インドネシアの農家と一緒に農作物を育てられる?
日本の農業は厳しい状況にあると言われています。オーガニック、無農薬や高品質の農作物を求める声はどんどん増すものの、農家を取り巻く状況は決して快適であるとは言えません。しかし、こんな問題は日本だけでなく他の国でも同じようです。
2014年、“リアル農場育成ゲーム”の誕生!と話題になったスタートアップがインドネシアで始まりました。スマホやコンピューターを通して、作物を植え、収穫し、販売し、コインを得るというステップを本物の農家と畑と野菜で行えるのです。
今回は、こんな今までありそうでなかった農業スタートアップビジネスをご紹介します
リアル農場育成ゲームと呼ばれる"iGrow"とは
出典:www.igrow.asia
日本でも家庭菜園や貸農園の人気は依然として高く、多くの人が農業に興味を持っていることが伺えます。しかし、農業には興味があるけど忙しいし土地もない、また一スポンサーとして世界の農業に関わりたい、そんな方にはiGrowがおススメです。
iGrowは、農業に関心がある都市居住者と郊外の農家とをつなぐオンライン・プラットフォームです。スポンサーとして投資することで、2億5千人もの人口を抱えるインドネシアの農作物自給率を上げ、食料供給を安定させるという狙いで設立されました。
システムは農場育成ゲームさながらで、スポンサーがiGrowのウェブサイトからドリアン・オリーブ・アボカドなどの農作物の種を購入すると、農家によって栽培が開始されます。
実際の作物の成長が専門の調査員によって定期的に行われ、収穫された農作物はiGrow独自の販売ルートを通して流通されていき、その収益の40%がスポンサーに配分されるという仕組みです。
東アジアのスタートアップで今最も注目を集めているiGrow
出典:www.igrow.asia
iGrowは、現在2100人以上の農家が参加しており、1200ヘクタールの土地と350トン以上の収穫物を得ています。4000人近くのスポンサーの多くはリピーターであり、インドネシア中に供給されていく農作物の育成に貢献しているのです。
成功しているビジネスとしてだけではなく、社会起業的な面も持ち合わせているiGrowは、数々のコンテストで入賞歴を誇っており、“Startup Asia Arena2014”で1位、 “Euro-Asia Startup Istanbul 2015”で2位, “Silicon Valley Biz Journal”の“今最も熱い企業10”の一つにも名前を連ねています。
iGrowはCEOのAndreas Senjaya氏、CBDO(Chief business development officer)のJim Oklahoma氏、ファウンダーのMuhaimin Iqbal氏によってインドネシアの首都・ジャカルタで設立されました。
Senjaya氏とOklahoma氏は大学時代にコンピュータサイエンスを専攻されており、農業大国オーストラリア・ニュージランドで学ばれた経験を持つ農業とリスク・マネジメントが専門で投資家でもあるIqbal氏を迎え、ビジネスは順調な滑り出しを見せています。
CEOのSenjaya氏はインドネシア大学での学生時代から、様々な社会貢献プロジェクトに参加してこられた20代の若きCEOの一人でもあります。
まだ16万ヘクタールもの未活用の土地が眠るインドネシア、さらにオリーブの育成に適したトルコや日本への拡大も検討されているiGrowの農業ビジネス、今後ますます増える世界人口を前に農業界の起爆剤として目が離せないスタートアップ企業です。ぜひ注目しましょう。