"中小企業"に対するイメージ
今、日本の中小企業数は約400万社といわれていて、日本の全企業数の99%以上を占めています。日本で働く10人に7人が中小企業で働いているそうです。
日本社会のサービスや製品は必ずといって良いほど中小企業を経由して最終ユーザーに届きます。一方で、日本では“中小企業”というと「どこか“大企業”の下に位置する会社」という印象が強いことも事実です。
今回ご紹介する企業は、広島の小さな“中小企業”です。しかし、業界の中でも特許を取得し、新たなイノベーションを起こしている株式会社イノテックをご紹介します。
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広島発、日本一にも輝いたITベンチャー企業
出典:www.inotech.co.jp
株式会社イノテックは、マイクロソフトが主催する優れたITベンチャー企業を表彰する「Microsoft Innovation Award 2010」で最優秀賞を受賞しました。
評価されたポイントは、東京大学の岡敬之特任准教授と共同開発した「KOACAD」です。この診断ソフトを使用すれば、評価が難しいとされていた「変形性膝関節症」にかかっているかどうかが正確に診断できます。変形性関節症は高齢者の要支援・要介護原因の第1 位・第3位を占める、これからの日本の社会とは関係が深い病気です。
これまで使われてきたX線写真での読影は、医師一人ひとりの撮影スキルの違いから、客観性を確保するのが難しいという問題がありました。
その問題に対して、株式会社イノテックは、もともと工業用光学機器販売会社のソフトウェア開発会社として1996年に設立されます。“画像処理技術を根幹として世の中に無いソフトウェアによってトータルソリューション提案する事”をコンセプトに事業を展開しています。
産業と研究を結びつけるひろしま産業振興機構(広島TLO)で広島工業大学と特許の締結を結んだことから、他大学にもその技術力が注目され「KOACAD」の開発に繋がりました。
32歳でいきなり社長になった伊藤賢治氏
出典:www.inotech.co.jp
株式会社イノテックを率いる伊藤賢治氏は、1985年に広島経済大学経営学科を卒業後、猪原商会に入社します。猪原商会のグループ会社として株式会社イノテックが創業された時、猪原商会社長の猪原伸行氏は営業課長でしかなかった伊藤氏を社長として抜擢します。
役員の反対にあいながらも代表取締役に就任します。中国地域ニュービジネス大賞や中小企業優秀技術・新製品賞ソフトウェア部門でも表彰など、「KOACAD」を始めとする製品がは業界をリードするプロダクトとして評価されています。
ベンチャー企業として益々の発展を
株式会社イノテックは、現在クラウド型の遠隔診療サービスや、医療機器メーカーへのOEM供給、医療ソフト共同開発などに取り組んでいます。
自ら高い技術力を持ち、大企業と対等に渡り合う株式会社イノテック、そんな企業には“中小企業”という呼び名ではなく“ベンチャー企業”という呼び名の方がふさわしいのではないでしょうか。