シリコンバレー行きを決意したエピソード
シリコンバレーに行くという決断
―大学院を卒業されて、同志社大学を出て、慶応大学(SFC)を出られた後、シリコンバレーで事業をスタートされました。シリコンバレーに行こうと思ったきっかけや、その中での経験。それから京都に戻ってこようと思った決断を教えてください。
シリコンバレーに行きたいというのは、実は大学時代からずっと考えていたことでした。
当時「紙copi」というがWindows用アプリをつくっていたのですが、Windows95、98、Windows2000とWindowsがバージョンアップするたびに、毎回修正しなくてはいけませんでした。
「紙copi」は、ジャストシステムという「一太郎」をつくっていた会社と一緒に販売されてもらっていましたが、それも大きなバージョンアップをしたら、次のWindowsで動かずに、全く起動すらしないというバグに遭遇しました。
当時はCDでアプリを配っていたので、もう1枚そのCDをつけるという悲劇が起きました。
その原因は、Windowsのタスクバーのアイコンが当時16色だったのが256色に変わったというので、それに対応しようと頑張ったら、その256色のアイコンが動かないので、一太郎は起動しませんでした。
本当にささいなことでそのソフト自体が起動しなくなったりして、結局偉いのはMicrosoftなんだなと。Microsoftがすべてを支配しているんだと気付いて(笑)
それに対応していくためにはやはり、「プラットフォーマーの考え方を学ばないと、いつまでたっても追いつけるわけがないんだ」と気が付いて、悔しい想いをしました。
いつか絶対シリコンバレーに行って、そこのやり方を吸収したいということは、前から思っていました。
ですので、大学時代には機会があるたびに時々シリコンバレーに行ったりして、少しずつ現地に慣れていきました。
帰国を決めた理由
―また日本に戻ってこようと思ったのは、ある程度得るものを得たからでしょうか?こちらの日本のほうがリソースがあるというふうに判断されたのでしょうか?
2つ理由がありまして、やはり資金不足、事業的な行き詰まりというのが1つありました。
もう1つは、開発者は日本人中心だったので、開発拠点はやはり日本にあったほうがいいんじゃないかと思い始めたのが1つあります。
あと、得るものを得たという点でもある程度はあって、例えばアメリカ人とビジネスの会話をするのに、全く遠慮したり臆することがなくなったというのはすごく良い経験でした。
むしろアメリカ人とビジネスするには、単刀直入にズバズバ言わないと何も進まないんだということがわかって。英語もある程度通じて何とかできるということまでは、自信がついてきました。
やはり開発、プロダクトが一番重要なので、拠点は日本に戻してもいいんじゃないかと思ったんです。
海外での起業について
―今、さらにシリコンバレーブームというのが去年、今年と続いています。
海外で起業する時に気をつけるべきポイントがあれば教えてください。
海外に行くこと自体は基本的にはおすすめです。
例えば、地方の人にとっての東京はどういうところかというと、やはり”ビジネスが最も進んでいるところ”というイメージがありますが、シリコンバレーはIT分野だけでいえば圧倒的に東京より大きいです。
だから「おら東京さ行くだ」みたいな感じではなく、「おらシリコンバレー行くだ」といった感じで、1回行ったほうがよいと思っています(笑)
どうせなら、東京をすっ飛ばしてシリコンバレーに行ったほうがいいんじゃないかと思います。見にいくという意味では、絶対にシリコンバレーは見ておくべきで、東京を見たからビジネスがわかったというのはちょっと違うと思っています。
一方、長期間いるとなると、3カ月以上滞在するとビザが必要ですので、また少し話が変わってきます。
そのビザを取得したり英語を覚えるだけもで大変とか、そもそもあまりプログラミングスキルがないといったように、”ないものづくし”で行ってしまうと、全く歯が立たなくなると思います。
短期間で、まず1回見にいくのは本当におすすめです。その次にもう少し向こうで感覚を得たいとか、人脈をつくりたければ、ビザ範囲内で3カ月行ってみるというのもおすすめです。
自分が勝てるかどうかみたいなものが3カ月で結構わかると思うので、そこから起業するかどうかはやはり行ってみて考えたらいいんじゃないかなと思います。
あと、あまりプログラミングスキルがない人には留学はおすすめです。
僕が行っていたときは、スタンフォードのコンピューターサイエンスの大学院に行っていた日本人は、なんと1人しかいなかったんです(笑)人が少ないというのは残念だなと思います。
そういうところに行くと、現地の日本人が応援してくれたりもしますし、本当に1人しかいないのでかわいがられるという面もありました。
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