境社長が、家業を継ぐ上で大切にしていることとは?
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社内改革が1つのきっかけに
やはり社内改革は大きかったと思います。私自身も随分勇気のいる決断もありましたし、時には「誰のために経営をしているんだろう」と思うようなこともあり、すごく考えて悩んだ時期でしたので、それだけ本気だったと思います。
その本気が社員にも伝わり、社員もこの頃からある一定の距離感で私の言ったことを受けいれてくださって、知恵を貸してくれ始めた時期だったと思います。
「社長の決断」というものを誤解していた
社長の決断は「迅速な決断」だと間違えてとらえていて、そのため社員とのコミュニケーションがぎこちなくなっていったことに最近気づきました。
これまでは「社員に何かを問われた時には迅速に答えなければ」と、自分で猛烈に考えて答えを出して与えてきました。そのため、直感的な反応になってしまい、社員からすると理解の得られない、少し的が外れた回答になってしまっていたり、食い違いが生まれたこともありました。
社員が答えを求めてくる中で、「聞き返してじっくり意見を受け止めた上での対応が、すごく下手なんだな」ということに気づきました。
瞬発的に反応して答えてしまうクセはなかなか抜けないのですが、今はそれを習慣化できるように、問いの本質を考える練習をしています。これは、年齢や経験ではなく、知っていればできることだったと思うので、知らなかったために組織で大きな混乱をさせていたと反省しています。
意識的に変化させる中でも、変えてはいけないもの
まず一つは、環境の変化に対して恐れずに自社を変化させていくことはすごく大事だと思います。ベースがある後継者の立場ですので、意識的に変化させるという軸は必要なのではないかと思っています。
それとともに、その変化によって「創業者の想いや企業の使命を見失わないか」というところは確認するように気をつけています。
2点目は、やはり経営者は自身の生活の満足度がなければ経営も不安定なものになるかと思います。私はまだ小さな子供がいますので、「仕事と家庭とどっちが大事なの?」という問いは、その瞬間にどちらかの優先順位をつけて、見極めて、どちらも後悔しないようにバランスをとらなきゃいけないということは、重要な点じゃないかと思います。
「物事をとらえて標準化する」重要性
業務の流れを標準化して「見える化」することに注力しています。専門性の高い仕事をしている人は、「自分にしかできない仕事」を大事にする傾向があるんですけれども、これからの時代はそれを誰もができて、みんなに分かりやすく伝えたり、すぐに代わりが立てられるような標準化の能力は、これからのスキルとして求められるものなのではないかと感じています。
また、ガスの安定供給を考えると、メーカーがいて我々充填会社がいて、販売店がいてお客さんがいます。安全を保つのには、どこもが安全遵守をしなければならないという職種柄、切って離すことはできないと思っています。
例えばメーカーの言語や価値観をとらえるためには、枠組みをしっかり受け取って理解できること、それをさらに販売店やお客さんの角度でわかるように言語化していくことです。この中間業者としての役割は、これから大きくなっていくんじゃないかと思っています。
そういう意味で、物事をとらえて標準化するという能力は、組織内だけじゃなくて連携の部分でも活きてくるんじゃないかと思います。
これから家業を継ぐ方へのメッセージ
自分で自分の可能性を区切らずに、どんどんやりたいことに向かって進んでいくエネルギーを持って、ご自身の人生を謳歌していってもらいたいと思います。
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