今回は、株式会社富士山マガジンサービスのCTOである、神谷アントニオさんに「上場までの経緯」「上場後の変化」などについてお話を伺いました。

(インタビュアー:菅野雄太、撮影者:須澤壮太)

経歴

1994:Kamiya Consulting設立 代表取締役就任
1995:カリフォルニア大学バークレー校を卒業
1998:Fujisan.com, Inc.共同設立 CTO就任
2001:株式会社富士山マガジンサービス立ち上げに参加、同社CTO就任。現在はデジタル雑誌戦略担当役員兼任。
2006:Fujisan Magazine Services USA, Inc. 代表取締役就任
その他数社のスタートアップを情報技術アドバイザーとして支援

上場を意識したのは、VCからの資金調達がきっかけ


富士山マガジンサービスは2000年くらいからアイディアがスタートして、今も取締役をやっている相内と「Fujisan.com」という会社を経営していました。その会社の経営が行き詰まり始めた時に、今のCEOの西野と、その頃ネットエイジの代表だった西川との中で、もう少し大きいスケールで取り組みたいという話になりました。
Fujisan.comの時はほとんど知り合いからの調達でしたが、その時に初めて、ベンチャーキャピタルから資金調達をしました。ベンチャーキャピタルからの調達というのもあり、最初から上場は一つのイグジットシナリオとしてやっていました。

上場は経営者にとってのテスト


上場するまでに苦労したのは、実務と関係ないところですかね。僕は、上場するということは1つの経営者のテストだと思っています。
要は、テストに受かったからすごいということはなくて、テストに受かったという「市場から認知された経営体制で何をするか」ということが本質なんですが、その部分を明確にするのは結構難しかったです。
理論的に「資本調達はこうだ」「会社の信用はああだ」というのはあるんですけれども、「本当にその資本で何ができるの?」という質問に対して自信を持てるかというと、そうではない部分があって。超計画的にというより、ずっと意識をしながら試行錯誤してタイミングを見計らっていたという要素の方が大きかったです。

逆に上場を意識させたくなかった


逆に上場を意識させたくないというのがありました。弊社では上場パーティーなんかも全くありませんでした。
どちらかというと、今までは売り上げがちょっと下がったくらいでは文句を言わなかったけど、上場したら売り上げはきっちり取っていかないとダメなわけなので、そういう意識付けに結構時間をかけていた気がします。
なので、1年間くらいかけて、ちゃんとした情報を開示するプロセスと同時に、「それまでとは違うレイヤーでプレーするようになるわけだから、失敗は許されない」ということへの意識付けにも取り組みました。

かなり前の段階から意識


予算の考え方やセキュリティの考え方は、どうしてもブレが発生しやすいことです。それらは上場の時点からスタートするわけにもいかないので、かなり前からその辺は意識して取り組むようにしてきました。

経験者たちとの接点が役に立った


上場の際には、売り上げやセキュリティなど、何もかもがその基準で評価されてしまうので、不安は多々ありました。
「教科書があればいいのに」というような、みんなが知っていることというのはいっぱいあって、そのような情報を仕入れていく道のりの途中で一番役立ったのは、経験者たちとの接点でした。
そういったことはどこかに書かれているわけでもないので、勉強できないものはいっぱいありました。ですが、逆にそれがあったらよかったのかと言うと、そうでもないと思うんです。
経営というのは教科書通りにやればいいというより、いかに反応を速くするかということだと思うので、トラブルのように自分たちが想定していなかったものを、どれだけ速くそこから学んで対応するかというのは、逆に教科書があったらできなかっただろうなとも思います。
 
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