生活していく上で、切っても切り離せない医療分野。
総務省のデータによると、4割以上の人が「インターネットで受けられるようになってほしいサービス」として医師の診断・診察を挙げています
通信技術を利用した「遠隔医療」は、現在どの段階まで来ているのでしょうか。
そして、これからどのように市場が拡大していくのかについてまとめました。

遠隔医療とは?

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出典:http://social-design-net.com/archives/17132
遠隔医療とは、インターネットを通して医師の診断・診察や健康維持の管理を目的に行う行為です。
患者と医師が直接的に対面せず、SNS・メール・電話・ビデオ通話などでやり取りする新しい形です。
サービスの範囲は企業によって異なりますが、日本初の遠隔医療サービス「PORTメディカル」では、処方された薬を家まで届けてくれるサービスを提供しているようです。
地理的条件、時間的条件による制約が多い社会人や、医療を受けることの多い高齢者にとっても非常に便利なサービスです。

BtoB事業としての遠隔医療

BtoBとして遠隔医療事業を行っている会社もあります。その1つとして、セコム医療システム株式会社では、在宅医療事業として2つのサービスを展開しています。
【セコム薬局(杉並/新大阪)】
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出典:http://medical.secom.co.jp/support/drug/index.html
居宅で療養している患者・通院困難な患者を対象に、訪問服薬指導を行っています。
連携している病院の主治医の指示を元に、患者の薬の管理をサポート。麻薬、点滴などの治療にも対応しているため、より多くの患者のアフターケアが可能です。
その後病院に報告書を提出し、療法を支援します。必要に応じて、訪問看護師や他の医療スタッフと連携したオーダーメードの在宅医療を行うことができるのも魅力的な点です。
料金は、患者の加入保険によっても異なりますが、月の1回目は 0~1500円(2回目以降0~900円)で提供しています。
【在宅エポプロステノール療法】
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出典:http://medical.secom.co.jp/support/drug/index.html
在宅エポプロステノール療法においては主に、在宅での原発性肺高血圧症の治療支援を行っています。

オンライン医療とオフライン医療は何が違う?

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 出典:http://www.rakumachi.jp/news/archives/100780
まずオンライン医療によって、解決された問題 は大きく3点あります。

・待ち時間の解消
・地理的条件の制約を受けない
・自分に合った診察方法(メール・SNSなど)の選択が可能

これらの問題点の解決は、患者のストレスを削減することや交通費のコストをゼロにするなどのメリットにもつながっています。
しかし、オフラインの医療でなければ患者の体内の詳細について把握することはできません。
予防接種や採血、レントゲンなど、実際に足を運ぶからこそ受けられる診断や治療も必ず存在しているからです。
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出典:https://port-medical.jp/packages/detail
そのため、現段階では健康管理を目的とした診察を遠隔医療サービスとして提供しているところが多いようです。

遠隔医療の市場規模は?

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出典:https://technology.ihs.com/483111/global-telehealth-market-set-to-expand-tenfold-by-2018
IHS社の資料によれば、遠隔医療関連の売上高は、2013年の段階で400億円以上あり、2018年には約4500億円に膨れ上がると予想されています。
遠隔医療サービスの利用者数も、2013年には5万人であったのに対して、2018年には700万人以上に拡大する見込みです。
人口の高齢化や医療費の上昇、慢性疾患の有病率の増加が問題視され始めている中で、遠隔医療は体調管理の質の向上や、医療費の削減に貢献するソリューション になっていくでしょう。

海外から見る遠隔医療

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出典:http://photoshopvip.net/archives/66797
海外では、どのような取り組みが進められているのでしょうか?
デンマークでは国家戦力として「未来の福祉のため の電子化への道」と題した医療を含む福祉に特化した戦略を掲げており、遠隔医療を国が後押ししています。
全国どこからでも患者の病状・治療に関 る情報や一貫した治療プロセスの提供を行うことができます。この取り組みを行っているのは、自宅でのリハビリを可能にし、患者がよりリラックスした状態で健康管理ができるためです。
遠隔医療発祥の地インドでは、アフリカの3つの病院を遠隔医療で繋いでおり、将来的にはアフリカの各国で自律型医療サービスを提供していくことを考えています。
薬剤・必要な医材料・衛生材料を提供するだけでなく、携帯型精密輸液ポンプのレンタルとメンテナンスも手がけており、24時間・365日ポンプトラブルの対応や相談の受付を行っていることも患者の安心安全につながっているのです。

このように、日本国内でも既に遠隔医療を事業の1つとして取り入れている企業がでてきています。
遠隔医療の市場規模は2018年には約4500億円になるという予測もあるように、そこにビジネスチャンスが潜んでいることは間違いありません。
医療×ITによって患者と医師が、国を超えてやり取りできる時代も近いといえるでしょう。
これから、この遠隔医療の分野において世界で活躍していくスタートアップが数多く生まれていくことを期待したいです。

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