば、懲役5年です。そのため、容疑者Aは自白を選択します。
 

②容疑者Bが黙秘する場合

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この時、容疑者Aは黙秘すれば、A自身の懲役は2年になってしまいます。
しかし自白すれば、懲役1年です。そのため、容疑者Aは自白を選択します。
よって、容疑者Aは相手の行動を考えた結果、自白を選択します。同様に容疑者Bも同じように考えた結果、容疑者Bも自白を選択します。よって、両者ともに自白を選択してしまうのです。
 
この時、両者が自白を選択している状態(自分が一方的に戦略を変更しても何ら得をしない状態)をナッシュ均衡と呼びます。
 
相手の行動を合理的に考えた上で自身の行動も合理的に考えた結果、容疑者のジレンマとして、両者とも最適な選択を取れなくなるのです。
 
ただ日、この囚人のジレンマという考え方は、ゲームが1回しか行われない状況を仮定した時に得られる結論です。
 
このゲームが繰り返し行われることを仮定すると、協調関係が生まれやすくなり、この囚人のジレンマは成り立たなくなります。
 

携帯の料金が各社ほぼ同じ理由をゲーム理論で理解

ゲーム理論を使えば、簡単に大手携帯電話各社の料金が同じ理由を知ることができます。ここでは、SoftBank、au、docomoの月額料金についてゲーム理論を用いて検討してみたいと思います。
例えば、月額料金が3社ともに5000円とします。ここで仮にSoftBankが、月額料金を4000円に引き下げたとします。
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するとどうなるでしょう。au、docomoから顧客が流入するため、SoftBankは大きな利益を得ることができます。
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しかし、当然auもdocomoも黙ってはいません。他2社も、価格を維持するか、料金を引き下げるかを検討します。
その結果、価格を引き下げ顧客の流出を防ぐことの方が利益になると判断すると、他2社も同様に4000円に引き下げます。
そのため、どこの会社も同じようなプランが並びます。
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すると結果、料金は下がるものの、顧客の移動は起こりません。どこの会社も同じ4000円だからです。
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同じ4000円が並ぶと、どこかの会社が料金をさらに下げます。しかしながら、他の会社も同様に料金を下げ、同じ価格となります。
これを続けると価格は下がり続けますが、どこか1社の料金だけが安いということにはなりにくいのです。
資金体力がない企業だと、価格競争の末倒産します。しかし、大手携帯電話各社ほどの企業だと、なかなか倒産することはありません。
 
そしてもしも4000円の料金だと、企業が得る利益は1人当たり5000円から4000円に下がってしまいます。企業側としては避けたいところです。
そのため、携帯各社は相手の行動も含め合理的に考えた結果、料金を下げるということはしません。
どこか1社が料金を下げたとしても、他の2社がほぼ同じプランを出し、ただ利益を下げるだけだとゲーム理論的に理解しているのです。
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出典: careerpark.jp
価格の事前の打ち合わせ(建設業界で成り立っている談合)は禁止されていますが、携帯電話各社は事実上どこの会社も料金をほぼ同じにしています。これは市場の競争の原則からして問題があります。
競争が存在しないということは、そもそも月額料金が不当に高いとも言えるかもしれません。
携帯電話の業界は、どこの国でも同じような現象が起きる業界なので、他国との比較は全く当てになりません。
また、私たちは携帯電話のない生活というものを想像することはできないため、何気なく払い続けてしまいます。2年縛りでないと契約できないということ自体が、そもそも普通ではありえない現象です。
 
この独占されている料金を下げるためには、格安SIMと呼ばれる回線を販売している会社が市場を獲得していくことが必要となってきます。
しかし実は格安SIMを販売している会社も、大手携帯電話各社の回線を利用しています。そのため、携帯電話の料金はこれからもなかなか下がることはないと考えられています。


ゲーム理論を活用してみましょう

ゲーム理論はビジネスを有利に運ぶためには重要です。経営戦略を立てるとき、ライバル企業を考慮せずに良い結果が出ることはありません。
そのためみなさんもぜひ、ビジネスをしていく上での1つのツールとしてゲーム理論を使用してみてください。
 
今まで見えてこなかった、新しい経営戦略を立てることができるはずです。

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