動画の書き起こしを読む
事業内容
我々は法人向けに、プリント基板という電子部品を中心とした、いわゆるハードウェアの中に入っている電子部品を、インターネットを通じて販売しております。
サービスの特徴
我々は、国内で初めてインターネット通販形式でプリント基板の販売を始めた会社です。他のプリント基板を販売されているメーカーが対面販売しているのに対して、インターネットだけで完結する販売方式をとっているのが大きな特徴です。
もう1つは価格の部分です。通常だとプリント基板は、版画みたいな形で、版を作ってどんどん印刷していくような技術を使って作るのですが、我々の場合は、版をつくるという初期コストの部分を無料にすることで、コストダウンしています。
その結果、試作や小ロット向けでご利用いただくお客様には、他社よりも半額以上安くご提供できるような料金体系を導入しております。
この領域に絞った理由
元々私は、法人が使う商材を紙の通販で提供している会社に新卒で入りました。その会社で退職する前に、半導体部品をネットで売る事業に携わっていて、退職後に、その会社の新規事業自体が全て撤退してしまいました。
「半導体のネット通販の事業の後に、プリント基板のネット通販もできるんじゃないか」という構想があったので、「プリント基板の事業を自分たちで会社を興してやろう」ということで始めたのが、今の事業となります。
他社が参入しにくい理由
我々がサービスを初めて16年経ったので、競合となる会社も増えています。ただ、我々の1つの優位性としては、国内で一番初めに始めた、参入が早かったという意味で優位性があります。
現在、2万社以上のお客様にご利用いただいているんですが、そういった多くのお客様にご利用いただくことで、1日あたりに受注する数がかなり大きなボリュームとなります。
その結果、製造する先の工場でのコストダウンや物流コストの低減が実現できているのも優位性の1つです。
今製造の半分は国内ですが、半分は海外で作っています。海外の工場での品質管理も、ロットをまとめて発注することで、全体的に品質管理の向上ができているのではないかと考えています。
IPOを目指した背景
我々がIPOを目指し始めたのは、2015年の1月ごろです。それまではIPOについて特に考えておらず、プライベートカンパニーとしてやってきました。
我々の場合は法人がお客様ですが、2万社お取引させていただいているので、本当に大きな企業から中小企業まで幅広いです。ですが、どうしても大きな企業の中でも特定の部署でしか活用してもらえず、組織内での広がりがないと実感したことがIPOのきっかけです。
事業としても、そのとき14年経っていたので、もう1ランク上に向かうため、会社全体で使っていただくとか、工場全体で使っていただく形で開拓できないかと考えたときに「IPOすることによって信用を増やしていこう」という想いが一致し、スタート地点に立ったと思います。
もう1つは、一番初めのIPOの主幹事の選定、いわゆるIPOを一緒に準備していただけるところが早く見つかりました。また、純利益で1億円という数字的な目標を達成できる可能性がある事業規模になっていたというのも大きな理由です。
我々はIPOを準備する前までは取締役は私1名だけでやっていまして。多くの場合、IPOするときに外部から管理部門の人間を雇うと思いますが、我々はIPO前で従業員10名弱だったので、管理部門ばかり増やしてもコストがかかってしまうので、生え抜きの従業員から2名取締役を選任することにしました。
IRやIPO担当も新規で何名か雇いましたが、最小限の人数で構成するということを1つの方針としていたので、従業員18名でIPOを実現しました。
少人数で2万社超の顧客に対応できる理由
そもそも、創業当時に「あまり人を必要としなくてもできるような会社の仕組みにしよう」という方針がありました。「システムでできることはシステムにやってもらおう」とずっと業務の効率化を図ってきました。
それこそ、今までは2時間かかっていた作業を1クリックで終わるようにするとか、そういったことに対しての投資は全然惜しまず、ずっとシステム開発してきました。
だからこそ、普通の会社に比べると、1人1人が効率よく作業できているんじゃないかなと思います。
もう1点は、「新卒の採用を増やし、新卒が半分以上になるとマネジメントがしやすくなる」という話をよく聞きますが、我々は新卒を採ったこともありますが、人を増やしたからといって、売上と利益が伸びるようなビジネスモデルではありません。
つまり、ビジネスモデル的にどうしても新卒がなじまなかったんですよね。そういった意味で、既存の従業員の創意工夫によって伸ばしていこう、というのがカルチャーとして定着しています。
今後の展開
今IoTがすごく叫ばれていますが、世の中のいろんな情報がセンサーによって感知され、ビックデータで解析される、そんな世界になってくると思います。そのセンサーが繋がる先には必ずプリント基板が使われるようになります。
いろいろな家電がなくなったり、デジタルカメラの機能が携帯に集約されるという方向になったため、プリント基板のマーケットは2002年ごろから縮小傾向にありました。
しかし、去年ごろから横ばい、そして今は微増しています。つまり、マーケットの伸び、これからのIOTのマーケット成長にきちんと乗っていきたいですね。
一方、2002年から縮小したとはいえ、まだ国内だけでも約6400億円のマーケットがあります。その中で、ネット販売はまだ20億円。まだまだネットのほうにリプレースしていくという意味で、マーケットの大きさはあると考えています。
あとは、上場した効果として、大手や中堅の企業様から、全社的に我々の仕組みを使っていただけるようなオファーがすごく増えました。ここは当初の目論見通りだったので、それを着実に伸ばしていきたいと思います。
編集後記
・業務の効率化を図るためにシステム開発への投資は全然惜しまなかった(少人数でも回せる体制つくり)
・安易に外部から管理部門を招かなかったり、新卒を採らなかった(徹底したコスト管理)
国内の電子工業が堅調に推移する中で、上記の2点を行ってきたことが、少人数でIPOを果たすだけの高い売上成長率/利益成長率に繋がったのだと思います。今後の更なる成長に期待が集まります。(アントレプレナーファクトリー菅野)