ロボットと協働するミライ

今から200年以上前にイギリスで起こった産業革命は、それまでの人間の生活の仕方や考え方を一変させました。そして月日は流れ、驚異的なスピードで進化していく高性能のロボットや人工知能はいつか人間から仕事を奪うのではないかと危惧されるレベルに至っています。
 
人間らしさとは何なのか。科学技術をさらに進展させながら、人間とロボットが一緒に生きてくことはできるのか。そんな問いに答えを出そうとしているのが、ライフロボティクス株式会社です。今回は日本が世界に誇るロボット技術を持つ研究者が創業した同社をご紹介します。

ライフロボティクスが生み出した協働型ロボットCORO

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出典:liferobotics.jp
ライフロボティクスは、今までにないまったく新しいロボットアームCOROを中心に、ロボットの開発を行っています。
 
従来のロボットアームは垂直に動くタイプ、平行に動くタイプ、高速のスピードで動くタイプの3つのタイプに分かれていましたが、協働型ロボットCOROは、肘がなくシンプルに動かせるトランスパンダー®テクノロジーをベースに使ったロボットアームです。
 
シンプルでコンパクトな形を実現できたことで、狭い場所でのピッキング作業や意外性のない操作が可能になり、既に大手自動車メーカーや食品工場で導入が進んでいます。

日本の将来のため、起業を決意

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出典:liferobotics.jp
ライフロボティクスの代表取締役、尹祐根氏はロボットアーム研究の世界的第一人者です。1972年、兵庫県伊丹市に生まれ、在日コリアン3世でもある尹氏は、減りゆく人口に日本滅亡の兆しを見出しました。
 
尹氏の幼少期はガンダム全盛期、アニメからロボットへの興味を惹かれた尹氏は様々な家電を分解しては作り直し破壊するという遊びをしながら、後々の起業の際の基礎体力作りにもなる陸上に勤しみました。
 
しかし、ロボット工学が学べると思って進学した九州大学工学部動力機械工学科と大学院では、ロボット関連の研究室に入れず、失意の卒業を迎えようとしていました。転機は博士課程で入学した東北大学大学院工学研究科、航空宇宙工学研究室でした。
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出典:liferobotics.jp
初めてのロボットの研究でゼロからのスタートでしたが、研究が面白すぎてほぼ大学で暮らす尹氏は助手に採用されます。その後、独立行政法人産業技術総合研究所に入所し、本格的に研究者の道を歩むことになります。
 
国の研究機関で働く研究者としてのやりがい、名誉や安定した生活を捨てて尹氏が起業を決意したのは、日本の将来のためでした。
 
人口減少で内需が落ち込んでいる時に、いくら世界に認められる研究をしていても意味がありません。尹氏の解決の糸口は、自分が持つ世界的なロボットアームの技術を製品化し、外貨を稼ぐことだったのです。

日本のミライ

尹氏は2007年の起業から約7年間、ほぼ認められないまま貯金を切り崩して開発を続けてきました。それを支えてくれたのは自分との戦いのベースになった陸上経験や、日本の未来への危惧だったのです。
 
危険な場所での作業や精密な単純作業がロボットに託される未来は、逆に考えると、私たち人間が付加価値を生み出す側に居続けることでもあります。これからの未来をどう作っていくのか、尹氏の取り組みは、世の中に対する投げかけにもなっている気がします。

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