今回のインタビューは、NOTA Inc.のCEOである洛西一周氏に、「主力サービス『Gyazo』」「200万ドル調達の背景」「今後の世界展開」についてお話を伺いました。

(インタビュアー:嶋内秀之、撮影者:高田梨菜)

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NOTA・洛西一周代表が12歳でプログラミングをはじめ、シリコンバレーで起業家になるまで【後編】

【経歴】

1982年生。「人間味ある」プログラムづくりを掲げて、高校時代に紙copiなどのソフトウェアを開発する。
2007年より渡米してNota Inc.を設立、世界向けのアプリやウェブの開発を手がける。
現在は、Gyazo.comがスクリーンショット共有で月間1000万UU、世界のトップシェアを持つ。
2003年度 IPA未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。慶應義塾政策・メディア研究科修士課程修了。


-まず、NOTAの主力サービス「Gyazo」についてお伺いできますでしょうか?
 
「Gyazo」というのは、パソコンやスマートフォンのスクリーンショットを簡単に共有できるサービスです。
使い方は本当に簡単で、アプリを立ち上げて画面の範囲を指定すると、どんなアプリケーションでもwebの画面でも、デザインの制作中のものやパワーポイントのようなプレゼンテーションファイルまで、簡単にキャプチャーできます。
キャプチャーすると、直ちにそれがクラウドにアップロードされて、URLアドレスが発行されます。
そのアドレスとスクリーンショットの画像が紐づいているので、チャットやTwitter、メールなどで、どんな場所でもそれを共有することができるという仕組みです。
最近では、それに加えて画像GIFという、画面の動画をそのままキャプチャーして動画として共有したりすることもできます。また、Webをキャプチャーしたときに、スクリーンショットというと画像だけではなくて、ウェブサイトのアドレスも同時にキャプチャーして、後で検索してそれを見つけ出すことができる「Ivy Search(アイヴィーサーチ)」という機能を開発しています。
スクリーンショットを基本としながらも、色んな機能を追加している状況です。
 
あまり文化的な制約がないサービスなので、開始当初から英語版をつくっていたこともあり、現在月間のユニークユーザーは1,000万人を突破しています。これはかなり多い量だと自負しています。
ですが、日本国内のアクセスが実は15%しかなく、世界からのアクセスのほうが多いです。内訳的にはアメリカが一番多いのですが、アメリカ、イギリス、日本ときて、実はアメリカとヨーロッパが半々ぐらいの数字になっています。
その2つを合わせて85%ぐらいで、残りの15%が日本という感じです。
成長カーブも二次関数的に伸びていて、これはユーザーの口コミだけで伸びています。
「Gyazo」というのは、単なるスクリーンショットツールのように見えるんですが、実際はキャプチャーした画像を人に渡すので、渡された人は「これ便利じゃないか?」と気が付き、自分もそのユーザーになっていきます。
だからLINEなどのチャットツールに似ている面があって、使っている人もまたファンとなり、どんどんユーザーが増えていきます。ほとんど宣伝をしていませんが、ユーザーが口コミで増えていますね。
 
-NOTAを創業してから「Gyazo」に行き着くまでの道のりを教えてください。
 
創業したのは2007年なんですが、当時僕は大学を卒業したばかりで、自分でフリーであったり有料アプリケーションを開発したりしていました。
そこで「紙copi」というソフトでちょっとしたヒット商品を日本で生み出すことができて、それが評価され、当時、川田尚吾さん(DeNA創業者)に出会うことができました。その川田さんのすすめもあって、シリコンバレーで起業するというチャンスを得ることができました。
当時、エンジェルインベスター(個人投資家)として、いわゆる初期資金を貸していただき、現地に行って登記をして起業したのが、大学院を出てすぐの25歳のときでした。
「紙copi」というのは単体アプリケーションだったんですが、当時「Webの波が来ている」ということで、さまざまなWeb上で使えるクリエイティブなアプリケーションをつくろうとして、本当に数え切れないぐらい色々なサービスを試しました(笑)
主にエンジニアチームは日本人が中心で、アメリカ人の人も1人採用し、向こうで3、4人ぐらいの体制で長い間開発していましたが、大ヒットというものがやっぱり生み出せなくて、日本に戻ってきたのはその3年後ぐらいでした。
当時、増井俊之さんという僕のプログラミングの師匠がいたんですけども、そのとき増井さんはAppleで働いていて、iPhoneの開発チームにいました。実はその増井さんのアイデアでつくられたのが「Gyazo」だったんですね。
僕は弟子みたいな感じだったので、僕がサービスの管理をすることになって、最初はそういう個人プロジェクトというか、趣味のプロジェクトみたいな感じだったんですよ(笑)
それが社内で使われ始めて、そうすると社外でも使う人が増えていって、気が付くとだんだんユーザーが増えていって、サーバー経費もとんでもない量になってきて。「これはビジネス化するしかない」ということで始めたのが3年ぐらい前です。
そのときに広告モデルを導入し、2年前くらいからは有料課金モデルを始めてビジネス化していったというのが「Gyazo」が生まれたきっかけです。
 
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