ある日上司がこんな一言……

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出典:www.photo-ac.com
「わが社の事業もいよいよ花形商品になりそうだな」と上司がしたり顔で呟いています。

...花形商品?

さらに「けれどまだまだ問題児だからしっかりと継続した戦略設計が大事だな」と独り言。

...問題児?
一体何の話でしょうか。

これは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)という経営理論のことです。

今回の記事では、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの解説とそこから導く戦略をご紹介します。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは?

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起業tv編集部
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは、複数の事業を行っている企業が事業資金をどう配分するかを決める際に使う経営理論です。PPMは、縦軸に「市場成長率」、横軸に「市場占有率」をとり、上の図のように

①金のなる木
②花形商品
③問題児
④負け犬

の4つの象限から成り立っています。

PPMは、1970年代始めにボストンコンサルティンググループによって、製品ライフサイクルと経験曲線効果の概念の元に生み出されました。それでは4つの象限についての解説をみていきましょう。

①PPM:金のなる木

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起業tv編集部
(成長率:低  占有率:高)
市場拡大を見込めないため、資金の追加が不要で、市場占有率の高さから安定的な売上・利益を確保することができます。製品ライフサイクルにおける、成熟期から衰退期にあたります。

②PPM:花形商品

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起業tv編集部
(成長率:高  占有率:高)
成長率、占有率ともに高いため、売上・利益を多く獲得することができます。この分野では競合他社が多く存在しており、占有率保持と拡大のため継続して資金を投入する必要があります。

占有率を維持できていれば、いずれ「金のなる木」へ変化します。しかし維持できないと「負け犬」になるため注意が必要です。

③PPM:問題児

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起業tv編集部
(成長率:高  占有率:低)
成長率は高いが、占有率が低い事業を問題児といい、将来花形商品へと進化する可能性を秘めています。この象限にある事業には、成長のために多額の投資が必要となってきます。

成長率が下がってきてしまうと、「負け犬」になってしまうため、投資判断も難しくなります。製品ライフサイクルの導入期〜成長期に登場するのが「問題児」です。

④PPM:負け犬

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起業tv編集部
(成長率:低  占有率:低)
成長も市場占有の拡大も見込めない事業のことを「負け犬」と言います。キャッシュの流入が見込めず、今後の成長もないため撤退を検討する必要があるでしょう。製品ライフサイクルの成熟期〜衰退期に現れます。

4つの事業を抑えたところで、それぞれの事業における戦略を見ていきましょう。


PPMにおける戦略とは

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの各事業において、推奨されている戦略が4つあります。

①維持戦略

主に金のなる木、花形産業で利用する戦略です。キャッシュの安定化のために投資を行います。

②収穫戦略

金のなる木、問題児、負け犬で利用する戦略です。投資を行わず、キャッシュフローを獲得しにいくもので、今後の成長を考えません。

③拡大戦略

主に問題児で利用する戦略です。問題児に対して成長のための投資を積極的に行い、花形商品への昇華を目指します。

④撤退戦略

問題児や負け犬で利用する戦略です。事業売却を目指します。

PPMを用いて、自社の事業を分析してみよう

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出典:www.photo-ac.com
PPMのフレームワークを活用すれば、自社事業の戦略を立てる際に役立つことでしょう。
また他社分析にも使うことができますので、競合分析やポジショニングなどにも活用されます。

ぜひ自社の事業をPPMを使って分析してください。


補論:PPMの限界とベンチャー企業

ここまで説明してきたPPMですが、一般的なフレームワークであり、例外もあります。それがよく当てはまるのがベンチャー企業です。PPMの限界としてよく挙げられる例が、「イノベーションのジレンマ」です。

大手企業でイノベーティブな商品が生まれないとされる「イノベーションのジレンマ」における領域では、ベンチャー企業のようなシェアが低い事業でも高収益ビジネスモデルを構築することが可能です。

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