土光敏夫氏をご存知ですか?

かつて日本で栄華を誇った多くのメーカーが現在苦境に立たされています。
東芝もそんな電機メーカーの一つです。2015年には不正会計が発覚し、経営危機に陥り、役員の辞任、大規模な人員削減や不採算事業からの撤退といったリストラの報道はまだ耳に新しいのではないでしょうか?
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出典:toyokeizai.net
そんな東芝では、かつて“ミスター合理化”と呼ばれた実業家・土光敏夫氏が社長を務めたことがありました。
複雑になった現代が抱える問題はかつてよりも大きいかもしれませんが、かつての偉人の業績からは学ぶところもまた大きいものです。わたし達に今必要なものは何なのか?
今回は土光敏夫氏の紹介を通して、そんな問題に向き合ってみたいと思います。

土光敏夫の生い立ち

土光敏夫氏は、1896年(明治29年)9月15日岡山県御野郡大野村(現在の岡山市北区)に誕生しました。実家は肥料仲買商を営んでいました。
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母・登美は日蓮宗に深く帰依し、女子教育を使命としており、後に独力で横浜市内に橘学苑を開学する非常にパワフルな女性でした。
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土光氏の人生は、けして順風満帆なものではありません。岡山県随一の高校入試には3度失敗し、エンジニアを目指して受験した東京高等工業学校(現・東京工業大学)では1浪し、代用教員として働きながら再受験に挑みました。
大学へ入学してからもアルバイトをしながら勉学に励むという苦学生活を経て、当時はまだ小さな会社だった東京石川島造船所(現・IHI)に入社します。
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もともとタービンが専門であったことからより高い技術を学ぶため1922年にスイスへ留学、1936年石川島芝浦タービン設立の際には技術部長として出向、1946年には社長に就任します。
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1950年に本社に復帰し、社長として経営再建に取り組みました。退任後は東京芝浦電気(東芝)の社長・会長を歴任、その後、経団連第4代会長に就任し、1988年に亡くなるまで精力的に仕事をこなしました。
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土光敏夫と生産合理化

土光敏夫氏は、その合理的な経営手腕に定評があったことから東京芝浦電気の社長に抜擢されました。その時、土光氏は68歳でしたが、的確な手腕は衰えるところを知らず、見事に東芝の業績を改善したのです。
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土光氏の行った改革は、社内組織改革、生産体制の確立や技術開発の強化、販売体制の整備だけではなく、組織活動自体にも及びます。
例えば、上下のない活発な意見の交換を求めた際には、上司の“命令”を“チャレンジ”と呼び、その反応を“レスポンス”と呼ぶことを徹底しました。
経営が悪化するには様々な原因がありますが、組織的な体質もそんな原因の一つになりえます。
「業績のためだけの無理な要求が簡単に通る体質ではいつかボロボロと崩れてしまう」そう考えた土光氏が目指したのは、ただの業績改革にとどまりませんでした。会社の体質を変えようとする警鐘でもあったのではないでしょうか。

土光敏夫の印象的なエピソード

さまざまな地位を歴任された人物に似合わず、土光敏夫氏は生涯倹約を好みました。
多くのあだ名を持つ土光氏ですが、「メザシの土光さん」という呼び名もその一つです。
1982年に放映されたNHK特集では、木造の小さな家、メザシをおかずとする質素な食卓風景が多くの視聴者に感銘を与えました。
また、経団連時代には出張は日帰りに、接待は断り、夜の会合を廃止する代わりに朝食会を頻繁に開くという堅実ぶりを発揮しました。
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素朴で健康的な考え方や生活習慣こそ、土光氏が長く活躍することができた何よりの秘訣かもしれません。

土光敏夫の格言

 

やるべきことが決まったならば執念をもってとことんまで押し進めよ。問題は能力ではなく執念の欠如である

耳に痛い言葉ですが、結果を出してきた土光敏夫氏だからこその力強く的確な言葉です。
 

幸せというのは自分で作るものだ。 決して他人から与えられるものじゃない

辛い時、悲しい時、弱った時にはつい何かに縋りつきたくなってしまいますが、そんなときこそもう一踏ん張りしましょう。何度もチャレンジすれば、どんな形であれ、いつか向こう岸へたどり着けるはずです。
 

どんな人にも長所と短所が必ずある。ところがサラリーマンの会話を聞いていると、短所をあげつらう減点主義が横行している。これでは人の心を腐食するばかりで職場の活力も失われてしまう

ビジネスだけでなく、対人関係は多くの人々を悩ませる問題ですが、つい欠点を見そうになった時は、ぜひ思い出したい言葉です。

土光氏の生き方から学べること

土光敏夫氏は“受注なくして合理化なし”をモットーとし、徹底した経費節減と生産合理化などを推し進めてきました。そんな合理的な考えが、徹底的にやり抜くことや質素な生活からも感じられます。
日本の産業を愛し、人を愛し、よりよい未来のために奮闘された土光氏の目指した世界、わたし達はそんな世界を再び目指しなおす必要があるのではないでしょうか?

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