ブレインストーミングの弱点
これまで起業tvでは、635法やエクスカーション法、セブンクロス法など数多くのブレインストーミング系アイデア発想法を紹介してきました。
会議におけるアイデア出しで多用されるブレインストーミング。どんなアイデア発想法を駆使しても「どストレートなアイデア」に出会うことはそうそうありません。
ブレインストーミングは強制的に言葉を並べて組み合わせて思考の外からアイデアを求めていく色が強い傾向にありますが、そこにブレインストーミングの弱点があります。
オズボーンのチェックリストの生みの親であるオズボーン氏は、この弱点の原因を「アイデアが出そうな時に不意な会話の発生」や「人間関係によって発言が抑えられてしまう」などとしています。
これらのブレインストーミングの弱点を克服した発想法が「Qストーミング」です。
今回はQストーミングの正体と実践方法であるHWM思考をみていきましょう。
Qストーミングとは
Qストーミングとは、クエスチョン・ストーミングの略で、質問を活用した発想法のことです。
Qストーミングは、質問を活用した教育を行うイギリスの専門機関Right Question Instituteが考案したもので、テーマに沿った質問を考えていくことが大きな特徴となっています。
Qストーミングがどのようなものか、理解しやすいように実際に使用してみましょう。
Qストーミングの手法~How might we~?の思考法
起業tv編集部作成
それでは実際にQストーミングを使っていきます。
今回はテーマを「新しいコーヒー」と設定して考えていきましょう。
コーヒーの新しい売り出し方をQストーミングの活用で発見することができるのでしょうか。
いくつか質問を考えてみます。
・新しいコーヒーってなんだろう?
・お客さんが好んで買ってくれるコーヒーってなんだろう?
・新しいコーヒーの売り出し方についていいアイデアある?
いかがでしょうか。この問いでいいアイデアは生まれそうでしょうか。何かまた無駄な時間が流れてしまいそうな予感がします。
Qストーミングは先述した通り、「質問する」ことでアイデアを発掘している発想法です。
しかし、闇雲に質問することはアイデアの創出を妨げてしまいます。
例えば、「何かいいアイデアある?」という質問はアイデアを捻り出さなければならないという負荷が脳にかかってしまいます。これではQストーミングの長所が引き出されません。
そこでオススメされている質問が「How might me~?」です。
”どうしたらできそう?”
この質問が私たちの想像力、創造力を無限大にまで引き上げてくれるのです。
では、”どうすれば”新しいコーヒーを生み出すことができそうでしょうか?
味を変えてみる?色を変えてみる?
香りを工夫してみる?トッピングの種類を豊富にしてみる?
容器を変えてみてはどうか?健康的なコーヒーとか新しい?
全てのコーヒーの中で一番眠気対策があるってなると新しいよね?
アイデアが湧き水のように溢れてくる……かもしれません。
大手化粧品会社P&G社は当時ライバル社であったコルゲート・パーモリーブ社が発売し、ヒット商品となった石鹼「アイリッシュ・スプリング」に対抗する石鹸を開発しようとしていました。
Qストーミング法を用いたアイデア出しの会議はいい案が出ず、行き詰まっていました。
当時P&G社のクリエイティブ担当マネジャーだったパサデュー氏は、メンバーが不適切な問いを立てていると気づき、新たな問いを立てていきます。
”「どうすれば、もっと爽快になれる石鹼を実現できそうか?」という問いにたどりついた。これが創造のエネルギーに火をつけ、バサデューによると、その後数時間のうちに「爽快感を生む」石鹼について数百ものアイデアが生まれた。”diamond.jp/articles/-/92932より引用
その後、Qストーミングで生まれた「海辺の爽快感」という発想から生まれた石鹸は大ヒットとなりました。
このようにQストーミングでは、「適切な問いを立てること」がかなり重要になってきます。
HMW思考法はQストーミングでアイデアを生み出しやすいのでぜひ参考にしてみてください。
Qストーミングでより自由な発想を得よう
いかがでしょうか。
Qストーミングはブレインストーミングのデメリットを解消し、より実用的なものへとレベルアップさせた思考法です。
組織でアイデアが必要になった際にぜひ活用してみてください。