スローライフに憧れて

自然農
出典:shizennou.info
「毎日PC作業で目は疲れるし、深夜まで残業でろくなものを食べられない」
「自然に囲まれ、日の出とともに起きて緑に触れ、日の入りとともに休む生活を送りたい」
 
そんなサラリーマンが一念発起して農業を志し、あれこれ調べて研修に行ってみたものの、野菜は機械で収穫し、やるのは選別と梱包の作業ばかり...。
 
自分がテレビや雑誌から思い描いていた自然の中の農業と違っていた。こういうミスマッチを防ぐために考えられたプログラムが、坂ノ途中の就農準備トライアスロンです。

本当に知りたいことを知る新規就農への第一歩

農家?
出典:www.pakutaso.com
「農業に憧れがあっても踏み出せない」
「調べれば調べるほど職業としてやっていけるのか不安になる」
坂ノ途中は新規就農者の支援を行う過程で、その手前にいる就農者予備軍の若者に出会ってきたそうです。
 
彼らは農業に漠然としたイメージは抱いていても、具体的にどうやって生計を立てるのか、何が大変なのか、リアルなところがわからず、将来を決めかねていました。
 
一方、坂ノ途中は自然農を行う自社農場を持ち、生産から販売まで一貫して手掛けています。そこで企画したのが就農準備トライアスロンです。
 
このプログラムでは、生産、流通、販売と多角的に新規就農者の暮らしや仕事を体験できるようになっています。
 
具体的には、自然農を行うやまのあいだファーム、有機農業を行う伊賀ベジタブルファームでの異なる農作業体験や新規就農者への訪問、出荷作業体験、配達同行を行います。
 

自然農と有機農業はどう違うのか

 
農業は、どういう土地で、何を、どうやって作るかによって、作業の大変さや収穫物の質・量・安定性、さらには取引先まで変わっていきます。
 
自然農では、肥料・農薬を一切使わず、耕すこともない(川口式)ので、手作業で雑草の根が入り組んだ土に苗を植えていくことになります。
そして虫食い・病気が発生してもすぐには手を加えず、自然の力で立ち直るのを見守ります。
ビニールハウスも使わないので、天候の影響をそのまま受けます。
よって自然農は豊作・不作の波が激しくなりがちで、ある程度のロスも避けられないため、単独でレストランやスーパーに卸すことは難しいでしょう。
とはいえスコップと鎌さえあればできるので、自給自足でちょっとお裾分け、には最適です。
 
一方有機農業では、化学的に合成された肥料や農薬は制限しますが、牛のフンや落ち葉の堆肥、除虫菊の殺虫剤、生石灰の殺菌剤など、天然に存在する物質は認められています。
機械に対する制限もないので、ビニールハウスで育てた苗を、耕運機で耕した土に専用の野菜移植機を使ってどんどん植えて構いません。
化学薬品を使う一般の農作物より少ない収量は、作付面積で補うことができると言えるでしょう。
有機農業は無駄な手間をかけないよう工夫を凝らせば、普通の農業に近いコストまで持っていくことができますし、ノウハウが蓄積して生産が安定してくれば、オーガニックレストランや大手との取引も見えてきます。
ただし、広い土地と農機を使えばその分コストが重くなり、安定生産に入るまで持ちこたえられるかが鍵になります。
 
坂ノ途中の就農準備トライアスロンでは、実際にこれら二つの農業の違いを実際に体験し、体力面も含めて本当にやれるのかどうか、販売はどうするのか、具体的に考えられる機会を提供しています。
そしてプログラムを通じて就農を決断した人を、坂ノ途中は継続して応援していきます。

100年先から今を考える

坂ノ途中HP
出典:www.on-the-slope.com
坂ノ途中は持続可能な農業の実現を目指して建てられた会社です。
 
人類が繁栄した土地は、その人口に合わせて過放牧や地下水のくみ上げなど土地の限界を超えた農業を行っていました。その結果として緑のない砂漠地帯になってしまったのは歴史を見れば明らかです。
 
このように、どんな農業を選択するかによってその社会の寿命が決まります。現代の化学肥料は即効性があるものの、作物の生命力が弱くなり、虚弱な作物を虫や草、菌から守るために農薬を使い、さらに土地がやせてしまいます。
 
この悪循環は未来からの前借りとも言え、坂ノ途中は環境に負担をかけない農業に切り替えようとしています。しかし、既存農家を補助金で釣ってもなかなか変わらず、新しい土地に新しい人を入れた方が早いという結論に至りました。
 
とはいえ、新規就農者が有機栽培などの管理の難しい農業を行うため、生産が安定せずに取引先が見つからないという問題がありました。
そこで坂ノ途中では小規模の農地を各地に点在させ、台風や虫害があって誰かがダメになっても誰かが出せるというポートフォリオを組み上げています。
 
さらに、普通の野菜を作ったところで大規模農家に勝つのは難しいため、カーボロネロやプチヴェールなどの珍しい野菜を作ることにしました。販路もWebshop、直販店、小売店や飲食店への卸売の三つを用意しています。
 

坂ノ途中から見える未来

photo-soil
出典:www.on-the-slope.com
コストのかかる実店舗をなぜやるのでしょうか?
それは本当に少量しか生産できなかったり、収穫量が安定しなかったりする提携農家の野菜を販売するためです。
 
また、直接お客さんに売ってその反応を体感することで、今後の営農に向けたフィードバックを得ることもできます。
 
一方、実店舗である坂ノ途中soilは、その理念を道行く人に伝える場でもあります。
元々興味のある人が検索して入ってくるネット店舗と異なり、実店舗には偶然の出会いがあります。緑あふれるかわいいお店で、それまで関心のなかった人に向けても、環境に負荷の小さい農業と自然とともに歩む豊かさを伝えることができます。
 
他にも坂ノ途中はウガンダで有機農業を普及するプロジェクトや、被災農家と関西の農地をマッチングしてサポートするハローファームプロジェクトを行っています。
 
手広くやりすぎて迷走しないのか?と思うかもしれませんが、坂ノ途中は「未来からの前借り、やめましょう」「100年先もつづく農業を」というメッセージの下、全ての事業を展開しています。
このように明確なコンセプトを掲げることで、新人採用から共同事業に至るまで、社内外のコミュニケーションを円滑に行う基盤となるのです。
「環境への負荷の低い農業をやりたい」といった一つの理念に共感し、行動してもらいやすい仕組みを作ることで、個々の意思決定を行う会社としての人格が醸成されるとも言えます。
 
事業の拡大とメンバーの離脱で膨張と収縮を繰り返すベンチャーは、まずメッセージを絞り込んで共有し、常にメッセージに立ち返って判断していくことが肝要になるでしょう。
「一番やりたいことを大切に」坂ノ途中からは、未来をつかみ取る姿勢が見えてきます。

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コンテンツを学習することで、「試行錯誤で時間を浪費する」「チーム内で噛み合わないコミュニケーションを続ける」などの無駄を省き、チームが本来の目的や使命に向かってより効果的に進むことができます。

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