北米で起業、特にIT分野の起業と言えば「シリコンバレー」のイメージが強いと思います。
そのような中、カナダのバンクーバーを拠点とするベンチャーが注目を集めています。
フォーブス社が選出する「30 under 30」のTech部門(技術部門)に選ばれたBench社CEO、Ian Crosby(イアン・クロスビー)氏は、受賞時に
「Tech分野の会社がカルフォルニア州にある必要がないことを証明出来た」
と語っています。今回はイアン・クロスビー氏について紹介します。
CPAに代わる、頼れるパートナー
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クロスビー氏が共同で起業したBench社は、手軽に且つパーソナルに企業会計のサポートを行う会社です。特に中小企業は会計にかける手間ひまが、企業運営の負担になる場合がありますが、Bench社ではそれをアプリ、電話、E-mail等でサポートします。
企業の経理担当者が毎月の経理処理を行うにあたり、CPA(米国公認会計士)に聞くほどでもないことや、CPAに聞くと金額の負担が大きくなる場合などに、手軽にBench社へコンタクトしてアドバイスを受ける仕組みです。料金体系は図のようになっています。
出典:bench.co
中小企業やスタートアップなどではベテランの経理担当者を配置出来なかったり、経験が浅い経理担当者が社内で誰にも聞けないという事態が起こってしまいます。そのような状態を、知識豊富なスタッフを揃えるbench社がサポートしてくれるのです。
現在、4人でスタートしたBench社は3年間で200名の従業員を抱えるまでに成長しています。
飛び級で大学卒業後に軍隊へ
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16歳の時に飛び級で大学に入学したクロスビー氏は、大学卒業後、軍隊に入隊しました。
除隊後はNGOに入り、アフリカ・ウガンダで赴任。その後、コンサルティング会社のベイン&カンパニーに入社し、その時に会計実務を経験します。
その後、クロスビー氏は2012年に3人の仲間とBench社を設立します。
設立当初はニューヨークに本拠を構えていましたが、翌年にはバンクーバーへ移ります。“あなたのパーソナルな会計チーム”と題したサービスがマーケットに受け入れられて、会社は急成長します。既に1,000万ドル以上の資金を、ベンチャーキャピタルから調達しています。
クロスビー氏は、“10年後、アカウンティングの世界は、世間でセクシーだと思われるぐらい変化するかも知れない”と、その将来性について語っています。
規模拡大のためには、会計人材の確保が急務
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ベテランの経理担当者は転職市場でも引く手あまたで、職にあぶれることが無い職種と言われています。しかし、中小企業やスタートアップで、スキルの高い経理担当者を採用することは難しいのが現状です。
この点にビジネスチャンスを見出したクロスビー氏は、非常にビジネスセンスに長けていると感じます。創業後、短期間でベンチャーキャピタルから出資を受けている実績を見ても、Bench社が大きな期待を背負っていることは明らかです。
ただし、経理経験者の確保の難しさは、Bench社も同じです。また会計人材の給与の高さも、今後規模を拡大する上での課題になると思います。
いかに質の良いスタッフを確保できるか、これがBench社の発展を大きく左右すると思います。