パワーバランスには注意が必要

パワーバランスには注意が必要


-あの時こうしておけばよかったとか、こんな知識があれば失敗は防げたというエピソードはありますか?
私は2回起業しています。最初の創業のタイミングは誰かと一緒にやることが多いと思いますが、その場合、持ち株の分配比率が重要です。
最初の会社はほぼ3等分して、結果的にパワーバランスが難しくなりました。現在は3人のうち2人抜けて1人がメインで行っていますが、結局創業者も抜けてしまいました。
フーモアも、MiCHiの中崎と一緒にやって資本金が半々みたいなことをやったのですが、これもパワーバランス的には良くありません。事前に起業家の先輩に相談したら、「絶対失敗する!」と言われました。
2回目は絶対そんなことないと言ってやったんですが、案の定パワーバランスが悪くなってしまいました。やっぱり圧倒的に誰かが3分の2以上持ったり、代表をやらないと、意思決定の時に決断が難しくなるので、会社を創る時は意志の強い方が圧倒的なシェアを持ってやるべきだなと思っています。
-その後の資本政策を考える上でもそういった知識は必要ということですか?
そうですね。他の会社の話もたまに聞きますが、苦労されているところが多いと思います。結果的に買い取るときに会社の価値が高くなって(出資者側が)買えないという現象が起きたりするので、そこはやっぱり良くないんじゃないかなと思いますね。
会計はある程度本を読めば流れがわかりますが、税金を払うタイミングをよく知らずに苦労しました。
たまたま、ある方に会計をどうしているのかと聞かれ、自分でやっているという話をしたところ、「それは危険だよ」と言われて会計士の方にお願いしました。結果として、納税が危なかったタイミングだったそうです。
そのおかげでなんとか上手く締まったのですが、できていなかったらすごい追徴課税を喰らってたんじゃないかと思っています。会計はしっかりとやって、あんまり得意じゃないことは専門家に任せるのがいいかなと思っています。

奇跡的な縁


-現在の株主の方々と出会った経緯を教えていただけますか?
会社を作って最初の2ヶ月間、フィリピンへ語学留学に中崎と一緒に行きました。
「マンガのサービスをやるので(将来的に事業をグローバルに展開するなら)英語がペラペラじゃないといけないよね」ということで行きました。
当時はフォトクリエイトにいた(現スペースマーケット社長)重松さんがたまたま同じ語学学校にいて、一緒に英語を勉強しました。
2ヶ月後に日本に戻り、イラスト事業が伸び始めて、ある時どこかから情報が漏れたのか、VC3社から一斉に声が掛かりました。
その中のサイバーエージェントベンチャーズ(CAV)のサトマキ(佐藤真希子)さんという方が弊社にいらっしゃったのですが、最初はVCを入れる気はなく、話をしていました。
会話の中で、「うちの旦那も同じタイミングでフィリピンへ行っていた」という話になり、場所も同じだったので「重松さんですか?」と聞いたらそうだと分かったんです。
ちょっと縁を感じて、かつ、その重松さんは現在の株主でもあるマイネットの上原さんとNTT時代の上司部下の関係だったというのもあって、「これは何かの縁だな」と感じて、事業をもう少しブラッシュアップして資本を入れていただきました。

好きなら、どんな人とでも働ける


-今後の事業面・組織面の戦略を教えていただけますか?
今やっているイラストや2Dアニメーション・3DCG制作に関しては、しっかりとこのまま伸ばしていきたいなと思っています。例えば、イラスト制作で「ドラゴンボール風の絵を描いてください」と言われれば、誰にどれくらいの期間でいくらでやれば作れるかをパッと答えられる状況です。
クラウドソーシングの事業を使って、イラストでどんなテイストでも描けるというのは素晴らしいことで、それを他の受託に持っていきたいなと思っています。
現在足りていないのは、シナリオや音楽で、もっと作る力をつけていきたいと思っています。
今後は著作物・IP(知的財産)を作っていきたいと思っています。絵が描けてシナリオが出来てつなぎ合わせてマンガができる、受託でクリエイティブなことをやっているので、それをつなぎ合わせて作品を作って世界に出していきたいと考えています。
会社には結構変わったメンバーがいて、元プロサッカー選手、日銀出身者、シリコンバレーでエンジニアをしていた方などいろんな経歴のメンバーがいます。その方々でも漫画やゲーム、アニメを見る人が多いなという印象があります。
「好きこそ物の上手なれ」とよく言いますけど、そういう方ならどんな業種の方でも一緒に働けると思っているので、サブカルが好きな方と一緒に働きたいと思っています。

やりながら見つけていってもいい


-最後に、起業志望者やベンチャーで働きたいと考えている方に向けてメッセージをお願いします。
私のように何がきっかけで会社を起こすかわかりません。色々と意見はあるかもしれませんが、最初は明確にやりたいものが決まってなくてもいいかなと思っています。やりながら見つけていくのでも私はいいかなと思っています。
最近ピボット(事業転換)という言葉が言われますが、それでも私はいいかなと思っています。
最終的に自分がこれを何に乗せていきたいかということが明確に腑に落ちるまで、いろんなことをトライアンドエラーでやっていけばいいのです。
その過程で自分がやらないと行けないというストーリーみたいなものが見えてくると思います。私みたいな普通の、オラオラ系の経営者じゃなくてもしっかりとビジョンを持ってやっていけてます。まだまだ未熟ですが。。
ビジョンも後付けでいいと思っています。正直フーモアのビジョンも、大元は変わらないにしろ、やりながら見つけていくというのもありなんじゃないかなと思って。
うちみたいなところが参考になれば是非とも色々お問い合わせや連絡をいただければと思っています。是非とも頑張ってください。
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