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事業内容

シャノンマーケティングプラットフォームというクラウド型のシステムを企業様向けにレンタルしております。マーケティングの分野でご利用いただいていて、主に利用方法が2つあります。
 
1つが、マーケティングオートメーションという形でご提供しているもの、もう1つがイベントの利用用途でご利用いただいているものです。そのシステム提供に加えて、コンサルティングやアウトソーシング、導入サービスという人的なサービスをご提供しているのが当社の事業になっております。
 
もともと当社は、イベント事業から始まっています。皆さん展示会に行かれたことがあると思いますが、展示会に行くと、よく首から名札をぶら下げて、バーコードでピッと読みこむ仕組みがありまして。あの仕組みを日本で初めて量産化したものが、おそらく当社が初めてです。今でも多くのイベントや展示会でご利用いただいています。
 
この仕組みを提供する中で、お客様に色々と聞いたところ、「マーケティング活動の手段の1つとしてセミナーやイベントをやっているんだ」というお話を伺いました。そこで、「我々はどういったことができれば、もっと役に立てるのか?」と考えた上でたどり着いたのが、マーケティングオートメーションのエリアということです。
 

学生起業の経緯

大学4年生のときに会社を始めました。大学3年生の秋くらいから、いわゆる就職活動をしようと思い、「将来どうやって生きていこうかな」とそのとき考えました。
 
「何がやりたいんだろうか」「この先の人生をどうやって生きていけたらいいのか」ということを考えたところ、「やりたいことが何もない」という結論に思い至りました。やりたいこともなく、東京で生きているのも大変だったので「やりたいことがないなら死んでしまおう」とちょっとエキセントリックな、今思えばそういう人間でした。
 
それでもやはり、「死んではいかんな」と思い、そのとき気づいたのは「親のいない人を100人何とかしよう」という夢です。今でもその夢を持っているんけど、それを実現するためにはかなりお金がいると思いました。
 
じゃあ「そのためにどういう手段でそれに向かっていけばいいか」と考えた結果、起業を選択しました。大企業に入っても時間がかかりそうだし、「自分で起業するしか、どうも夢を実現するすべはない」と思いました。それで学生のときに思い切って会社を始めようと思ったのが起業のきっかけです。
 

IPOまでの苦労

当社は2000年から会社をやっていて、上場したのは2017年1月なので、17年かかっています。「10年以内、5年以内で上場できました」という会社に比べると時間もかかりましたし、ある意味苦労はしてきた、思い通りにはいかなかったところは正直あると思います。
 
私自身も大学生から会社を始めているので、社会人経験もなく、最初はなんとなく手探りで仕事を少しずつ拡大しているという感じでした。実はそのペースで5年くらい経ったときに、社員は20人ほどだったのですが、なかなかスピードが上がらないことに苦労しました。
 
このままやっていても全然未来が明るく感じなかったので、やり方を変えなきゃいけない。まず、今のクラウド型の製品を作ることを志しました。ここが大きなターニングポイントです。
 
しっかりとした製品を作るには、当時2億円くらいお金が必要だとわかりました。かなり大きい額なので、半分は銀行から借り入れよう、あとの半分はベンチャーキャピタルから投資してもらうという計画を立てました。
 
なんとか投資していただき、製品を1、2年かけて作りました。その中で苦労してきたことは、クラウド型のビジネスは、常に思い通りにはいかないということ。「こういうペースで売れるだろう」と思っても、実際はそのペースになかなか追いついていきません。
 
途中から苦労していたのは、やっぱり人に関する問題です。人を集めて採用して、育った頃には「辞めたい」とか、「転職したい」とか。ベンチャーあるあると言えばそうなのかもしれませんけれども。
 
特に、社員が100人を超える頃はだいぶ苦労しました。今は約170人くらいいるんですが、100人くらいの体制を超えていくときには、役員陣がいて、部長がいて、課長がいてという、組織のレイヤー(階層)が必要です。私は社会人経験もなかったので、色んな人に知恵を借りたり、相談をしましたが、やはり本で読むのと実際にやるのはなかなか違います。その点で当時はすごく苦労していました。
 
一方で、実際の上場に向けて進んでいくところでの難しさもあります。特に上場に向けて、直前の2、3年で難しいところですが、多くの会社は2つの理由で上場が難しいと言われます。
 
1つの理由は、「事業の予実」。予算と実績を予定通りに進めなきゃいけません。これは口で言うほど簡単ではありません。良すぎても駄目で、予実の差が前後5%以内できっちりコントロールすることが意外と難しいのです。
 
特に我々はBtoBのビジネスです。法人向けにものを売る一定の確率をコントロールし続けることは、結構難しい。予定通りに進まず、ちょっとでも振れてしまうと駄目。ここが難しいというのが1つ目の理由。
 
もう1つは、「働く時間の問題」。よくあるのはベンチャーで「なんとか結果を出して成長しよう」と皆で一生懸命やっているのですが、最近では働く時間が問題視されます。働く時間が、いわゆる残業時間をものすごく短くしないといけない。36協定というのがあり、それをある意味、突然会社の中に取り入れてやらなければならなくなります。
 
雑に申し上げると、昔のベンチャーというのはかなり多くの時間を一生懸命皆で、成長させるために働こうというかたちでやっています。最近はそういう働き方も減ったと思いますが、「働く時間を短くしつつ、でも数字は上げていきながら、かつ予算と全くずれてはいけない」という条件は、すごく難しいと感じました。以上が営業面で難しい2つの理由です。
 
他には管理部門でも大変なことがあります。上場直前になると、今までに作っていないような資料をたくさん作る必要があります。特に上場用の審査書類というのは膨大な量です。今作っているものがちょっとでも予算からずれると、その年度の予算が変わってくるので、かなりの部分をもう1度作り直さないといけません。そういう意味でも、予実をずらせないのです。
 
これらを全部、今申し上げた話がピタッと全部揃った状態で、2年間を過ごさなければいけないので、上場準備は口で言うほど簡単ではありません。そこがすごく、皆さん苦労されるところだと思います。
 
今年営業の数字がいいなと思ったら、管理サイドが追いつかないとか。管理サイドが順調だと思ったら、営業サイドがちょっと追いつかないとかっていうことになります。上場するときに、よく先輩達にも聞いた話ですが「意外とチャンスは1回しかない」ということです。いけるときにいかないと次にいつチャレンジできるかわからない、というのは色んな方から話を聞いていました。そこはなんとかやりきることができました。
 
そこに秘訣はあまりないと思っているんですが、あえて言うんだとしたら、「いくぞ」と上場を決めた日付に対して、常に「絶対にいくんだ」と思うことです。社長がそれを決めたら、しっかりとやり抜く。それをやりきれない会社が結構多いのだと思います。
 
「できたらいこう」「できる限りはどうせやっているんだから、そのうちいけるから頑張ろう」って言っていると、意外と上場できないという話はよく聞きます。

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