前職で感じた「息苦しさ」とは?
「このまま大企業にいたら、負ける」と思い、転職
私は1998年に新卒で大和ハウスに入りました。この大和ハウスというのは、私が入った当時でも売上は1兆円以上、従業員も1万人以上いたかと思います。
大企業なので、組織としては非常にしっかりしていたんですが、逆に言うと息苦しさを感じることがありました。
その息苦しさとは何かというと、「任される範囲が決まっている」ということでした。自分で仕事を見つけると言うより、上司から与えられた仕事をいかにこなしていくかに主眼が置かれていました。
ある程度年功序列な部分もあったので、22~23歳にして残りの40年の人生が見えてしまったということの息苦しさがありました。
だた、「組織ってそんなものなのかな」と思って働いてはいたんですが、2000年の時にネットベンチャーブームが起き、サイバーエージェントや楽天、DeNAなどはその当時立ちあがっていました。
そのような会社は、比較的若い経営者が若いスタッフを集めて、インターネットを用いて新しい価値観を提供していました。そこで働いているスタッフも、自分のサービスに意義や意味を持って、自分たちでサービスを改良していくという感じでした。
それを見たときに、「このまま大企業にいたら、負ける。悔しいな」という想いを強く感じたんです。
そこで、2000年のときに退職を決意し、ネットベンチャー業界に入ったというのがこの業界に入ったきっかけです。
今の組織で、そこでの経験をどう活かしているのかというと、その時に感じていた息苦しさの部分を、できる限り現在の組織形態には反映させないようにしていこうとしています。
大企業の場合は、社長や役員の人っていうのはある意味「神」みたいな存在で、話し掛けるのにも少し緊張するし、いろいろ準備しなければならないし、失礼がないように最大限の注意をしていかなければならないということがあります。
一方当社では、できる限り上下の関係をフラットにしていくというところは気を付けています。例えば、“さん”付けを必ずする、役職では呼ばないというところから始まったり、一緒に旅行行ったりバーベキューしたりだとか、そういうところでフラットな組織を常に心掛けています。下からも意見を言いやすく、上からも偉そうに意見を言わない、というところは組織として気を付けているところではあります。
資金調達のEXITはIPO
私自身、2000年にベンチャーキャピタルからもらった資金で行っていた採用活動で入ったスタッフです。
ベンチャーキャピタルから増資してもらうというところで、ある程度EXITは考えていかなければなりませんでした。
EXITって何かというと、IPOです。ですので、私が入った時から、IPOというのは常に意識していました。
上場までのエピソード
最初、「オンライン激安問屋」を2000年からやって、その後2002年に「スーパーデリバリー」というものをやりましたが、「スーパーデリバリー」をやるタイミングにはいろいろ議論がありました。
「激安問屋をやってるんだから、これだけに注力すればいいんじゃないか」という声もありましたが、やはり新しい価値観が求められていて、それを提供していかなければなりませんでした。
その時に、やはり経営者としてスタッフに対して説明をしていかなければならないというところでひと悶着あったり、方針もビジネスモデルも最初からうまくいくケースはほとんどなく、いろいろな方針の変更があって初めて上場までたどり着くことができました。
上場に向けてガバナンスを意識
上場まであまり意識してこなかったのは、ガバナンスです。
上場の経験があるスタッフがいれば良かったのですが、そういうスタッフがいなかったので、いろいろな人の意見を聞きながら、ガバナンス、コンプライアンスの強化をしていかなければなりませんでした。
ベンチャー企業はどうしても、売上を上げていく攻めの部分に注目が集まり、経営者としてもスタッフとしても、そこにどうしても重点が置かれてしまうというところがあります。
しかし、やはりこのガバナンスを一緒にその体制を組み上げていかなければならないというところに視点を持っていき、お金やコストを費やしていくというのは、慣れるまでは非常に大変でした。
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